箱根の街中から少し離れた、標高約850mの山あい。静かな森の中に佇む「松坂屋本店」は、江戸時代から温泉宿として愛され続ける旅館です。約4000坪の広大な敷地には、異なる時代に建てられた趣の異なる6つの館や、無料の貸切露天風呂が点在。一歩足を踏み入れると、まるで古の時代にタイムスリップしたかのような、非日常空間が待っています。
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時代の移り変わりを見守ってきた老舗旅館
風情ある門構えの「松坂屋本店」
箱根の玄関口・箱根湯元から、バスに揺られること約30分。夏は涼しい避暑地として人気の芦之湯温泉に「松坂屋本店」はあります。
宿の始まりは、江戸時代初期から。「箱根七湯」に数えられた芦之湯温泉の湯治宿として、古くから多くの旅人を癒やしてきました。
風にはためく暖簾をくぐって、敷地内へ。宿を包み込む庭には「手湯」が設置されており、気軽に温泉を楽しめます。のぞいてみると、天然温泉の成分を含んだ白い湯の花がたっぷり。泉質の良さを感じさせてくれてくれます。
白い湯の花が浮く手湯
物語を感じさせるレトロモダンなロビー
シャンデリアが煌めくクラシカルな洋風ラウンジ
「松坂屋本店」には、異なる時代に建てられた古い建物が6つあります。なかでも最も古い建物が、1873(明治6)年に造られた「鶴鳴館(かくめいかん)」。
かつてダンスホールだった1Fは、現在、チェックインの手続きを行うロビーラウンジに。まるで物語の主人公になった気分で、のんびりレトロモダンな世界に没入できます。
自然美に浸れる癒やしの休憩スポット
白を貴重としたサンルームテラスは、大きな窓から光が差し込みぽかぽか。椅子に座ってまどろめば、自分のためだけの時間が流れていきます。
選べる3種類のお茶菓子
「手づくり最中&桜湯」「ビクトリアサンドイッチケーキ&コーヒー」「四季の彩り&煎茶」の中から、お好みで1つセレクト
チェックインの手続きは、ゆっくりとお茶菓子をいただきながら行います。選べるお茶菓子は3種類。その日の気分で好きなものを選びましょう。
セルフサービスで、お酒もジュースも好きなだけ♪
館内では、ソフトドリンクやアルコールをセルフサービスで楽しめる、オールインクルーシブを採用しています。
好きなお酒をグラスに注いだら、さあ、脱力タイムのスタート。心も頭も空っぽにして、静かに流れる時間を美酒とともに味わって。
箱根の地酒からフランス産のワインまで、豊富なドリンクが揃う
モダンな雰囲気の「箱根山」
バー「箱根山」は、現在、憩いの場として開放されています。中は、心地のよい大きなソファと椅子が並び、ゆったり落ち着いた雰囲気。旅好きに嬉しい箱根に関する書籍も置かれており、つい手にとって眺めたくなります。
まるで博物館のような館内
お部屋へ向かう廊下は、貴重なアンティーク品や骨董品、書物、絵画などがセンスよく散りばめられています。見応えのあるコレクションは、さながら博物館のよう。
フランス政府から明治天皇に贈られた、由緒ある「帝の鏡」も展示
明治34年に設けられた電話室の扉
古いものが好きな方は、館内をくまなく散策し、その貴重な銘品をじっくり眺めてみましょう。思わずシャッターを切りたくなるような、絵になる景色であふれています。
江戸時代の造りを活かした通路
旅館内を通る「鎌倉古道跡」や江戸時代から残る通路は、今もそのまま残っています。その中を歩けば、不思議な異世界に迷い込んだみたい。
好みの部屋でリラックスタイム
広さ75.4㎡の離れ「洗心亭(せんしんてい)」
お部屋は、全部で22部屋。それぞれ部屋の広さや間取りが異なり、好みに合わせて選ぶことができます。
お庭に面した離れの「洗心亭」は、4人でゆったりと泊まれるお部屋。こちらは、1888年に皇室別荘として建てられた建物で、大正天皇もご宿泊されたのだとか。
広々としたお庭を眺めてリフレッシュするのもよし、半露天風呂に浸かりながら湯浴みをするのもよし。ゆるりと贅沢な時間を楽しみましょう。
天井が高くて明るい、広さ65.4㎡の「雲井(くもい)」
そして、岩崎別邸を移築した建物2Fにある「雲井」は、自然あふれるお庭をじっくり眺められるお部屋。おだやかな時の流れが、何もかもを忘れさせてくれますよ。
温泉好きにおすすめの客室
2023年3月のリニューアルにより、温泉内風呂付きのお部屋に生まれ変わったのが、こちら。
「朝顔」は2Fにお部屋があり、広縁からの眺めがとても気持ちいい♪
広さ71.7㎡の「朝顔(あさがお)」
和モダンな寝室には、2台のベッドがくっつけて用意されており、広々としたスペースで快適に眠れます。
源泉かけ流しの温泉を注ぐ内風呂
なんと言っても、このお部屋最大の魅力は、天然ひのき造りの内風呂です。蛇口をひねれば、宿自慢の温泉が湯船を満たしてくれるのも嬉しいポイント。お天気の日には、ぜひ窓の外に広がる緑のお庭も楽しんで。
大浴場と5つの貸切露天風呂で温泉三昧
内風呂は、木のぬくもりに満ちた洗練空間
また2023年3月には、大浴場を大幅リニューアル。新しく生まれ変わった内風呂は、ほんわか木のぬくもりを感じられるモダンな造りになっています。
ふんわりと硫黄が香るお湯には、全国的にも珍しい三大美人泉質の「硫黄泉」「硫酸塩泉」「炭酸水素塩泉」がすべて含まれています。しかも、加温や加水は一切なし。自然の湯そのままの恵みを全身で感じることができます。
新設された露天風呂
こちらは、リニューアル後に作られた露天風呂。自然に抱かれ、するりと心がほどけてゆく感覚を味わって。
貸切露天風呂「金左衛門」。森林浴をしながらの湯浴みは格別
さらに嬉しい5つの貸切風呂が無料で楽しめるサービスも♪ 貸切りだからこそのおこもり時間を楽しんでくださいね。時間は1回45分。空いていれば、何度でも利用できます。
ゆったりとした時間に包まれて味わう「宿場会席」
お楽しみの夕食は、プライベートを重視したお食事処「えん」でいただきます。旅人をもてなす夕食は、文明開化の味わいをぎゅっと詰め込んだ「宿場会席」。旬の地場食材をふんだんに使用した、どこか懐かしい味わいです。
「松坂屋本店」の入口が見える席も
小さな器へ上品に盛り付けられた前菜の盛り合わせ
この日の旬菜は、筍やハマグリが添えられ、目でも春を感じられる華やかな前菜がずらり。丁寧につくられた料理の数々は、心まで満たしてくれます。
鮮度抜群のお造りに、金山寺味噌で和えた本鮪の塩麹漬けを加えるなど、ひねりが効いた逸品も。
そして、きめが細かく、ほんのり脂がのった神奈川のブランド牛「足柄牛」は、フタをして蒸し焼きにした鍬焼きで楽しみます。ふんわり仕上がったお肉は、柔らかくてジューシー。素材の味を引き出したシンプルな味つけに食が進みます。
旅立つ朝にぴったりな「旅人朝食」
翌朝は、旅人への滋養強壮としてタンパク質豊富な「旅人朝食」をいただきます。箱根吟豆腐を使った湯豆腐に、自家製納豆、自然薯のとろろ……と、体も心も元気になれるおかずがいっぱい。食材にこだわり、手作りにこだわり、おいしくて、旅立つ朝にぴったりです。
「松坂屋本店」のチェックアウトは11時。朝食後も、美肌と保湿効果の高い名湯をゆっくり楽しめます。長い年月を重ねた老舗旅館で、優雅な安らぎの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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