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風景のうつろいを映す、静寂の宿。[ゆふいん 山荘わらび野/大分県由布市] by ONESTORY

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風景のうつろいを映す、静寂の宿。[ゆふいん 山荘わらび野/大分県由布市] by ONESTORY
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から大分県由布市の「ゆふいん 山荘わらび野」を紹介します。

森に溶け込む、美術館のような佇まい。

森に溶け込む、美術館のような佇まい。 木のようなコンクリートのような、不思議な建材のファサードが目を引く。
緑に覆われた森の中に現れる、モダンな建物。こんな所に美術館が?と思いきや、ここは旅館。約3,500坪の敷地に、7つの客室棟、レセプション棟、レストラン棟が周囲の自然と呼応するように融け合い、点在しています。ここ『ゆふいん 山荘わらび野』は、懐かしく温かい、この土地の文化と風土を体感できる「由布院の風景を纏う宿」として、2019年2月にオープンしました。
客室は一棟一棟が離れており、プライバシーが守られている。

震災で3年休業したのち、モダンに生まれ変わった。

震災で3年休業したのち、モダンに生まれ変わった。 客室は全13室で、全て専用風呂とキッチンつき。写真はメゾネットスタイリッシュスイート。
実は宿の歴史は長く、1988年に開業した小さな旅館が原点。現支配人・高田陽平氏の両親が山野に植木をして切り拓き、7室の旅館からスタート。以降も和風旅館として親しまれてきました。ところが、2016年の熊本地震により休業を免れない状態に。一度全て建物を取り壊し、3年という長期の閉館後、それまでの趣とは全く違ったスタイリッシュないでたちで生まれ変わったのです。

日田の石と木材を建物の随所に。現代アート作品のような空間。

日田の石と木材を建物の随所に。現代アート作品のような空間。 床や壁には日田の石を使用。床暖房付きで、夏はひんやり、冬は温か。
陽平氏を支えるマネージャー的存在の弟・淳平氏は「他の宿では得られない、ゆったりとした“由布院時間”を過ごしてほしい」と話します。主となる建築デザインは『植原雄一建築設計事務所』。景観と一体化し土地に馴染んできたかつての「山荘わらび野」の思考を取り入れ、地元の材料を使い、ゲストがでしか味わえない極上の時間を過ごせるラグジュアリーな空間を演出しました。
部屋は4タイプ。写真はスタイリッシュスイート。
レセプションのエントランスには杉の板にコンクリートを流した珍しい建材を使用。コンクリートでありながら、木の風合いが感じられ、柔らかさを醸しています。建物全体にも日田の石貼りを基調とし、家具はチーク材で統一。部屋の窓は縁取りを大きくして庭を一枚の絵画のように眺められる設えにしました。
1組限定のメゾネットラグジュアリースイート。2階に露天風呂と、由布岳を望むテラスを備える。

自家米や野菜、地元の海山の幸。五感を満足させる「食」。

自家米や野菜、地元の海山の幸。五感を満足させる「食」。 カヌレは栗やリンゴ、湯布院の茶葉を使ったものなど多彩。
ユニークなのは、ウエルカムスイーツとして供されるカヌレ。こちらは震災後に淳平氏が妻とともにオープンしたカヌレ専門店『カランドネル』のものです。
以前は部屋食だったが、レストランにしたため出来たての料理を提供できるように。
そして中屋敷のレストランで頂く食事は、近海産の魚介類、豊後牛、由布院野菜といった旬の素材、自家米を使った創作料理。室内に備えられたTANNOYのスピーカーからまるで生演奏のように聴こえてくる音楽に身を委ねながら、優雅な食の時間を満喫できます。
夕食の一例。豊後牛、地元の魚介など山海の幸を盛り込んだ和の創作料理。
料理は一品一品供されるコーススタイル。

建物を壊すことよりも、人を切ることが辛かった。

建物を壊すことよりも、人を切ることが辛かった。 レセプション棟の2階にはシックな雰囲気のバーもある。
もちろん、震災から再興し、ここまでの空間を作り上げるのは容易なことではありませんでした。膨大な再建費用や再生にかかる労力はもちろんですが、何よりも辛かったのは、閉館する際にそれまで勤めていた従業員を解雇せざるをえなかったことだと言います。30年の歴史の中で共に支え合ってきた15人の社員は、事情を受け入れ、「解散」となりました。しかし、高田一家の「地震で由布院を終わらせない」という気概と、地域の人々の支えにより宿を再開。リニューアルオープンのセレモニーでは多くの人が喜びを分かち合い、戻ってきた従業員の顔も並びました。また昔のメンバー以外にも、アパレル系など全く違う分野に勤めていたスタッフも加わったことで、よりサービスや企画の幅が広がったと言います。
源泉掛け流し。由布院の湯は臭いやクセがなく、さらっとした湯触りが特徴。

高級だけど、気取らない。家族のように温かく。

高級だけど、気取らない。家族のように温かく。 レセプション1階には由布院の作家による竹かごのバッグなどを展示販売するショップがある。
震災前に比べて宿泊料金の単価も上げ、敢えて高級路線に舵を取った「山荘わらび野」。宿泊客から多いのは、「ホスピタリティが素晴らしかった」という感想だと言います。スタイリッシュで現代的な空間ながら、アットホームで心の通ったサービス。それは、淳平氏が若いスタッフたちに「ゲストを自分のお母さんやおばあちゃんだと思って、喜んでもらえるようなおもてなしを」と常々伝えていることから生まれるのです。
周りには何もない。だからこそ、ここでの時間が濃厚で充実したものになる。
これからの時期、由布院は一層緑が輝く季節です。木々に覆われた密やかな宿で、上質な食と自然を味わう、贅沢なひととき。そんな都会とは流れが違う、ゆったりした「由布院時間」を感じに行ってみてください。
写真提供:ゆふいん 山荘わらび野

ゆふいん 山荘わらび野

大分県 由布市湯布院町川北952−1 MAP

0977-85-2100

チェックイン15:00~、チェックアウト12:00

http://www.warabino.net/

料金:1泊2食 38,000円〜


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