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太夫、三味線、人形遣いの三業が織り成す「文楽」の世界へ。豊竹咲寿太夫さんインタビュー

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太夫、三味線、人形遣いの三業が織り成す「文楽」の世界へ。豊竹咲寿太夫さんインタビュー
江戸時代に発展をとげた人形浄瑠璃文楽(にんぎょうじょうるりぶんらく)は、日本が誇る伝統芸能としてユネスコの無形文化遺産に登録されています。太夫(たゆう)の語りと三味線、人形遣いの連携で物語を届ける文楽のなかでも、物語に節をつけて語る太夫の若手ホープとして活躍する豊竹咲寿太夫さん。さまざまな活動を通して文楽の素晴らしさを伝える彼に、その魅力についてお話しいただきました。

プロフィール

豊竹咲寿太夫(とよたけ さきじゅだゆう)/大阪府出身。国立文楽劇場近くの高津小学校で文楽を学んだのをきっかけに、豊竹咲太夫氏に師事。公益財団法人文楽協会の技芸員 となり2005年7月に国立文楽劇場で初舞台。Instagram @sakiju ブログhttps://ameblo.jp/sakiju/

流行を取り入れて進化をとげ、江戸時代に花開いた芸能

文楽は、正式には「人形浄瑠璃文楽」といいます。仏教の法話に節や楽器をつけたのが語り物のはじまりとされていますが、これがエンターテインメントとして流行して、鎌倉時代には琵琶法師が『平家物語』などの物語を演奏するようになります。次第に三味線が琵琶にとって代わり、節のついた物語プラス三味線という「浄瑠璃」の基本形ができあがりました。更に江戸時代初期には傀儡(くぐつ・操り人形のこと)と組み合わせて演じられるようになり、「人形浄瑠璃」が生まれます。
人形浄瑠璃は江戸時代半ばに全盛期を迎えますが、その立役者が竹本義太夫。大坂に竹本座を建て、人形浄瑠璃の劇場主・興行主・主演を兼ねました。さらに同時代に活躍した劇作家・近松門左衛門と組み、当時流行していた歌舞伎の題材も取り入れます。それまでは歴史的な偉人の話(時代物)をやっていましたが、町人の物語(世話物)を作るようになって好評を博し、全国的に普及します。

今も昔も変わらぬ人間の情を“物語”として純粋に楽しむ

今も昔も変わらぬ人間の情を“物語”として純粋に楽しむ 首(かしら)と右手を操る「主遣い」がリーダーとなり、黒衣姿で左手を操る「左遣い」と足を操る「足遣い」にサインを出しながら1体の人形を動かす ※平成30年9月文楽公演より『夏祭浪花鑑』/提供:国立劇場
文楽は太夫、三味線、人形遣いの三業から成り立っています。3人がかりで1体の人形を操るのが人形遣い。3人が呼吸を合わせて、木彫りの人形にさまざまな役を演じさせます。人形は大きいもので170㎝ほどあります。太夫は、登場人物のセリフから情景描写までを語り分けて物語を進める役。太夫の語る義太夫節には、大阪弁の抑揚で節がつけられており、その節を弾くのが三味線です。文楽の三味線は伴奏とは違い、太夫の語りとは合わせません。太夫と三味線がそれぞれの呼吸でやるので、大きなところではぴったり合いますが、声と三味線が歌のように重ならず、そうすることで語りが聞き取りやすくなります。正面の舞台で人形遣いが人形に命を吹き込み、太夫と三味線が舞台右側の客席に張り出した舞台(床)で語る、という構成ですね。
文楽で演じられる物語は、普遍的な人間の情の移り変わりが主題になっています。だから、300年も400年も続いている物語なのに、今の人も感情移入して泣くんですね。文楽の主役は「物語」そのもの。声のプロ、音楽のプロ、描写のプロ。それぞれの技術が溶け合って純粋に物語をお届けする、それが文楽の最大の魅力です。

世界に誇る伝統芸能もっと知ってもらいたい

世界に誇る伝統芸能もっと知ってもらいたい
文楽の主な劇場は大阪の国立文楽劇場と東京の国立劇場で、ほぼ1か月ごとに行き来するほか、合間に地方公演も行ないます。初めて文楽を観る方は、もう300年ぐらい前にネタバレしているので(笑)、あらすじは知っておいた方が楽しめますね。物語は江戸時代の言葉で語っているので、学校で習う古典ほど難しくないんですよ。舞台には字幕が出ますし、音声ガイドの貸し出しもあります。
文楽というと難しいと思われがちですが、まずは一度ふれてみてほしい。僕は祖母の影響で昔から伝統芸能にふれる機会が多かったのですが、幼いころに観たもの全部、理解はできていなくても脳裏に焼き付いているんですよね。もちろん大人になってからでも全然遅くないですし、純粋に文楽というものを感じにきてもらえれば。最近は海外からのお客様も増えていますが、逆に日本での知名度が低くなってしまっている。世界に誇る文楽の魅力をもっとたくさんの方に知ってもらいたいです。

国立劇場(コクリツゲキジョウ)

東京都千代田区隼町4-1MAP

03-3265-7411


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豊竹咲寿太夫さんへのインタビュー全編は、発売中の「ことりっぷマガジンVol.19 2019
冬号」でお読みいただけます。書店で見かけたらぜひチェックしてくださいね。
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※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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