雪降る街
#地図の読めないおやつ旅 #旅行記 #おやつ探し #飛騨古川
長らく休止していたGO TO トラベルに代わり、全国旅行支援が実施されると知り、「せっかくの機会だから行きたかったところに行ってしまおう」と考えた。旅行会社や都道府県により、開始時期や条件が異なるため、果たして自分の予約が適用になるのかギリギリまでわからず、日夜Twitterで動向を探り、時に怪情報に踊らされながらも、無事予定していたすべての旅行で適用となった。そして、その最後が、飛騨高山への旅だ。
名古屋から最新車両の特急ひだに乗り、飛騨地方へ。車窓からは岩肌もダイナミックな渓谷や濃い水色をした川の流れを見ることができる。下呂駅を過ぎ、材木になる前の杉が大量に積まれた光景を目にして、遥々旅路を進めたことを実感する。
高山駅の次の飛騨古川駅で降りると、暖かい車内とは打って変わって、少しキンとする寒さだった。前駅とは違い、あまり降りる客もなく、駅前は閑散としていた。観光案内所で地図をもらい、まず駅の反対側にある気多若宮神社を参拝することにした。15分ほど歩く道すがらハラハラとは言わずも、パラ程度に雪が降って来る。そして鳥居の背後の杉山はうっすらと雪化粧され、深緑色の樹々とのコントラストが美しい。神社の境内は少しずつ初詣の準備を進めているようだったが、まだ今日は貸切状態で、背の高い杉に囲まれ、人の気配もない神社は、空気の冷たさとともに神聖さを増して心地よかった。
駅の方向に戻るとちょうどお昼時だった。洋食屋を見つけたため扉を開けたがあいにく満席で「30分は待つ」と言われた。店頭のメニューが美味しそうだったうえ、満席ということで益々期待が高まり、特に予定もないため待つことにした。待ち時間は実際に30分掛かったが、スマホで用事を済ましていればあっという間だ。飛騨牛ももステーキセットは、ランチにしては値が張るが、一般的な相場からすると、とてもリーズナブルな価格設定で、オードブルやデザート、コーヒーまで付くお得な内容だった。今回は低予算で行こうと飛騨牛を食べる予定はなかったが、食べてみると身は柔らかく、脂もスーッと口に広がり、事前の下調べではなく、現地で勘に頼って店を選ぶのも大事だなと再発見した。
昼食後、白壁土蔵街に向かった。20年くらい前の朝ドラの舞台になっており、水路で泳ぐ赤い鯉が印象的だったが、越冬期間中ということで、見ることは叶わなかった。公設の物産館や案内所はあるものの、商店はあまりなく、意図的に観光地化しているというより、地元の方々が古い建物を大切に守りながら生活して来た姿が、今の時代とても貴重なので、たまたま観光客が来ているだけなのだろうと感じた。有名な和蝋燭のお店は、冷やかしで入れないような風格があり、ガラス越しに見るに留めた。
午後は小雨が降り、寒さも一層感じられた。駅の向こうの山は白く霞み、これから雪が降るのだろうとの予感とともに飛騨古川を後にした。