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「日本で一番夕日がきれいな小学校」を酒蔵に再生。[学校蔵/新潟県佐渡市] byONESTORY

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「日本で一番夕日がきれいな小学校」を酒蔵に再生。[学校蔵/新潟県佐渡市] byONESTORY
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の
「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から新潟県佐渡市の「学校蔵」を紹介します。

廃校となった小学校を舞台に、酒造りと地方創生に取り組む。

廃校となった小学校を舞台に、酒造りと地方創生に取り組む。 佐渡相田ライスファーミングの田んぼで相田忠明さん(左)と尾畑酒造の平島健社長(右)。朱鷺が暮らす環境に配慮した「朱鷺と暮らす郷づくり認証米」にも選ばれた。
年々進む少子化と過疎化。それに伴って、全国各地で廃校となる学校も増えています。「多くの想い出を育んだ懐かしい学び舎を残したい」「味わい深い建築とロケーションを生かしたい」といった想いから、そうした廃校の活用を目指した様々なプロジェクトが立ち上がっていますが、中でも斬新な取組みが新潟の佐渡島で行なわれています。
酒仕込みの風景。佐渡の風土と人によって丁寧に醸される。
『学校蔵』。シンプルかつ端的なネーミングですが、郷愁とともに「どんな事が行なわれているんだろう?」という興味まで呼び起こしてくれる名前です。佐渡島の海に面した高台に座し、「日本で一番夕日がきれい」と地元の人々が自慢していた旧西三川小学校を再生。“全国新酒鑑評会”や“インターナショナル・ワイン・チャレンジ”等であまたの受賞暦を誇る『尾畑酒造』が、学びや交流まで生み出す仕込み蔵として運営しています。
「日本一の夕日」に染まる、築136年の歴史を誇る校舎学びの丘。
施設名を冠した純米酒の『学校蔵』は、“オール佐渡産による酒造り”がモットー。地元の『佐渡相田ライスファーミング』が“牡蠣殻農法”で育てた酒米『越淡麗』を主に使用し、牡蠣の殻をミネラル豊富な肥料の一部としたり、土壌に混ぜてより良い土に改良するなどした、佐渡の海と大地を循環する農法も応援しています。
学校蔵をプロデュースした尾畑留美子氏。本体である尾畑酒造の五代目蔵元でもある。
こうして佐渡産の酒米100%で醸された純米酒は、佐渡産の杉材を浸漬されることで爽やかな木香を膨らませていきます。まさに、木造校舎のぬくもりを感じられる学校蔵ならではの酒造り。清酒製造免許の関係で当面はリキュール表記となるそうですが、真摯(しんし)で丁寧な本物の日本酒です。

「酒造り」「学び」「環境」「交流」の4つの柱で運営。

「酒造り」「学び」「環境」「交流」の4つの柱で運営。 敷地内に設置された太陽光パネル。酒造りのエネルギーも「オール佐渡産」を目指す。
『学校蔵』を企画したのは、尾畑酒造の社長・平島健氏と専務・尾畑留美子氏でした。日本で一番夕日がきれいな小学校が少子化で廃校になってしまう、と聞いて、「なんとか残したい!」と一念発起。その類いまれな景観とロケーションを生かして『学校蔵』の構想を立ち上げました。尾畑酒造の平島社長は酒造りと学びを構想したそうですが、さらに交流の場として生かすことを留美子氏が提案。『酒造り』『学び』『環境』『交流』の4つの柱で運営することになりました。
人気の「仕込み体験」には海外からの参加者も訪れる。学校蔵のブランド確立と佐渡のファン作りが目標。
ノスタルジックな廃校を舞台に人々と取組みの輪が広がる。
酒は夏場に仕込み、タンク1本につき3名前後の仕込み体験の生徒を一週間通ってもらうことを前提に受け入れています(2017年はタンク4本の仕込みを実施)。そして「オール佐渡産の酒造り」というモットーに従って、酒造りに必要なエネルギーも佐渡産でまかなえるように模索。東京大学IR3Sとの共同プロジェクトの一環として、敷地内に太陽光パネルを設置し、電気の100%を自然再生エネルギーでまかなえるようにしました。

日本の縮図とも言える島から、日本の将来を見据える。

日本の縮図とも言える島から、日本の将来を見据える。 「学校蔵の特別授業」の様子。年齢も立場も分け隔てなく学べる。
さらに、様々な組織・学校・企業などとコラボレーションして、『学校蔵の特別授業』と題したワークショップも開催しています。佐渡は「日本の縮図」とも呼ばれる地域で、それ自体がミニマムな国のような文化や歴史を持っているそう。佐渡が抱える少子高齢化などの様々な問題は、日本全体の将来にも当てはめられるものなのです。そういった背景をベースに、「地方の希望」「世界とつながる」といったテーマを掲げて、第一線で活躍する識者達による「学び」をも提供しています。
「日本の課題先進地」と言われる佐渡の地から、過疎や地方創生などの普遍的な問題を問う。

佐渡と世界をつなぎ、酒を通じて世界中の人々が集う場所を目指す。

佐渡と世界をつなぎ、酒を通じて世界中の人々が集う場所を目指す。 佐渡の空に舞う朱鷺(トキ)。この土地だからこそ「学校蔵」は生まれた。
平島健氏と留美子氏が企画し、その創造性や先進性に惹かれて集った人々が盛り立ててくれるようになった『学校蔵』のプロジェクト。各方面への多様な広がりを助けたのは、やはり「日本で一番夕日がきれいな小学校」という唯一無二のロケーションです。
「この場所に来ると、佐渡に縁がなかった方々でも『懐かしい』と感じてくださるようです。学校という誰もが想い出を積み重ねてきた普遍的な場所と、旧西三川小学校という特別な存在が放つ魅力。ここに漂う空気や存在感に、若い方々も年配の方々も感銘を受けてくださるみたいです」と留美子氏は振り返ります。
学校蔵を運営する「真野鶴醸造元・尾畑酒造」の酒。数々の賞を受賞した確かな実力が光る。
雄大かつ美しい夕日に染まる校舎と、日没後に広がる空一面の星空。そんな自然と一体化した『学校蔵』に誰もが魅せられ、かけがえのない空間と体験が共有されて、交流の輪を広げていきます。年齢も立場も問わずに集えるだけでなく、多様性をもやさしく包み込んでくれる場所――それはやはり『学校』というロケーションだからこそ実現できたのではないか、と留美子氏は語ります。

「最近は海外から訪れてくださる方も増えています。今後は佐渡と世界をつなぐ存在を目指したいですね。お酒の仕込み体験もワークショップも特別な海外向けの情報発信を行なっているわけではありませんが、それでも見つけて足を運んでくださる方々がいるので、その事実を生かしていければ。さらに、せっかく佐渡に訪れてくださったからには是非ゆっくり滞在していただいて、島の魅力・風土・文化などに深く触れていただきたいと考えています。そして『佐渡という稀有な島で造るからこそ、こんなお酒が生まれるんだな』と気づいていただければ、とても嬉しく思います」。
学校蔵は「仕込み体験」と「特別授業」の期間以外は非公開だが、運営元の「尾畑酒造」は酒蔵見学を随時受け付けている
酒造りを通じて、世界中の人々が集える場所に。外から訪れた人々だけでなく、佐渡の人々とも交流できる場所に。廃校の保存と活用という基本から大きく踏み出して、学校蔵はさらなる境地を目指します。

写真提供:尾畑酒造株式会社

尾畑酒造 学校蔵(オバタシュゾウ ガッコウグラ)

新潟県 新潟県佐渡市西三川1871 MAP

0259-55-3171 (真野鶴醸造元 尾畑酒造株式会社)

https://www.obata-shuzo.com/home/gakkogura/

※学校蔵は「仕込み体験」・「特別授業」以外は非公開 ※運営元の「尾畑酒造株式会社」の蔵見学は随時受付


ONESTORY

「ONESTORY」は「ONE SPOT,ONE TRIP」をテーマに日本に潜むONE=1ヵ所を求めて旅するトラベルメディアです。そのONEは地域で活躍する人との出会いや宿、レストランのような場所など様々。ONEを深く知ることによって生まれるSTORY=物語の感動をお伝えします。

http://www.onestory-media.jp/

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