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農家・漁師のファンクラブができたなら。生産者と消費者をつなぐ「ポケットマルシェ」【食のタネ】

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農家・漁師のファンクラブができたなら。生産者と消費者をつなぐ「ポケットマルシェ」【食のタネ】
【編集部コラム|きょうのタネ】

ことりっぷwebスタッフが日々の中で出会った人・モノ・場所、個人的なおすすめなどを紹介する編集部コラム「きょうのタネ」。今回の担当はプロデューサーの平山です。

多くの人が旅の楽しさのひとつに挙げる、現地で食べるおいしいごはん。現地のマルシェや朝市があると、ついつい参加してみたくなるもの。

そんな楽しさを日本中どこにいてもWEB上で実現できるサービスが「ポケットマルシェ」です。

スマホひとつで産直市場へ「ポケットマルシェ」

スマホひとつで産直市場へ「ポケットマルシェ」 サービス開始から約1年が経ち、契約している生産者は400を超えるとのこと。
ポケットマルシェは、全国の農家と漁師さんから直接食材を買うことができるWEBサービスです。数ある産直サービスとポケットマルシェが違う点は、農家や漁師さんと会話ができる機能がついていること。

「道の駅やファーマーズマーケットの魅力って、食材が美味しいことはもちろん、生産者と会話ができることだと思うんです。話を聞けば食材に詳しくなるし、生産者と仲良くなれば、おまけしてくれるかもしれない…そういうコミュニケーションの楽しさをオンライン上に作ったのがポケットマルシェです」

そう話すのは、ポケットマルシェのサービス全般の事業に携わる本間勇輝さん。

目指すのは生産者と消費者の会話が育むファンクラブの世界

目指すのは生産者と消費者の会話が育むファンクラブの世界 株式会社ポケットマルシェ・取締役COO 本間 勇輝さん。提携した生産者には直接足を運び、生産現場の話を聞いている
ポケットマルシェではユーザーが食材を購入すると、自動的に購入した食材の生産者のフォロワーになります。そこからSNSのように、生産者とユーザーが簡単にコメントをし合うことができる仕組み。
ユーザーからは生産者に「ありがとう」を伝えることができ、生産者からは新しい商品の発売のお知らせや日々の収穫の様子などをユーザーに届けることができます。

「ユーザーが生産者に“ごちそうさま”を伝え、会話が盛り上がると、その雰囲気が呼び水となって新しいユーザーが自然と集まりだします。一般的な商品レビューと違い、ここでは“ごちそうさま”の会話がレビューそのものになっているんです」

何気ない会話から生まれる、あたたかな消費

何気ない会話から生まれる、あたたかな消費 食材を購入したユーザーが「美味しくいただきました」と投稿すれば「また食べてくださいね」と生産者が返信する。見知らぬ人たちのやりとりに、なぜか心が和んでしまう
「先日も素敵なエピソードがありました。お父さんの誕生日で魚を振る舞いたいという娘さんがいて、購入時に漁師さんにそのことを伝えたところ、後日届いた食材の中には漁師さんから“おまけ”がついてきていたんです。娘さんからはおかげさまで素敵な誕生日になりましたという投稿がされてました」

お客さんの喜びは、生産者のモチベーションを支える力に変わります。

「生産者にとってふだんのお客さんは農協やスーパー。だから生産者は実際に食べている‟人の顔”は見られません。けれど、ポケットマルシェに出店すれば“ありがとう”や“ごちそうさま”と言ってもらえる。その声が励みになっているから、このサービス潰さないでね!と激励もよくいただきます(笑)」
生産者の人柄やこだわり、ユーザーとの関係性を見ながら「おいしい食材」を選ぶことができる
最近は、ひいきの生産者を応援したいユーザーが自発的に生産者に会いにいくことも増えてきたそう。ポケットマルシェとしても生産者を応援するユーザー同士のつながりをサポートしていきたいと本間さんは語ります。

「行きつけの飲み屋のカウンター席って、店主やお店を大事に思う常連が並ぶから会話が楽しいんですよね。同じようにひいきの生産者をユーザー同士が一緒に応援するような場になれば、よりポケットマルシェが盛り上がっていくと思うんです」

生産者のファンクラブみたいな雰囲気!

「そう。まさにファンクラブ。ファンが集まってインディーズバンドを応援するようなイメージです。だからポケットマルシェの目指す姿は『インディーズ生産者マッチングサービス』ということになるのかもしれません」

農家の現実と今後ポケットマルシェが果たす役割

農家の現実と今後ポケットマルシェが果たす役割
しかしながら、農業を取り巻く環境は現在厳しい状況。生産者の数は減少の一途を辿っています。

「今日本には190万人農家がいるのですが、30代以下は12万人しかいない。今後も減っていくことを止めることは難しいでしょう。それでも、ポケットマルシェとしては頑張っている農家を応援し、農家を取り巻く環境がよくなるよう動いていきたいと考えています。

実際に、生産者はポケットマルシェに出店することで、他の生産者たちとの違いを出すために商品や販売方法を工夫するようになり、商品にも多様性が生まれるんです。その多様性が、若い人たちに“食べ物の裏側"に興味を持ってもらうきっかけになり、生産者がもっと誇りを持てる世の中につながっていくのではないかと思っています」
自転車で颯爽と取材現場に現れた本間さん。「食の楽しさ」を伝えに日々日本中を駆け回っています
「まだまだ課題はありますが、僕自身が誰よりこのサービスを楽しいと思っています。毎月「MGU(most Gochi-ed User)」という、最も“ごちそうさま”を投稿してくれたユーザーさんを発表しているんですが、今月は僕が上位にランクインしてしまった(笑)この楽しさを伝えていくことが一番大切なのかもしれない。良いサービスなんですよね。ほんと。大好きなんですよ」

生産者の顔を思い浮かべること

生産者の顔を思い浮かべること 2001年に長野県安曇野にIターンした広瀬さんが始めた「信州安曇野広瀬園」のりんご
実際に私もポケットマルシェを利用してりんごを買いました。1週間後に届いたりんごは、かわいらしい小ぶりのサイズで、ほどよい酸味。こどもの頃を思い出させる味でした。

早速ポケットマルシェを立ち上げ、生産者の広瀬さんに「ありがとうございます」とメッセージを送ると、翌日に生産者の広瀬さんから「お楽しみいただいているようで、ありがとうございます」というメッセージが。ひとつ会話があるだけで、ふだんの食卓にひとつ彩りが増えた気がしました。
本間さんはインタビューの中で「今食べているものの“産地”だけではなくて、どんな気持ちでどんな人が作っていたのか。それがわかるだけで食卓が楽しくなる。美味しさが全然違ってくるんですよ」と話します。

たしかに、スーパーで陳列されている食材をなんとなく、選択肢が少ないからという理由で選ぶより、生産者の人柄やこだわり、ユーザーとの関係性を見ながら選んだほうが、楽しい消費になりそうです。

そして、食材のむこうにいる、人や地域との距離が近くなるのではないでしょうか。今後のポケットマルシェの取組にも期待が高まります。
[文・写真]平山高敏 
[編集]島田零子

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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