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“楽園管理人”渋谷さんが夢見る正しい田舎町『a-ca-cia-place』とは?[cafe good life/北海道旭川市] by ONESTORY

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“楽園管理人”渋谷さんが夢見る正しい田舎町『a-ca-cia-place』とは?[cafe good life/北海道旭川市] by ONESTORY
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から北海道旭川市の「cafe good life」を紹介します。

偶然から生まれたひとつのアイデア

偶然から生まれたひとつのアイデア 旭川から車で30分ほどの場所に『桜岡』はある
土地に恋する。まさに当時カフェを経営していた渋谷隆氏は10年前、そんな出会いをしました。旭川近くの東川町でカフェを営んでいた渋谷氏が、旭川から30分ほどの田舎道を車で走っていた時に偶然迷い込んだ『桜岡』という地。まるで別世界のように緑の濃さも空気の匂いも変わり、その土地の未来像が瞬時に頭に描かれたといいます。無数に点在する大小の池、白樺の木々、どこまでも広がる草むら。人々は池のほとりのハンモックで昼寝し、ベリーを摘んで、薪を割り、林を散歩する。夜は月明かりが草を照らし、家々から温かい暮らしの気配が外ににじみ出る。「ここに、正しい田舎町をつくろう」-。そこから渋谷氏の楽園計画『a-ca-cia-place』が始まったのです。

「正しい田舎」 =それは、人間が無理なく自然に生きられる場所

「正しい田舎」 =それは、人間が無理なく自然に生きられる場所 「桜岡は、いつか必ず日の目を見る時が来るよ」と話す渋谷氏
渋谷氏は旭川出身。20代は東京のディスプレイ会社で経験を積み、帰旭後は『good man』の屋号で看板のデザイン製作を手掛けました。その後カヌーに熱中し、カナディアンカヌーのキットの販売やカヌーの製作販売をスタート。東川在住時にはテレマークスキーを始め、当時のパイオニアとしてスキーのレッスンも行うように。そのうち、渋谷氏自身が造った建物やベリー畑が広がるその土地で始めたのが『cafe good life』ーa-ca-cia-placeの原点です。
「ここは、僕らのラスト・フロンティアになるよ」。渋谷氏はそう断言します。正しい田舎って何? それは、人間が無理なく自然に生きられる場所。「ここは街の至近距離にありながら、北海道という土地のポテンシャルを最大に発揮できる。里山の要素がひとところに集積している。こんな素晴らしい場所はおいそれとないと思うんです」。渋谷氏は桜岡に恋をして、6600㎡もの土地を手に入れました。そしてこの地を『a-ca-cia-place(アケーシアプレース)』と名付け、ここにカフェや宿泊施設、住まいなど、人の暮らしを積み立てていく計画をスタートさせました。アケーシアとはこの近辺一帯に群生している北海道の花『ニセアカシア』の洋名で、この土地のネイティブな存在といえる植物に敬意を表したネーミングです。

ギャラリー、スタジオ、コンテナハウス…。「正しい田舎」に必要な楽しい施設

ギャラリー、スタジオ、コンテナハウス…。「正しい田舎」に必要な楽しい施設 『cafe good life』。昔の家具や農具がセンスよくなじんでいる
現在『a-ca-cia-place』の中には、基幹となる『cafe good life』をはじめ、ギャラリーやイベントを行うスタジオ、キャンプやB&Bができるコンテナハウス、移住者向けの宅地などがあります。渋谷氏がプロデュースする『sakuraoka reservation』という名の宅地には、都会ではありえないほどたくさんの窓がある家に、すでに2組の家族が住んでいます。
スタジオも廃材を利用し渋谷氏が建てた
まずスタジオについてご紹介します。木々に包まれてそっと建っている青い壁の建物は、まるで森の中の隠れ家。夏は壁の一面をがばっと大きく開いて、風をいっぱいに受け入れます。ここではパン屋さんや工芸作家が出店するマーケット、映画上映会、地元アーティストのライブ、展覧会など、素敵な作品や人に出会えるさまざまな催しをしています。実はこのスタジオは『Studio N. Domon』と名付けられているのですが、それには深い理由が。このスタジオは、渋谷氏が愛したギタリスト土門則夫さんのために建てたものだからです。北海道のロックバンドの草分け的存在となったグループを率い、伝説のギタリストとして名を馳せ、惜しくも2008年に亡くなった土門さんを渋谷さんは崇敬しています。「僕の魂がもし昇天するときは、土門さんの音楽がBGMだね。あのサウンドの中で、幸せな気持ちで天に召されるんだ」と目を輝かせるのです。

自然の中で、のんびり楽しく過ごせる空間に最低限必要なもの

自然の中で、のんびり楽しく過ごせる空間に最低限必要なもの 地元作家のガラス展など発表、交流の空間に
宿泊もできるコンテナハウスは、はじめは物置のようなコンテナだったことから『Shed House(物置)』と名付けられました。現在、3台のハウスがあり、そのうち2台が宿泊棟です。ベッドやソファ、ハンモックを備え、外でのバーベキューも可能。洗面やトイレは共用、お風呂はないので近くの温泉を利用……と設備は完璧ではありませんが、何もかも整った日本のリゾートとは違うおおらかな自然の中での暮らしが気に入って、何度も泊まりに来る人も多いそうです。
薬膳食材を多用したカレーや、豆と野菜のスープなども人気
そして基幹となる『cafe good life』。東川町にあった時も素敵な空間でしたが、こちらはたまたま見つけた大正時代の農家の納屋を移築して店舗として利用。足踏みミシンを利用したテーブル、壁には古い農具やカヌー。昔の道具を巧みにリノベーションして、使い手の想いもひっくるめてインテリアの一部にしてしまったような内装。どんな美術学校でも学べないような天性のセンスと閃きと遊び心が、渋谷氏には備わっているのです。
まちこ氏はお菓子教室も開きレシピを伝える
『cafe good life』を語る上で、はずせないのが妻まちこさんの存在。まちこさんは、「みんなのおかあさんという気持ちで、みんなに食べさせてやろうとせっせとケーキを焼く人」。庭で積んだベリーやハーブを使い、食材が喜びそうなほどおいしいスイーツに変身させます。レモンのシフォンケーキにブラックベリーのタルト、カボチャのプリンやパイ。「今年もまちこさんが焼いてくれてよかった」と、お客さんもスタッフにとっても、桜岡の季節を告げる「おいしい便り」となっているのです。ケーキのほかにも20種以上のスパイスをつかう特製カレーや、トマトたっぷりの『赤パスタ』、ふっくら特製のハンバーグなどもあり、しっかり食事も楽しめます。

夢が、全ての活力。まだまだかなえたいこれからの展望

夢が、全ての活力。まだまだかなえたいこれからの展望 長い冬にもテレマークスキーなど楽しみはいっぱい
さて最近の渋谷氏はというと、またもや見つけた古い納屋を移設しようともっぱら進行中。宿泊施設を整備するため、センターハウスとして機能させる予定だそうです。そうして頭の中にある計画をそれは楽しそうに次々と形にしていく渋谷氏。陽がのぼったら鼻歌を唄いながら出かけ、木こり仕事や解体作業。冬は毎朝スキーをはいて林へ潜ってゆきます。「いったい、この人はいくつなんだろう?」と思う人も多いでしょう。明かすと、なんと76歳。でも桜岡の将来像を夢見ながら作業に没頭していると、どんどん活力が湧いてくるそうです。
ひそやかな闇に包まれる『a-ca-cia-place』
「僕は10年前から『桜ちゃん』という恋人ができたように、うきうきして毎日が楽しいんです」と渋谷氏。近くない将来、桜ちゃんに会いに多くの人が「a-ca-cia-place」を訪れ、のびのびと過ごす様子が目に浮かびます。

cafe good life(カフェグッドライフ.)

北海道 旭川市東旭川町東桜岡 52-2 MAP

0166-36-7722

11:00〜19:00

火曜


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