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[インタビュー]3月15日公開、映画『まく子』の作者・西加奈子さん

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[インタビュー]3月15日公開、映画『まく子』の作者・西加奈子さん
人間味あふれる独特の世界観と言葉が、読む人の心をつかむ小説家の西加奈子さん。直木賞を受賞後、第一作目に発表した書き下ろし長編作に『まく子』があります。3月15日(金)に全国公開を控え再び話題の小説について、また旅の話をお聞きしました。

プロフィール

小説家・西加奈子(にしかなこ)/テヘラン生まれ。カイロ、大阪で育つ。2004年『あおい』で小説家デビュー。2007年『通天閣』で織田作之助賞、2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で直木賞を受賞。近著に『おまじない』がある。2012年に結婚後、現在は仕事と育児を両立中。

映画公開に先がけて、2月12日に文庫版『まく子(福音館文庫刊)』(702円)も発売開始

子どもたちとかつて子どもだった大人に向けて書いた一冊

― もともと直木賞受賞作『サラバ!』の前から書き始めていた作品だそうですね。
直木賞受賞で中断して、もう一度書くぞという時に「小学5年生の男の子ってこんな感じ」な内容になっていたのが嫌で、すべて書き直しました。テーマは変わらずに「変化する」こと。自分も老いていく変化の中にいて、手に負えないものへの恐怖があったので、それをそのまま主人公のサトシくんの声を借りて書くことにしたのが『まく子』です。この作品は、子どもを描くのではなく、私自身がサトシくんと一緒になって、悩み、考え、恐れたことで、自分の身体が変わっていく、さらにその先を恐れていると気がついて、恥ずかしいくらいに正直で全部さらけ出したような一冊になったと思います。
映画『まく子』。小さな温泉街に住む小学5年生のサトシ(山﨑光)は、子どもと大人の狭間で戸惑いを抱えていた。そんな彼が転入生の不思議な美少女コズエ(新音)との出会いを通し大きく成長していく物語。
― 映画をご覧になりいかがでしたか?
あの配役とロケーションに出会えたことが奇跡!ロケ地の四万温泉は美しい場所でしたね。行ってみたいと思いました。好きなのは、コズエを信じて子どもだけでなくて大人も石垣に集まるシーン。「えっ大人も信じたん(笑)」って思いましたが重要なことです。信じることは、裏切られても恥ずかしいことではないし胸を張れること。私のように世界が美しく見えるようになるかもしれません。

映画『まく子』

2019年3月15日(金)〜 テアトル新宿ほか 全国ロードショー

出演:山﨑 光、新音、須藤理彩/草彅 剛 
原作:『まく子』西加奈子(福音館書店 刊)
監督・脚本:鶴岡慧子
主題歌:高橋 優「若気の至り」
(ワーナーミュージックジャパン/unBORDE)
2018年/日本/108分 配給:日活
©2019「まく子」製作委員会/西加奈子(福音館書店)

http://makuko-movie.jp/

本の世界へ入り込める、言葉で描かれている場所へ

― 旅はお好きですか?
時間があればいつでも旅をしたい人です。旅の工程を考えて、1冊か2冊必ず本を持って行きます。旅の思い出と、その本がリンクするというか。旅先に持っていった本を後々読み返した時に「あの場所で読んだな」とか思い出すのが好きで、ページ数の多い厚い本を持って行きます。

西さん推薦の「旅へ行きたくなる本」

西さん推薦の「旅へ行きたくなる本」
『両方になる(アリ・スミス著/木原善彦訳/新潮社刊)』
15世紀の画家の話と21世紀の少女の物語の時代を越えてリンクする、巧みなストーリー展開が素敵な作品。登場するフレスコ画を見たいです。
『HHhHプラハ、1942年(ローラン・ビネ著/高橋啓訳/東京創元社刊)』
悲しいお話ですが、実際に彼らが戦って死んでいった防空壕に行きたいと思った一冊。その場所で読むとまったく違う感覚になります。

西さん推薦の「旅先で読みたい本」

西さん推薦の「旅先で読みたい本」
『ムーン・パレス(ポール・オースター著/柴田元幸訳/新潮文庫刊)』
ポール・オースターの描いている90年台のニューヨークが好きなんです。私の好きなヒップホップのムーブメントとも合っていて行ってみたいと憧れました。
『津軽(太宰治著/新潮文庫刊)』
竜飛岬が寂しくて(笑)。太宰の性格や死んでしまいたいと思う気持ちがすごくわかるので、青森へ旅し、本に描かれている場所で読むと良いですよ。


― 最後に西さんからひと言
「旅って、今ある世界とは違う場所、別の世界があることを知りますよね。それってものすごく素晴らしい逃避で価値観を壊すきっかけになります。特に海外に行けば日本という狭い世界にいることに気づかされるしね。
小説に関しても、違う世界に連れて行ってもらえて、何かに気づかせてくれるような感覚があるかもしれません。

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インタビューのさらに詳しい内容は2019年3月8日発売の「ことりっぷマガジン2019春号」で読むことができます。ぜひ本誌を手に取ってチェックしてみてくださいね。
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ことりっぷマガジンVol.20

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※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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