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渋谷という街から、改めて発信する伝統工芸の価値。[Discover Japan Lab./東京都渋谷区]by ONESTORY

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渋谷という街から、改めて発信する伝統工芸の価値。[Discover Japan Lab./東京都渋谷区]by ONESTORY
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から東京都渋谷区の「Discover Japan Lab.」を紹介します。

『DESIGNING OUT Vol.2』のプロダクトが、東京に登場。

『DESIGNING OUT Vol.2』のプロダクトが、東京に登場。 リニューアルオープンした『渋谷PARCO』の1階に国内初出店となった『Discover Japan Lab.』。『Discover Japan』編集長の高橋俊宏氏に話をうかがった。
地域に眠る魅力を掘り下げ、その価値を発信する『ONESTORY』と月刊誌『Discover Japan』。そんな同じ思いを持つ両者が手がける『DESIGNING OUT』は、日本に眠る伝統的なデザインに最先端のクリエイションを加え、新しいプロダクトとして開発、発信するプロジェクトです。

2019年10月、石川県輪島市を舞台に行われた『DINING OUT WAJIMA with LEXUS』の会場では、『DESIGNING OUT Vol.2』として、世界的建築家・隈 研吾氏が手がけた輪島塗の器が披露されました。
あの輪島の夜、ある人はうっとりと眺め、ある人は慈しむように手触りを確かめた美しい器。それがこのたび、東京にやってきました。それも再開発に沸く渋谷の街に。
『Discover Japan Lab.』は、月刊誌『Discover Japan』が見つけ出した日本各地の伝統工芸をセレクトするショップ。
『DESIGNING OUT Vol.2』の器は『DINING OUT WAJIMA with LEXUS』の晩餐で実際に使用された。
2019年11月にリニューアルオープンを果たした『渋谷PARCO』の1階、『Discover Japan Lab.』と名づけられたその店は、『DESIGNING OUT Vol.2』の器のみならず、日本の伝統工芸の美しさを追求するセレクトショップ。本誌の特集と連動して毎月の店頭商品も入れ替わる、まるで『Discover Japan』の誌面がそのまま形になったかのような店でした。
世界的建築家の隈氏が、国指定重要無形文化財である輪島塗に新たな風を吹き込んだ。(写真は『DINING OUT WAJIMA with LEXUS』の様子)

雑誌を編集するように、レイアウトされる店舗。

雑誌を編集するように、レイアウトされる店舗。 『DESIGNING OUT Vol.2』の器は6枚セット。重ねることで隈氏らしい建築美を表現する。45万円(税別)にて数量限定で販売中。
新生『渋谷PARCO』の正面玄関を入ってすぐ左手。施設の顔となるような位置に『Discover Japan Lab.』はあります。対面には誰もが知るハイブランドの店舗。しかし『Discover Japan Lab.』の店頭に並ぶ工芸品の数々は、どこにも負けぬ存在感を放ち、堂々と鎮座しています。

「日本のものづくりが、世界的に見ても素晴らしいものであることを、改めて伝える場」。月刊誌『Discover Japan』の編集長・高橋俊宏氏は、このラボの意味をそう話します。かつて最先端のカルチャーを生み出し、発信した『渋谷PARCO』という場所から、日本の伝統をもう一度世に送り出す。そこに、日本のものづくりを見直すきっかけを見出したのです。

店長・守屋成美さんをはじめとしたスタッフが、雑誌をめくるように全ての商品のストーリー、バックグラウンドを解説する。
この日は『嬉野茶時(うれしのちゃどき)』による、嬉野茶の試飲サービスも行われていた。
そんな店のオープニングのトップに『DESIGNING OUT Vol.2』を据えたのは、「隈さんは100以上ある輪島塗の工程を全て読み込み、そのストーリーを6枚の皿で表現したのです。これにより地元の人も“輪島塗は途中でも使える”と気付き、作家自身もそこに気付いた。変わり続ける宿命を持つ伝統工芸の中で、その気付きを与えるストーリーを表現したのが、さすがは隈さんという部分なのです」。高橋氏はそう話しました。この器は、『Discover Japan Lab.』と石川県輪島市にある『輪島塗会館』て数量限定で販売します。

その他の商品も、もちろんただ眺めるだけではなく、どれも購入可能。「我々は雑誌を通して、作家について発信しています。しかし、ただ発信しているだけでは伝統はやがて先細りになってしまう。活動の出口の部分、作家の皆さんがやっていることを世に問う場としてこのラボがあるのです」と語る高橋氏の言葉は、日本の伝統工芸への誇りに満ちています。

遠い未来を思い描く、若き陶芸家の夢。

遠い未来を思い描く、若き陶芸家の夢。 陶芸家・青木氏。釉薬を突き詰める独自の作風に注目が集まっている。
もちろん『DESIGNING OUT Vol.2』の他にも、素晴らしい作品が並びます。リニューアルオープンした11月にメインスペースを飾っていたのは、陶芸家・青木良太氏の作品でした。
青木氏は陶芸という分野の中でも、特に釉薬について研究を続ける作家。今まで世の中になかった色や質感。それを釉薬で表現する研究者でもあるのです。
「21世紀にしか作れないもの、千年、二千年後にこの時代の代表作といわれるものを作りたい」。そう語る青木氏の夢は壮大です。そして周りから何を言われようとも、青木氏は挑み続け、そして掴み取っているのです。
青木氏の『ブリンブリン』シリーズ。『ブリンブリン』とはヒップホップのスラングで、「煌びやかなこと」を意味する。
例えば、金を使わずに出す金色。かつて青木氏が黒い釉薬を使っていると、偶然ちらりと金の粒が見えました。青木氏は細い糸をたぐるように、その金色で陶器を覆うことを目指しました。試しては失敗することを繰り返しながら、気付けば15年が経っていました。そうして完成した『ブリンブリン』シリーズは、世界で唯一の金を使わない金色の陶器です。
スワロフスキー・クリスタルを全面に焼きつけた器も、陶器の脚つきワイングラスも、世界で唯一。「陶芸の長い歴史の中で、全てやり尽くされているはずなのに、なお新しい表現ができる。これこそが陶芸の可能性なのです」。青木氏はそう話しました。
木工『まる工芸』の大澤昌史氏。「曲げ物というジャンルでどこまでチャレンジできるか。今はそれだけを考えています」。
他にも土鍋、曲げ木、ガラス、衣料品など、日常に寄り添いながら新たな価値を伝える工芸品が色々。若者たちが行き交う渋谷という街から、改めて見つめる伝統工芸。その世代に何かを伝えることができれば、それがこのラボが存在する意味となるのでしょう。
土鍋の新たな価値を発信する『土楽窯』の福森道歩氏。「料理からアプローチすることで、土鍋は冬のものという概念を覆したい」と言う。

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

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