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岐阜のWebメディア『おへマガ』に聞く、ローカルメディアの役割とは【ローカルメディアのタネ】

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岐阜のWebメディア『おへマガ』に聞く、ローカルメディアの役割とは【ローカルメディアのタネ】
生まれ育った故郷の魅力はなんですか?
こう聞かれると「うーん」としばらく考え込んでしまう人は多いのではないでしょうか。

こどもの頃から当たり前だと思っていた風景を改めて魅力として語ることは難しい。それでも「地域の日常」を話すだけで憧憬の眼差しを向けられることがあったり。果たして生まれ育った地域の魅力ってなんなのでしょう。

そんな普段見過ごしがちな地域の魅力を、現地に住む人が集め発信するメディアのことを「ローカルメディア」と呼びます。
岐阜県の恵那市を中心に活動しているローカルメディア『おヘマガ』もそんなローカルメディアのひとつ。

地域の日常をていねいに伝え、地域の魅力を再発見するためのローカルメディア

地域の日常をていねいに伝え、地域の魅力を再発見するためのローカルメディア 『おへマガ』はメディア運営のみならず、地元のお土産の開発やオンラインショップ運営など幅広く展開している
『おヘマガ』がスタートしたのは2015年。
現地のイベント情報から農家のレシピ、移住者のコラムまで幅広い情報を展開し、今では地元の大学生も記事執筆に関わるほど地域に根付いたWebメディアになりました。

『おへマガ』の発起人であり、岐阜県出身で編集長の園原麻友実さんがメディアを運営する上で心掛けているのは「この地域のユニークな魅力を地元のひとに知ってもらい、思わずほかの地域からひとを呼びたくなる」ようなコンテンツを発信することだと言います。
桜百選にも選ばれた恵那峡(左上)や恵那名産の栗をふんだんに使った「恵那川上屋」の巨大モンブラン(左下)続日本百名城に選ばれた「苗木城」(右)
しかしながら、風光明媚な観光地や隠れた名産品などを伝えることは、他の地域との比較を続けることになり、それだけでは消耗してしまうとも。

「農家の方や伝統を守り続ける和菓子屋さんなどと接するうちに気付いたのは、彼らは他の地域と比較することなく、この町の誰かの喜びにつながることを目指して続けているということでした。そんな日々の営みが美しくて豊かだと思ったんです」

彼らの日々の営みに地域の魅力を見出した園原さん。
「自然と調和しながら、長い年月をかけて作り上げてきたこの地域の営みをていねいに伝えていくことが『おへマガ』らしさであり、読者に地域の魅力を再発見してもらえると確信しました」

故郷に「愛着」をもちたい。『おへマガ』を始めた理由

故郷に「愛着」をもちたい。『おへマガ』を始めた理由 園原さん自身も高校卒業後は地元を飛び出し、京都で就職した経験をもつ。「都会に憧れがあった」と振り返る
地域の魅力を伝え、知ってもらいたいーこの想いに至った理由について園原さんは「故郷を知らないまま年を重ねることに寂しさを感じた」とメディアを立ち上げた当時を振り返ります。

寂しさを感じたきっかけは、社会人3年目にボランティア活動の一環で3か月間滞在したカンボジアから帰国したとき。

「現地の歴史や文化を知った上で、現地の人を交流したらすごく楽しかったし、自然と愛着が湧いたんです。だから正直カンボジアを離れるのがつらかった。
でも帰国して、自分は故郷に愛着がないことに気付かされて寂しくなりました」

「故郷に愛着もちたい、そのためにはこの町を知ることだと思ったんです。そして周りの人に伝え共感を育んでいくことで愛着をもてるのではないかと。でもいざ探しだすと地元を知るための情報がなかった。だったら私が情報源になればいいと思ったんです」

そうして2015年、地元の同年代の同志4人とローカルメディア『おへマガ』をスタートさせます。

一緒に町を作ることで「愛着」を育てる

一緒に町を作ることで「愛着」を育てる 空き家の古民家を改装し、「泊まれる古本屋」として開業する予定
メディアを立ち上げてから2年が経ちます。
地域の日常を切り取った『おへマガ』に地元の人が共感し、応援されるようになりました。 最近ではリアルな交流の機会が増えていると言います。

「農家体験イベントやマルシェ、伝統工芸のワークショップなどさまざまなイベントを行ってきましたが、最近は参加者が一緒になって地域の魅力を育てるような気運があります」

たとえばそんな気運から生まれたプロジェクトのひとつに一緒に古民家をお掃除しませんか?|古民家を“泊まれる古本屋”にしようプロジェクト始動!があります。

古民家を改装し宿泊所にするため、町の人を巻き込んで一緒に作り上げていくというもの。「一緒に作っていくことで、愛着をもつ場所になれば」と園原さんは期待を膨らませます。

地域の世代をつないでいく。『おへマガ』のこれからの役割とは

地域の世代をつないでいく。『おへマガ』のこれからの役割とは 「都心にはない“余白感”が地域の魅力。地域らしさを忘れずに伝えていきたい」と決意を語ってくれました
地域との取組の中で中学生や高校生など若い世代と話す機会が増え、「地域を考える」という学校の授業で講師を務めることもあるそう。

若い世代が地元に興味があるかはじめは疑心暗鬼だったと園原さん。しかし講師を務めて驚いたのは中学生・高校生からの「もっと地元を知りたい」という熱量でした。

「私が中学生の頃は、この地で大人になるイメージがなかった。でも今こうして若い世代の熱量に触れてわかったのは、地域の“これから”を聞くことのできる大人が近くにいるというのは若い人にとって一番の安心材料なのではないかということです」

『おへマガ』は地域にとってどんな存在でいたいですか、という問いに対して園原さんは
「この地で豊かに暮らしていくための一歩を、一緒に踏み出すきっかけになりたいと思っています。次の世代に向けて、わたしたちひとりひとりが“背中”を見せていける場を『おへマガ』を通じて作り、地域内の世代間のつながりを紡ぎ直したいと思っています」
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ローカルメディアの役割は地域それぞれで違うのでしょう。
でも乱暴にひとつ役割を掲げるのであれば、「私の住んでいる町、かっこいい」ということに気付かせることではないでしょうか。

「かっこいい」には人を呼び寄せる力があります。
人が集まり交流が増えることで『おへマガ』のように新しい取組が生まれ始めるのだと思います。
文・写真:平山高敏
編集:島田零子

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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