
スペイン南部の「テテリア」でアラビアン・ナイトな気分を
2013.11.01

異国の中のそのまた異国へ
薄暗い小道に面したカフェの窓からきらびやかな光が漏れ、道行く人をいざなっています。中に入ると、まるで別の世界に入り込んだかのような雰囲気です。
細かな彫刻が施された壁や、タイル張りのテーブルがエキゾチックで、天井には色ガラスの照明がキラキラと輝いています。テーブルの上に灯されたキャンドルが、ほのかに辺りを照らしています。
ミントティーを注文して飲めば、気分はすっかりアラビアン・ナイト。だけど実は、ここはアラブではありません。スペイン南部のグラナダの街には、テテリアというこのようなアラブ風茶屋が多いんです。


イスラム教と縁の深い町
グラナダをはじめとするスペイン南部のアンダルシア地方は、イスラム文化の影響が色濃く残る地です。
現在は住民のほとんどがキリスト教徒ですが、かつてはアフリカ大陸からやってきたイスラム教徒に支配されていました。学校で習った「レコンキスタ」という言葉を覚えている人も多いはず。キリスト教徒がイスラム勢力を追い出すための運動のことですが、これに耐えて最後までイベリア半島に残っていたのが、ここグラナダを首都とするナスル朝のグラナダ王国でした。とはいえ、アラブ風茶屋のテテリアはずっとこの地に伝わるものではなく、比較的最近現れたカフェのスタイルのよう。だけど今や、その人気はすっかり定着しています。

水タバコで締める夜はいかが?

食べ物も種類豊富で、なかでもクスクスやタジンなどのアラブ料理や、甘~いアラブのスイーツはぜひ試してみたいところ。そしておすすめは水タバコ。糖蜜などで固めたタバコの葉を炭で熱し、ガラスのパイプで吸うもので、リンゴやオレンジなどの甘いフレーバー付きの葉は女性にも吸いやすいです。シートはテーブルごとに仕切られていて、まるで個室のように落ち着きます。
ほかにもお得なランチセットメニューがあるのも、夜遅くまで営業しているのもうれしいポイント。一杯飲んだ後で、さっぱりしたミントティーや甘い水タバコを楽しむのも、テテリアがある街ならではの過ごし方ですね。
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文:菅沼佐和子