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【連載・暮らしと、旅と…】糸島半島1日ドライブめぐり・後編

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【連載・暮らしと、旅と…】糸島半島1日ドライブめぐり・後編
トラベルライター朝比奈千鶴による、暮らしの目線で旅をする本連載。糸島編第5回である今回は、糸島半島1日ドライブめぐり・後編をお送りします。

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前編でご案内した糸島市志摩小金丸にある「Petani coffee」を出てすぐのところにある「タビノキセキ」は、アーティストの工房が集まる「やかまし村」内にあります。アーティストの長井裕司さんとなつこさん夫婦が、2010年から糸島で営んでいるガラス工房です。ショウケースの並ぶギャラリーに入ってみると、たくさんのガラスのアクセサリーが陳列されていました。なかでも、可愛らしい小さなガラスのペンダントに惹かれて手に取ってみると、とても繊細なジュエリーのよう。この作品は、アロマオイルを数滴注入することで香りを放つアロマペンダントでした。「タビノキセキ」のオリジナル作品です。
裕司さんにガラス制作を見学させてもらいましたが、高熱のバーナーで小さなガラスに繊細な技術を施す様子は、まるで手術でもしているかのような緊張感です。「タビノキセキ」で使っているポロシリケートガラスは、身につけても軽いのに割れにくいのが特徴です。透明度が高く、発色も美しいので、まさに身につけるアート作品です。
ペンダントやピアスになったガラスのアクセサリーには、お気に入りの精油(アロマオイル)を入れられるよう小さな穴が空いています。首に、耳に、それを身につけるとふわり、精油の香りが漂います。ほんの一滴、好きな精油をたらすだけで爽やかに梅雨の季節も過ごせそう。
それぞれが世界中を旅して、沖縄で出会ったというふたり。旅を終え、定住をするならモノ作りの人が多く開放的な雰囲気のある糸島で、とアトリエを構えました。旅で得たインスピレーションを形にすべく、ふたりそれぞれに制作作業をしています。

実は、偶然にも私とお二人の間に、共通の知り合いがいたことが発覚。しばらく会っていないその人のことを思い出せるというのも、ふと起こるタビノキセキ。東京から遠く離れた糸島でそういった不思議な縁につながるのも、旅の醍醐味ですね。

◯タビノキセキ
[所] 福岡県糸島市志摩小金丸1870-11
[TEL] 092-327-1115
[時間] 12:30~17:30
[休] 火曜・水曜(要問い合わせ)
[HP] http://tabinokiseki.shop-pro.jp/

玄界灘を望む志摩サンセットロードを朝からドライブしてきた私は、漁に出ていた人たちが陸の目印としていたという可也山(かやさん)を眺めながら、内陸部にある志摩初へ向かいました。
志摩初は、糸島半島の志摩と前原エリアの境目あたり、志摩側にあります。ここでお目当てにしていた「うつわと手仕事の店 研」は、陶芸作家・敦賀研二さんの工房「研窯」の器のギャラリーです。以前ご紹介した「糸島くらし×ここのき」にも数点、研二さんの作品がありましたが、もっとたくさん作品が見たい、とギャラリーに向かったわけです。
築60年の古民家を自分たちでリフォームしたという閑静な空間には、糸島在住の陶芸家、敦賀研二さんの器が佇むように置かれていました。
ざらりとした質感を持つ鉄灰釉の器を気に入り、手に取ってみました。これは、和洋食のどちらでも食材が映えそうな器です。色違いやサイズ違いで揃えて、日々の暮らしの器にする人も多いのだとか。

ギャラリーには、奥様の純さんがセレクトした作家の手仕事の作品も展示・販売しています。燦々と光が射し、つい長居をしてしまいそうなあたたかで静かな空間でした。今回は先を急いだためじっくりと検討できず、購入はしませんでしたが、糸島のギャラリーめぐりを旅の目的にするときは、気に入ったものを本当に買いたいのかどうか一晩考えてから、またお店に戻って来られるようなスケジュール組みにしたほうがよいなと勉強したのでありました。ここでは、素敵なものが次々と見つかってしまうから。

◯うつわと手仕事の店 研
[所] 福岡県糸島市志摩初232
[TEL] 092-327-2932
[時間] 11:00〜17:00
[休] 火曜
[HP] http://kengama.com/

さて、そろそろランチの時間です。レストランの選択肢が多いのも糸島の魅力。フレンチ、イタリアンなどの洋食をはじめ、和食やカレー、タコス、ハーブ料理など、どれも糸島産食材が自慢のレストランやカフェが揃います。冬ならばカキ小屋という楽しみもありますね。ただし、休日は多くの人が訪れるエリアなのでランチは予約しておいたほうが無難です。
志摩サンセットロードを走り、日本三大玄武洞のひとつである「芥屋(けや)の大門」のある芥屋まで来ました。ちょっと休もうと、50年前のアンティーク・エアストリームでジェラートを売る「Loiter Market(ロイターマーケット)」へ。地元の素材をふんだんに使った6種類の日替わりジェラートから、地元の「またいちの塩」を使った塩ジェラートとマンゴージェラートの2種をチョイスして400円。映画『バグダッド・カフェ』にも登場していたエアストリーム。この外観に、思わず立ち寄りたくなるでしょう? 着色料、保存料、香料、乳化剤など化学調味料や卵は不使用で小さいお子さんからお年寄り、アレルギーがある方まで安心して食べられます。岐志方面、野北方面から芥屋へと交差している三叉路にちょっと引っ込んだように出店しているのでお見逃しなく!

◯Loiter Market(ロイターマーケット)
[所] 福岡県糸島市志摩芥屋94-3
[TEL] 090-5298-3851
[時間] 12:00~日没
[休] 不定(要問い合わせ)
この日は予報通り、夕方には曇ってきました。でも、早朝からドライブしていたため、糸島の自然とカリフォルニアさながら?な雰囲気を十分に満喫できたと思います。サンセットは見られなくて残念でしたが、夏至には写真のような見事な景色が「桜井二見ケ浦(さくらいふたみがうら)」で見られるので、強力な縁結びを願う方はそのときに本物を拝みにお出かけになってみてはいかがでしょう? そうでなくとも、晴れた日が続くときは、ピンク色に染まる美しい夕景がサンセットロードで見られるそうですよ。
豊かな自然と四季折々の食材に恵まれた糸島に集まった、クリエイター(モノを創造する人)たちの作り上げた素材の集まるショップ、レストラン、工房などをめぐる旅。
彼らの暮らしに少しだけ触れて感じたことは、1日1日の営みがとても愛おしいということ。日々をそこで過ごす人たちが心地よく住みやすいようにと作り上げてきた土地は、旅人にもそのままに伝わります。自分の作るものを愛している、自然や周囲とのつながりを意識している、そういった暮らしぶりは言葉に出なくても、土地から発せられる熱としてじんわりと感じました。
観光客が年々増加しているという糸島は、街と人の手が入った自然が近く寄り添っていて、それを表現する作り手の存在や、人の口や手に渡るものに関わる人々の役割が、モノや場所を通してよく見える場所でした。全国的に名が知れた有名な観光地や温泉などがなくても、人が訪れている地域には、きちんと理由があるのだと確信しました。

さて、次回からは2ヶ月間、奄美群島の旅をお届けします。船でめぐった奄美群島は、お天道様との相談の日々でした。どうぞお楽しみに!

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

文:

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