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香木にじっくり心を傾ける特別な時間。北鎌倉・東慶寺「体験香道」

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香木にじっくり心を傾ける特別な時間。北鎌倉・東慶寺「体験香道」
木々の緑が風にそよぎたくさんの自然に囲まれた北鎌倉にある東慶寺では、体験香道を催しています。普段は入ることのできない静かな茶室で、伽羅や沈香の雅な香りに向き合って日本の伝統文化に触れられてはいかがでしょうか。

足を止め、北鎌倉の風情を満喫する休日

足を止め、北鎌倉の風情を満喫する休日 北鎌倉駅から徒歩4分
初春の梅に始まり6月初旬のイワガラミや梅雨時のアジサイなど一年を通して四季折々の花が咲く北鎌倉の東慶寺。細い階段の先にあるかやぶきの山門をくぐると境内はおだやかな空気が漂います。本堂では坐禅、白蓮舎では写経と挿し花、茶室では香道と茶道の体験会が毎月開かれ、初心者向けの内容が参加しやすいと評判です。
木々に咲く花のほかに可憐に咲く草花も目を楽しませてくれる

体験香道が開催される茶室「寒雲亭」

体験香道が開催される茶室「寒雲亭」 木々に囲まれたしっとりとした佇まい
裏千家ゆかりの茶室・寒雲亭は、真行草の天井と櫛型の欄間のある名席です。趣のある日本建築に触れる機会にもなりますね。
体験香道の講師は武家文化の流れをくむ志野流・山田那央氏、手前は佐藤幸子氏です。
開催時間になると案内していただけるので、それまでは寄付(よりつき)で待つことにしましょう。
苔むした門を奥へと進み寄付と呼ばれる待合室に入る (右上)寄付(右下)寒雲亭

平安貴族に思いを馳せる香道

平安貴族に思いを馳せる香道 しっかりと香りに向き合って感じ取ることから、香道では香りを嗅ぐことを「聞く」と表現する
平安時代、貴族たちは香木をはじめとする薫香原料を調合して、天皇でさえ自分好みの香りを手作りし、衣服や頭髪、扇などに芳香を炷きしめていました。そのような香りの文化は、室町時代に至って香道という香りの芸術の誕生へと繋がっていきました。香道の初期の段階では複数の香木を使ってそれぞれの香りの違いを聞き分けて正解数を競う組香がとり入れられるように。今回は数百種類ある中から寝覚香を体験しました。

秋の夜長の風情にひたる組香・寝覚香

秋の夜長の風情にひたる組香・寝覚香 香炉の灰の中には熱した炭団が入り、香木を銀葉に載せると熱で香りが立ち上がる
寝覚香では香包に納められた4種の香木が用意され、砧(きぬた)、鹿、虫、枕と名づけられています。香木には伽羅などが使われていて、砧、鹿、虫はどのような香りなのかを聞く試香があります。その3種をそれぞれ2包ずつ、計6包から香元(手前)が無作為に3包とり、そこに試香のない枕を加えた4包が炷きだされます。その4包の香りを聞き当てる組香です。

さあ、いよいよ香りを聞いていきます

さあ、いよいよ香りを聞いていきます 香炉や重硯箱は畳の縁内(へりうち)で扱う
和室に入ると奥からコの字型に座ります。はじめに講師から香道のわかりやすい話があるので緊張していても次第にリラックスムードに。場の雰囲気が整うと試香がはじまり正客から順に香りを聞いて、聞き終わったら左隣の人との間に置いて次々とおくっていきます。

雅な香りを全身で感じ取る

雅な香りを全身で感じ取る 左手の親指を香炉のせがいにかけ、香りの特徴を尋ねるイメージで3回聞く
香炉は右手の横持ちであつかい、左手の手のひらに置きなおしてしっかり持ちます。右手で覆い香りをこもらせると聞きやすくなります。
香道は作法も確立された奥の深い文化ですが、体験ではあまり形式にとらわれることなく高貴な香りを楽しめますよ。

香元より「出香」の声がかかる

香元より「出香」の声がかかる 記紙には例えば「砧・枕・虫・鹿」といった具合に答えを書き自分の名前も記す
試香が終わると、香元の「出香」という言葉で先ほど選んだ4包の香りが順にまわってきます。香木の名前は秋に由来し、砧はトントンとたたいて衣服のしわを伸ばす道具で、こうした作業は夜なべ仕事の一つでした。また虫の音や鹿の求愛の鳴き声も秋の夜の情景を連想させます。そんな風情にひたりながら香りを聞くのもおすすめです。
試香で聞いた香りの記憶を頼りに記紙に答えを書きとめて提出します。

結果が気になりつつも体験では香りを楽しむのが一番

結果が気になりつつも体験では香りを楽しむのが一番 個人や友達同士のほかに、夫婦での参加も見られる
全員の回答はその場で記録されて香記という一覧表になります。香記が出来上がるまでの間、道具の紹介や質問などにも丁寧に答えてくれるのもこうした体験席ならでは。理解もより深まりますね。

出来上がった香記を拝見する

出来上がった香記を拝見する 香記は高点者が持ち帰ることができる
全部をピタリと聞くのは経験者でも難しいといわれ、それだけにすべて正解すると「寝覚」と記録して讃えられます。3つ当てると「暁寝覚」2つは「旅寝覚」1つは「宵寝覚」とそれぞれの結果を寝覚めの様子で表し、すべて聞き外してしまった場合は「夢」。奥ゆかしさの中にも遊び心が感じられる楽しい組香です。

体験香道(参加費4500円・入山料込)は予約制で8月を除く毎月第2日曜開催です。季節にあわせた組香は日本古来の趣きがあり、外国人観光客の参加者も増えて国際色豊かです。鎌倉での楽しみの一つに加えてくださいね。

東慶寺(トウケイジ)

神奈川県 鎌倉市山ノ内1367 MAP

0467-22-1663

8:30~16:30(10月~3月は~16:00)

無休、松岡宝蔵は月曜休み※祝日の場合は火曜


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文:

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