札幌には広い空の下、豊かな緑の中でアート作品を鑑賞できるスポットがあります。公園全体が一つの作品であったり、森の中の美術館があったり、かつての工業エリアと芸術を掛け合わせていたり…。自然の中で個性豊かな作品との出会いを楽しんで。
イサム・ノグチが遺した壮大な作品「モエレ沼公園」
「ミュージックシェル」(手前)と「テトラマウンド」(奥)
彫刻家イサム・ノグチが基本設計を手がけた「モエレ沼公園」。かつてゴミの埋め立て地であった189haもの土地がひとつの彫刻作品として生まれ変わりました。
ガラスのピラミッド“HIDAMARI”
園内ではさまざまなモニュメントが見られます。公園を象徴するかのような「ガラスのピラミッド“HIDAMARI”」や、舞台としても使われる「ミュージックシェル」、巨大な円柱が積まれた「テトラマウンド」など、広大な空間に並ぶ巨大な作品達に、遠近感がわからなくなるほど。
まるで間歇泉のような「海の噴水」
そんな公園では子ども達が作品によじ登ったり、芝生にシートを敷いて日光浴を楽しむ人など、とても穏やかなひとときが流れています。モエレ沼公園は札幌が世界に誇るアートパークであると共に、市民にとっての憩いの場として大切にされています。
不燃ゴミと建設残土を積み上げた人工の山「モエレ山」
森の中、探検気分で彫刻作品と出会う「札幌芸術の森」
40haもの敷地に屋内美術館や野外美術館などを有する
札幌中心部から車で約40分、緑が美しいエリアに「札幌芸術の森」があります。
敷地内には美術館や工芸体験などができる工房が点在。その中でも7.5haの野外美術館では、森の中を散策しながらいくつもの彫刻作品を鑑賞できます。
福田繁雄《椅子になって休もう》
ダニ・カラヴァン《隠された庭への道》
野外美術館では現代を代表する彫刻家の作品74点を見ることができます。作品は、作家が実際にこの地を訪れ、地形や気候を考えて作ったもの。パッとすぐに見つけられるものもあれば、少し奥まって置かれた作品もあり、森の中を探検気分で歩きながら作品との出会いが楽しめます。
ライ モ・ウトゥリアイネン《昇》
訪れた季節や天気、時間帯によって作品は異なる表情を見せてくれます。冬にはかんじきのレンタルがなされ、深雪の中の散策もOK。北国でしか体験できないアート鑑賞、ぜひトライしてみて。
札幌芸術の森(さっぽろげいじゅつのもり)
北海道札幌市南区芸術の森2-75MAP
011-592-5111
9:45〜17:00 (時期、施設により異なる)
無休(11月4日〜4月28日は月曜、祝日の場合は翌日休、野外美術館は11月4日〜翌4月28日休館)
かつての石切り場が古代遺跡のように「石山緑地」
ヨーロッパの古代遺跡のような「ネガティブマウンド」
「石山緑地」はその昔、建材としてさかんに利用されてきた札幌軟石の採掘場を利用した公園です。北海道在住の彫刻家集団の作品が取り入れられ、非日常的な眺めが広がります。
「沈黙の森&赤い空の箱」
まるで古代遺跡のような「ネガティブマウンド」が現れたかと思えば、森の中に突如として現れる真っ赤な作品に目を奪われたり、夏には水が流れる子ども達の遊び場があったりと、不思議な、でもどこか心地いい空間です。
石切り場跡が自然へと還っていく光景
園内には岩肌がむき出しになった崖や、軟石を切り出していた切羽跡も見られ、かつてこの地でさかんに採掘されていた様子が伝わります。不思議なアート作品とともに札幌の歴史の一部を感じることができる貴重なスポットです。
夏には水が流れ、子ども達が遊ぶ水の広場「スパイラルスプリング」
自然と調和するアートスポットで非日常的なひとときを
札幌は街中でもパブリックアートが点在し、芸術祭も開催されるアート都市。中心部からちょっとひと足伸ばすと自然を生かしながら非日常な空間が広がっていますよ。
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今回ご紹介した内容は、2020年7月にアップデートした「ことりっぷ 札幌 小樽」に掲載中です。より実用的・よりかわいい・より便利な一冊に生まれ変わったことりっぷをぜひ手に取ってみて下さいね。
【ことりっぷ 札幌 小樽】
フォトジェニックなシメパフェ、散策途中に立ち寄りたいカフェ、北海道産クラフトビールなどの新たなムーブメントをはじめ、海鮮丼やスープカレーなどの定番グルメまで厳選。かわいいおみやげ、歴史とアートを感じるスポットほか、いま気になる札幌とその近郊を集めた一冊です。
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