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鉄道遺産に泊まり、土地の味とぬくもりに触れる。新たなスタイルの旅の提案。[Classic Railway Hotel 人吉球磨/熊本県人吉市矢岳町]by ONESTORY

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鉄道遺産に泊まり、土地の味とぬくもりに触れる。新たなスタイルの旅の提案。[Classic Railway Hotel 人吉球磨/熊本県人吉市矢岳町]by ONESTORY
日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から熊本県人吉市矢岳町の「Classic Railway Hotel 人吉球磨」を紹介します。

「駅でチェックイン、部屋までは列車でどうぞ」? 1日1組限定の不思議な宿。

「駅でチェックイン、部屋までは列車でどうぞ」? 1日1組限定の不思議な宿。 切り文字の陰影が美しい照明サインは、ロートアイアン作家の樺山明氏が制作したもの。
チェックインは駅。“部屋”までは列車で移動し、ディナーも宿泊も駅で。そんなユニークなホテルが2019年8月2日、熊本県人吉市に誕生しました。その名も「Classic Railway Hotel 人吉球磨」。JR肥薩線がつなぐ3つの駅施設を一つの「ホテル」、線路を「廊下」と見立てて、レトロな鉄道遺産の中でのステイや宿泊を楽しんでもらおうという宿泊施設です。
ディナーの後は、クラシックな専用車で星岳・月岳まで送迎。

日本の鉄道技術を集結させた、ファン垂涎の肥薩線。

日本の鉄道技術を集結させた、ファン垂涎の肥薩線。 大場駅の裏山にある宮地嶽神社から眺めた人吉球磨。
鉄道ファンにも人気のJR九州肥薩線。明治42年(1909)に全線開通し、2019年に110年を迎えました。最後に開業した人吉駅〜吉松駅間は高低差が大きいため、円を描いて緩やかに前進するループ線やジグザグに前後進を繰り返すスイッチバックなどの鉄道技術が用いられ、明治時代の歴史を伝える貴重な鉄道遺産でもあります。そんな日本の鉄道技術の粋が集められた肥薩線を走る観光列車「いさぶろう・しんぺい」は、大畑駅や真幸駅のスイッチバック、大畑駅〜矢岳駅間のループ線、そして「日本三大車窓」のひとつに数えられる霧島連山の絶景を楽しめることで人気を博しています。
吉松行きが「いさぶろう」、熊本・人吉行きが「しんぺい」。明治時代の鉄道の偉人にちなんだネーミング。

土地の人々が大切にしてきたパーツを組み合わせ、新たな観光資源へ。

土地の人々が大切にしてきたパーツを組み合わせ、新たな観光資源へ。 大畑駅の駅舎内に名刺を貼り付けると立身出世するというジンクスがある。
他にも温泉などの観光資源を数多く持つ人吉市は、「日本で最も豊かな隠れ里」として2015年、日本遺産に認定。しかし、ほとんどが観光列車で素通りするのみで、列車を降りて街に滞在する観光客はわずかでした。宿泊客は全体の1割にも満たず、少子高齢化、人口減少、集落の空き家問題、鉄道の運行本数の減少などから活力を失っていました。そんな現状に危機感を感じた地域住民が「自分たちの街を元気にしたい」と「株式会社NOTE人吉球磨」を設立。鉄道ファンからも人気が高い肥薩線の大畑駅周辺の活用を計画しました。

2017年8月には人吉市とJR九州、肥後銀行、NOTEの4社で協定を締結。「一度列車を降りて駅敷地内に足を踏み入れてもらう」ことを狙いとし、沿線全体を複合宿泊施設として再生させる「Classic Railway Hotel 人吉球磨」プロジェクトを始動。JR九州肥薩線沿線にある木造駅舎や旧駅長宿舎、駅周辺の古民家など、明治末期の歴史的建造物をホテルやレストランに再生する構想をスタートさせました。

ノスタルジックな秘境駅の建物がキュイジーヌに。

ノスタルジックな秘境駅の建物がキュイジーヌに。 夜は1日1組、宿泊客限定のプライベートディナー。
まずは、日本で唯一、ループ線の中にスイッチバックが併設されている「大畑駅」の1909年築の旧国鉄保線区詰所を改装し、レストラン「囲炉裏キュイジーヌLOOP」として2018年9月にオープン。熊本県生まれでフランスや東京レザンジュなどで腕を磨いた後に人吉でレストランを経営していた中務雅章氏をシェフに迎えました。

料理は「人吉球磨の郷土料理とフレンチの融合」をコンセプトに、地元の肉や野菜、そして球磨焼酎など郷土の味をフレンチに仕立てた季節のコース料理を提供。ディナーは宿泊客のみですが、ランチでもくまもと黒毛和牛や地鶏などのメインに野菜パフェが付いた「囲炉裏フレンチBBQミニコース」を用意。また「季節の給水塔パフェ」「水源地珈琲」などカフェ使いできるメニューもあり、旅の途中に立ち寄れるカフェ&レストランとして話題を呼んでいます。

旧駅長宿舎をリノベーションし、地元の木材を生かしたホテルに。

旧駅長宿舎をリノベーションし、地元の木材を生かしたホテルに。 「星岳」は定員4名(102㎡)。田舎の古民家らしい風情と快適性を兼ね備えた空間に。
そして2019年8月にオープンしたのが1日1組限定、一棟貸し宿泊施設の「星岳・月岳」。「星岳」は明治末期に建てられた国の登録有形文化財登録の「旧国鉄駅長官舎」で、全国的にも現存するものが少ない明治の鉄道官舎建築の一つです。建材に良質の杉を使用した外観は風格があり、館内には和室2室、床張りのベッドルーム、ダイニングキッチン、檜の浴槽を備えたバスルームをしつらえました。

家具は一勝地曲げ職人の淋正司氏が制作。球磨村の山から伐り出されたベニタブの木の端材をベッドボードに使用し、テーブルやキッチンカウンター、風呂桶なども木目が美しく、センスが光る空間です。離れの古民家を改装した「月岳」は今後オープン予定とか。
アメニティはガーゼのパジャマや、今治タオル、オーガニックソープなど手触りや心地よさを追求。

その土地を走る鉄道、その土地で採れる食材が紡ぐ旅のストーリー。

その土地を走る鉄道、その土地で採れる食材が紡ぐ旅のストーリー。
実は「Classic Railway Hotel 人吉球磨」は、NOTE人吉球磨が古民家再生までを行い、その後は株式会社クラシックレールウェイホテル(仲島秀豊代表)が運営しています。目指すのは、その土地の暮らしや原風景に触れながら「宿泊」「飲食」「アクティビティ」を楽しむことができる新しい旅のスタイル。中島氏は「新たな滞在拠点となることで、観光列車で通過するだけでは知ることのできないディープな魅力を五感で味わってもらいたい」と話します。第2弾は熊本県の他地域で開業を検討中。また、今後は九州地域の鉄道沿線に同じコンセプトのホテル・レストランを展開する予定で、2025年までには九州7県すべてで拠点開発をし、九州をまるごと楽しめる鉄道一周ツアーを企画する構想もあるのだそう。

土地の歴史を伝える建物に泊まり、自然を目と耳で感じ、食を堪能する。そんな滞在こそ、その土地のストーリーを五感で味わう旅と言えるかもしれません。

写真提供:Classic Railway Hotel 人吉球磨

大畑駅レストラン「LOOP」&本部

熊本県人吉市大野町4301

0966-23-1003

水曜日


矢岳駅 古民家一棟貸し「星岳・月岳」

熊本県人吉市矢岳町字葭ノ本4762

080-2131-3663


Classic Railway Hotel 人吉球磨

熊本県

http://www.crh1.jp/index.html

2名 ¥80,000(ディナー・朝食付き1泊、JR人吉駅〜矢岳駅の電車代を含む、定員4名)


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