
京都・山城にある徳川家康ゆかりの伊賀越えルートへ。里山の隠れ寺、宇治茶、カフェめぐりも♪
2023.03.10

歴史に思いを馳せながら、家康ゆかりの地をめぐってみませんか?
菜の花と桜が彩る 「観音寺」に国宝の美仏をたずねて

お堂が近づいてくると、「家康公伊賀越えの道」の石碑が。本能寺の変で織田信長が討たれた後、信長と同盟を結んでいた家康にも身の危険が迫っていました。ちょうどその頃、大阪の堺に滞在していた家康は、今の京都府京田辺市、井手町、城陽市、宇治田原町、滋賀県から三重県の伊賀を抜け、岡崎城へたどり着いたといわれています。

まずは、本堂でお参りをして、ご住職に厨子の扉を開けていただきます。「若々しい、初々しい、みずみずしい、人によって言葉は違いますが、そのような印象を受ける方が多いです」と住職の三神さん。粗彫りした木の内側をくり抜き、表面に漆を盛り上げて肉付けする木心乾漆造(もくしんかんしつづくり)という技法が使われており、彫刻では出せないやわらかさ、血が通っているかのような温かみが感じられます。千年以上も人をひきつけてやまない仏様、無病息災や厄除けの御利益もあるそうです。
観音寺(カンノンジ)
0774-62-0668
9:00~17:00(志納料400円)
無休

世界的珈琲鑑定士が自分だけのためにブレンドしてくれる 「カフェ サボローゾ」

店主の濵﨑さんは実家が喫茶店でコーヒーの香りとともに育ったという筋金入りのコーヒー好き。カフェサボローゾ開業前にコーヒー生豆の商社に勤めていたときは、得意のポルトガル語を活かしブラジルで珈琲鑑定士の資格も取得。中南米にも度々買い付けに行っていました。ちなみに店名の「カフェ サボローゾ」というのは、ポルトガル語で「おいしいコーヒー」という意味だそう。

また、コーヒーに合うスイーツも用意。「かかおさぼどら」は、生地にコーヒー、餡と生地の間にカカオニブとチョコチップが入った枚方の老舗どら焼き専門店「呼人堂(こじんどう)」さんへの特注品。さらに年間を通してかき氷も。溶けてもさほど薄まらずアイスコーヒーのようにおいしく飲めます。またカカオの品質にこだわったチョコレートもたくさん。
カフェ席は建物内、縁側、庭に分かれているので、その日の天気や気分によって、お気に入りの場所で、自分だけのライブブレンドを味わってみませんか。
春風に吹かれて「お茶の京都」を一望♪ 「万灯呂山展望台」

眼下には木津川が流れ、中央からやや右に山城大橋が見えます。当時この付近には「草内(くさじ)の渡し」があり、家康たちもここで川を向い岸からこちらへと渡り、先を急いだのでしょう。また、向い岸の左に広がる丘は、家康方の武将である穴山梅雪が眠る飯岡。家康一行と行動を共にしてきた梅雪は、ここにきて別行動をとることで窮地を脱しようとしましたが、この草内で命を落としました。

春には山頂を彩る桜やツツジ、初夏は山麓の谷川ホタル公園で飛び交うホタル、秋は紅葉など、一年を通じて四季を感じられるのも魅力です。実は、展望台から京都の夏の風物詩である「五山の送り火」も見られるそう。興味津々ですね。
万灯呂山展望台(マントロヤマテンボウダイ)
0774-82-6170 (井手町地域創生推進)
入場自由
入場自由
玄米のおやつ専門店 「MINORI工房」でポン菓子&ジェラートを

2022年6月にオープンしたばかりの、まだ木の香りが漂う新しいお店です。一見、おしゃれな普通のカフェに見えますが、すべてのメニューに玄米が使われているお菓子の製造がメインの工房です。「アメリカに住んでいたとき、日本のポン菓子にそっくりな、いろんな味のライスケーキが売っていたんです。卵もバターも使わないスーパーフード。しかもおいしい!日本でも食べたい!!と思いました」と店主の遠藤さん。

おみやげには、ぽんクラッカーにオーガニックチョコをコーティングした「ポンラスク」を。ベリーやチョコレートマンゴーなど5種がそろいます。また、お店のある井手町は「玉川」の桜が美しいことでも知られており、この春には、桜の葉を練り込んだ新しいジェラートも登場しますよ。伊賀越えさんぽの途中に、ふらりと立ち寄ってみませんか。
MINORI工房(ミノリコウボウ)
090-6052-4512
11:00~17:00
月曜(臨時休業はInstagramを確認)

梅の香りが漂う季節に訪れたい 「城陽酒造」で青谷の梅酒を

城陽酒造へは、JR奈良線山城青谷駅から徒歩すぐ。創業から120年以上を経た山城地域では唯一の酒蔵です。京都の酒といえば、伏見がよく知られていますが、城陽は伏見よりもやわらかい、酒造りに適した地下水に恵まれているそう。また、城陽酒造のお酒の持ち味はフレッシュさ。クセのないエレガントな風味は、料理の味を損なわず、食べながら飲む食中酒として味わうのがおすすめです。

また、お酒が飲めなくても、梅ジュースや梅サイダーが用意されているので城州白を味わうことはできます。甘めの原酒に漬けた梅の実自体を味わう「うめごこち」は、そのままはもちろん、ゼリーやケーキに入れてお菓子にしてもよさそう。酒蔵の横にある直売所に、ぜひ足を運んでみてくださいね。
城陽酒造(ジョウヨウシュゾウ)
0774-52-0003
8:30~17:30(季節によって異なる)
日曜、祝日(季節によって異なる)

家康もひと休みしたかったかも??「上方温泉一休 京都本館」
「上方温泉一休 京都本館」へは、近鉄京都線新田辺駅からバスで20分。ホームページからお得なバス利用券がダウンロードできるのでぜひ使ってくださいね。たった20分なのに、風景はすっかり山の中、「美人の湯」「美肌の湯」ともいわれる「松泉乃湯」を源泉とする天然温泉で、うっすらと白く濁ったお湯につかると、肌がツルツルのもちもちになるそうです。

この日訪れたのは「滝の湯」。まずは内湯で風景を楽しみ、体が温まったら露天風呂に。ときには、滝に虹がかかることもあるそうです。ひとり用の陶器風呂にしっぽりと身を沈めたり、赤窯風呂(サウナ)で身体の芯まで温めたりと楽しみは尽きません。春には滝のそばの桜の大木が満開になるそう。花見風呂もいいし、散り際の花びらが浮かぶお湯につかれるなんて最高です。きっと旅の疲れが癒されますね。
上方温泉一休 京都本館(カミガタオンセンイッキュウ キョウトホンカン)
0774-54-1419
10:00~23:00(最終受付22:00)
第2火曜
遠くてもやっぱり一度は見たい♪ 「正寿院」の猪目窓と花天井
正寿院は約800年前に創建された高野山真言宗の寺院で、仏像ファンの間では快慶の不動明王像を所有することでも知られています。境内が本堂と客殿に分かれているので、まずは本堂で秘仏の十一面観音像に手を合わせることからスタート。仏様のおられる天井には、300年前の曼荼羅(まんだら)が描かれており、これを現代に復興したのが色鮮やかな客殿の花天井なんだそう。

客殿の猪目窓には福を招き災いを除く意味が込められているそうです。花天井は90人の作家が腕を振るって花や四季の風景を描いたもの。中には舞妓さんの絵も4面描かれているので、探してみてくださいね。お参りが終わったら記念の御朱印もぜひ。イラスト入りのものは書置きが増えてきた今、直書きしていただける貴重な機会です。また、6月から9月にかけては風鈴まつりが催され、2000個を超える風鈴が里山に涼し気な音色を響かせます。季節をかえて何度でも訪れたくなるお寺です。
正寿院(ショウジュイン)
0774-88-3601
9:00~16:30(12~3月は10:00~16:00)
無休
緑茶発祥の地でお茶三昧の体験を 「宗円交遊庵やんたん」
それではさっそく、お茶の観光施設「宗円交遊庵やんたん」を訪ねてみましょう。まずは郷土料理の「茶汁」をいただきます。お茶づくりで忙しい時期に食べる、焼いた餅に味噌を添え番茶をかけたご当地ファストフード。番茶ならではの香ばしさがお餅によく合います。プリッとした肉厚のしいたけ、茶殻とおじゃこを和えた郷土料理、ご飯には茶葉のふりかけもかかっており、やんたんの味がぎゅっと詰まったお膳です。

併設のショップには、心を込めて茶葉を作る生産者別のお茶が販売されています。いわば日本茶のシングルオリジンです。試飲もできるので、お気に入りの茶農家さんを見つけてくださいね!宗円交遊庵やんたんでは、飲み比べのほかに、抹茶の石臼挽きや茶葉の手もみ体験もできます(事前申し込み要)。お茶に関する昔の資料や、近隣の観光MAPもそろうので、宇治田原さんぽをする際には、ぜひ立ち寄ってみませんか。
宗円交遊庵やんたん(ソウエンコウユウアン ヤンタン)
0774-46-8864
10:00~16:00
水・木曜

京都府南部(山城地域)の観光情報サイト
京都山城エリアは「お茶の京都」と呼ばれる「日本茶のふるさと」。時の天下人に引き立てられながら、お茶を育む技術と文化は花開き、今もな受け継がれています。 お茶の産地ならではの風景やグルメ、お茶にまつわる文化体験など、800年の歴史に磨かれた、ここでしか味わえない特別な旅をお楽しみください。
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
文:山村純也、戸塚江里子 撮影:橋本正樹、小川康貴