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2024.09.01
江戸時代に創業した老舗「天野屋」で天然糀の甘酒をいただく密やかな楽しみ♪
都心に位置する神田明神の鳥居の脇にお店を構える「天野屋」は、江戸時代から代々続く甘酒を製造販売する老舗です。今は7代目が後を継ぎ、お店の地下で米と糀(こうじ)だけを使う昔ながらの伝統的な方法でつくる甘酒をレトロな雰囲気の喫茶部で味わえます。東京の中心部にありながら、古き良き時代へタイムスリップしたかのような甘味処で一息ついてはいかがでしょうか。

わざわざ訪れたい7代続く神田の老舗甘酒店
JRお茶の水駅から徒歩約5分
江戸の総鎮守として知られる神田明神の大鳥居のすぐ横に暖簾を掲げる「天野屋」。木造平屋建ての一軒家で、売店では看板商品の甘酒のほかにも、甘酒と同じ糀を原料とした江戸味噌などを販売し喫茶部を併設しています。
喫茶部はこちらから
喫茶部へは売店の隣の趣のあるアプローチから。この喫茶部の横の細い道は江戸から木曽路を通って京都へと向かう中山道で、江戸時代は交通の要でもあった場所です。

引き戸を開けると広がる昔懐かしいレトロな世界
年季の入った手作りのテーブル
店内は振り子時計や縁起のいいひょうたん、昭和初期のポスターなどノスタルジックな品々に囲まれ、昔ながらの甘味屋さんらしく小さな木の椅子が並びます。5代目と6代目の店主が収集したという鉄道の模型や柱に張られた千社札など、時代の移り変わりを感じますよ。
夏場はオレンジ色のほおづきが彩る庭
石灯篭のある中庭や風鈴の涼やかな音色など江戸の情緒があふれ、天井は茶室で見かける船底天井といった日本家屋独特のつくり。今のお店は戦争の空襲で東京一帯が焼け野原になったあと、立て直したものなのだそう。梁には明治17年に鳥居の横で営業していたこのお店のモノクロ写真もかけられています。
戦前の写真のほか天井にはレトロなライトも

江戸時代から使い続ける土室で育んだ天然の甘み
「甘酒+ミニくず餅」(755円)箸休めの漬物付き
創業当時から受け継いだ甘酒はこのお店の奥にある地下6mの天然の土室(むろ)で作られます。土室は関東大震災でもほとんど崩れることなく、かれこれ180年近く使い続けています。もともとこのエリアには糀を扱うお店が多く、地下にはたくさんの土室が張り巡らされていたのだそう。 土室は外の温度に関係なく16~18度の温度に保ち、職人の手によって蒸したうるち米に糀の菌を植えつけ寝かせること4日間、甘酒にするにはさらにもうひと手間と時間をかけてしあげていきます。
飲む点滴とよばれるほど健康面でも注目される甘酒
江戸時代、砂糖は高級な品物で庶民にとって手に入らなかったため、天然の甘みを持つ甘酒は甘味としても使われ、特に夏にはエネルギー源としてたくさん飲まれていたのだとか。このお店ではそうした昔ながらの味わいを夏は冷やして寒い時期は温かくして、きな粉たっぷりのくず餅やお餅などとセットで楽しめます。

ひんやりとした綿あめのようなシンプルな夏の氷菓子
「氷甘酒」(550円)※提供は6月~10月上旬を予定
気温が高くなってくる時期に登場するのが「かき氷」です。宇治金時やあんずなどをラインナップしている中からおすすめはやはり「氷甘酒」。ガラスの器に冷たい甘酒を入れた上に氷をたっぷりと削り、まるで冷たい綿あめのようです。砂糖を一切使っていないとは思えないほど冷たくしてもしっかりとした甘みをぜひ味わって。

ゆったりと流れる時間の中で過ごす贅沢なひととき
モチモチとした白玉にあずきとアイスを絡める「白玉あずきアイス添え(抹茶)」(715円)
お汁粉やあんみつなど昔ながらの甘味もおすすめの「天野屋」。神田明神に参拝したあとはぜひ立ち寄ってレトロな雰囲気を楽しんでくださいね。
天野屋
あまのや
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高橋茉弓
Writer
高橋茉弓

おやつの時間を何よりも大切にするライター&カメラマン。波の音とカフェがあればそれで幸せ。
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