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尾道から世界へ。人とデニムがつなぐ物語。[ONOMICHI DENIM PROJECT/広島県尾道市] by ONESTORY

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尾道から世界へ。人とデニムがつなぐ物語。[ONOMICHI DENIM PROJECT/広島県尾道市] by ONESTORY
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から広島県尾道市の「ONOMICHI DENIM PROJECT」を紹介します。

郷土の魅力と「ものづくり」の精神。デニムに刻んで人々に伝える

郷土の魅力と「ものづくり」の精神。デニムに刻んで人々に伝える 坂と歴史の港町・尾道に佇むビンテージ感溢れるショップ(Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
「働く人々のそれぞれの物語が刻み込まれたデニムをきっかけに、尾道という町の魅力と、日本人が大切に育んできた“ものづくり”の精神に触れてほしい」――そんなコンセプトのもとに、プレミアムなユーズドデニムを販売しているショップがあります。

『ONOMICHI DENIM PROJECT』。国内有数のデニムの産地である備後地域・尾道を舞台に、様々な職業の人々に1年間デニムをはき込んでもらい、その人の物語を乗せた自然な風合いのユーズドデニムを生み出しています。
尾道と世界をデニムでつなぐ (Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
様々なライフスタイルのワーカーたちが大切にはき込んだデニムを、この世に1点しか存在しないリアルユーズドデニムとして販売する。更に、ただの商品として売るのではなく、「デニムがはき継がれる」というストーリーを創っていく。そんな人とデニムをつなぐ物語が、歴史ある港町からワールドワイドな広がりを見せています。

『ジャパン・デニム』の聖地から発信。

『ジャパン・デニム』の聖地から発信。 「備後絣(かすり)」の文化によって染色・縫製の長い歴史を持つ備後地域は、世界基準のハイクオリティデニムの産地でもある(Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
この『ONOMICHI DENIM PROJECT』を立ち上げたのは、尾道に拠点を置く創造型企業『ディスカバーリンクせとうち』。その名のとおり、「自分たちが暮らしている“瀬戸内”という場所の魅力を見つめなおして発信する」「多くの人々とリンクしてつながっていく」という理想を持って活動しています。
尾道のワーカーたちに育まれたデニムが集合。
「簡単にいうと“町おこし”ですが、では『肝心の尾道の魅力とはいったい何か?』と考えた時に、ここがデニムの産地である、ということに気付いたんです」。マネージャーの和田幹洋(わだみきひろ)氏はそう語ります。
瀬戸内の風と陽射しと人々が、プレミアムなデニムを育てる。
尾道を含む備後地域は、実は世界が注目するハイクオリティデニムの産地。海外の一流ブランドもこぞって採用する『ジャパン・デニム』の聖地なのです。「デニム業界の中では圧倒的な知名度を誇る産地であることを、もっとたくさんの人に知って頂きたいし、地域産業の活性化や、地元が元気になるきっかけにしたい」。そんな想いで立ち上げたと和田氏は言います。

「本物のユーズドデニム」を目指して。

「本物のユーズドデニム」を目指して。 デニム界の巨匠・林 芳亨(よしゆき)氏が監修。氏のブランド『RESOLUTE(リゾルト)』の『710』と『711』を柱に、今後は『ONOMICHI DENIM PROJECT』の独自モデルの開発にも挑む。
しかし、地元で作られたものをただ並べて売るだけではインパクトに欠けます。「誰もしたことのない取り組みを実現して、大きな話題を作り出したい」――和田氏がそう検討するうちに、日本屈指のデニムブランド『RESOLUTE(リゾルト)』のデザイナーである、林 芳亨(はやしよしゆき)氏と出会いました。

林氏は、尾道の隣町である松永の出身。そして、やはり地元・備後のデニムを非常に高く評価していました。自身のブランド『RESOLUTE(リゾルト)』も、生地の生産から縫製までを備後地方で一貫して行っています。「それでは一緒に取り組みましょう」と、林氏と和田氏はすぐに意気投合しました。
デニムを配り、はき込み、丁寧に洗う。デニムが育てば人の輪も広がる(Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
強力なパートナーを得た『ONOMICHI DENIM PROJECT』が次に目指したのは、ブランドコンセプトの確立でした。デニムのルーツは作業着で、アメリカの炭鉱作業者がはいていたものです。日々忙しく働く中ではき込まれたユーズド感を魅力としていましたが、現代では、これらの色落ちやダメージを機械加工などで意図的に施すようになっていました。「そうではなくて、人が本当にはき込むことで生まれるユーズド感と、それぞれの個性を表現したかった。尾道の人たちが働くことで刻まれる歴史を、1本1本に刻みたかったんです」と和田氏。

そんなコンセプトとアイデアが、話し合いの中で詰められていきました。備後のデニムの魅力と、尾道という町の魅力。ふたつを一度に発信する、かつてないプロジェクトが動き出しました。

尾道のワーカーたちが刻んだ540の物語。本物のユーズドデニムが瀬戸内で育まれた。

尾道のワーカーたちが刻んだ540の物語。本物のユーズドデニムが瀬戸内で育まれた。 建設業。立ち、しゃがみ、歩く動作の一つひとつが独自の風合いを刻んでいく。
備後地域のデニムの特長は、他とは全く違う毛羽立ちとザラつき感。おろし立ては違和感を覚えるほどの毛羽立ちですが、だからこそ、はき込むことで絶妙な色落ちと風合いが生まれるといいます。日本屈指の職人と組んで、旧式の染色方法と織り機で完成させた『RESOLUTE(リゾルト)』の代表モデルが、『710』と『711』。これらに尾道のワーカーたちの物語を刻むことにしました。
「尾道の町で育ったデニムを買ってもらうことで、尾道の町と買ってくださった人の地域がつながっていく。更に、育てた人と買った人までもがつながっていく。尾道で育ったデニムが、違う土地でまた新たな物語を刻んでいくんです」と和田氏は話します。
住職。静かな信仰の場にもデニムはなじむ(Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
漁師。照りつける日光と潮風にさらされながら釣具や縄と格闘するハードワークは、デニムの迫力ある色落ちを実現してくれる。
和田氏の言葉どおり、プロジェクトは多くの人々とともに歩み始めました。例えば、大勢の仲間から慕われている職人肌の左官。気さくで穏やかだけど365日長靴を履いて立ち回るベテラン漁師。それぞれの日々の仕事の中ではき込まれたデニムは、洗いのプロが週に一度洗濯・乾燥することでアタリや深みが生まれていきます。職人の仕事ぶりや仕事に対する姿勢までも写し取ったデニムが、どんどん育っていきました。
柑橘農家。それぞれの作業スタイルやクセによって、ただひとつのデニムが育つ。

オール尾道でデニムを育てる。

オール尾道でデニムを育てる。 ひとつとして同じものはない、それぞれの個性とストーリーを持ったデニム。
プロジェクトの第1弾で創り上げたデニムの総数は、なんと540本。尾道市長をはじめ、住職、農家、漁師、繊維業、大工、左官、保育士、デザイナー、カフェ店員、ラーメン屋、スイーツショップ店員、飲食業などなど、職種や世代を超えた様々なワーカーたちが参加しました。270人に2本ずつ渡して、週ごとにローテーションしてはいてもらう。こうして本物のユーズドデニムを育んでいったのです。
「この取り組みの過程で、人と人とのつながりもたくさん生まれました。デニムのはき手と私たちスタッフはもちろん、デニムをはいている人同士が交流し始めたんです。今まで同じ尾道に暮らしていながら接点がなかった人たちが、『ONOMICHI DENIM PROJECT』を通してつながっていきました。『プロジェクトに参加したことで新たな出会いがあった』と、皆、口を揃えて言ってくれます」と、和田氏も予想外だったという人の輪が、どんどん広がっていきました。

尾道の外へ、そして海外へ。『ONOMICHI DENIM PROJECT』の新たな展開。

尾道の外へ、そして海外へ。『ONOMICHI DENIM PROJECT』の新たな展開。 世界につながる港町。尾道からデニムでムーブメントを起こす(Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
そうするうちに「尾道の外からもプロジェクトに参加したい」という声が高まってきました。そこで、新品のデニムと同時に1,080円の『ONOMICHI DENIM PROJECT参加権』を購入することで、尾道以外の地域からも参加できるようにしました。自らはき込んだデニムは、『ONOMICHI DENIM PROJECT』に委託販売できます。
自動車整備士。「働くことは格好良い」。
今までは、尾道ではき込まれたデニムが地域の外へと旅立っていく、という流れでした。それが今度は、別の土地ではき込まれたデニムが尾道に帰り、また別の土地へと旅立っていく、という新たな還流が生まれたのです。
「デニムに自分の個性を刻む、という面白さ。その物語をまた別の方につないでいく、という楽しさ。これらを一緒に体感して頂けます」と和田氏。この参加権を利用してプロジェクトに加わった人は、2017年7月現在で800人以上にもなります。

理想を乗せて、デニムは旅立つ。

理想を乗せて、デニムは旅立つ。 大工。仕事への誇りと情熱がデニムに映し出される(Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
「デニムを通じた人と人との輪を、どんどん広げて行きたい。土地と土地とのつながりも創っていきたい。それが『ONOMICHI DENIM PROJECT』の一番の目標です」。和田氏はそう語ります。そしてこの目標は、国内だけでなく、世界中に広がっています。

更に尾道の多種多様なワーカーにデニムをはいてもらう中で、「ジーンズだけでなく、別のデニム製品も欲しい」という意見が出始めました。デニム素材のワークパンツやエプロンなどなど、働く人々の意見を取り入れた、更なるオリジナル商品の開発が始まりました。
「ファストファッションの時代ではありますが、だからこそ、じっくり時間をかけて情熱をそそいだ“ものづくり”の素晴らしさを伝えたい。日本人ならではの“もの”に対する気持ちや、その素晴らしさを、プロジェクトを通してたくさんの人々に伝えていきたいと思っています」と和田氏は言います。
この町に息づく人々の想いと歴史が、デニムを通じて広がっていく(Photo:TETSUYA ITO/By Courtesy of DISCOVERLINK Setouchi)。
備後のデニムの魅力と、尾道の町の魅力。そして「一生懸命働くことは格好良い」という揺ぎないポリシー。これらを乗せて、今日も新たな『ONOMICHI DENIM』が生まれています。
(写真提供:『ONOMICHI DENIM PROJECT』)

ONOMICHI DENIM PROJECT

広島県 尾道市久保1-2-23 MAP

0848-37-0398

11:00~19:00

水曜日・年末年始


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