氷上の火花
#地図の読めないおやつ旅 #旅行記 #おやつ探し #さいたま新都心 #さいたまスーパーアリーナ #世界フィギュア2023
フィギュアスケートはオリンピックの時だけ熱心に見る「にわか」に過ぎないが、今年の世界フィギュアがさいたま市で開催されるということで秋ごろ、チケットの抽選に応募した。
男女シングルの試合は毎シーズンテレビで放映されるため馴染みがあったが、ペアの試合は滅多に放映されず、北京オリンピックの際に初めてじっくり見た。ラブソングが流れる中、男女息を合わせて舞い、時に抱擁したり、美しい愛の世界が演じられる様にうっとりした。シングルスももちろん好きだけど、ペアだからこそ表現できる世界観があるのだと感じた。オリンピックが終わってしばらくしても、金メダルを獲った中国人ペアの演技をYouTubeで繰り返し見てしまった。
その後、プリンスアイスワールドのショーを見に行ったが、グループかシングルの演目ばかりでペアの演技は見られなかった。そこで今回は、ペアのフリースケーティングが見られる日程を選んだ。日本のりくりゅうペアの活躍を目の当たりにできる期待も込めてだ。
ペアの試合は11時開始で、会場は9時半から。そこから男子シングルショートプログラムの終了する21時までの長丁場となるが、ケンタッキーやロッテリアなどの売店が入っていて、中で食糧調達可能だ。りくりゅうや宇野選手などのグッズと共に、何故かパディントンのぬいぐるみなども並んでおり、勢いでタオルハンカチを買ってしまった。あとでスタッフに聞いたところ、スポンサーの木下グループがパディントングッズを扱っているので一緒に並べており、スケートとは関係ないそうだ。
初めて訪れたさいたまスーパーアリーナは5層からなり天井が高いし、フロアも広い。会場には出場選手の国旗がアルファベット順に掲げられている。ちょうどグループごとの練習時間のようで、実際の演技で用いられる曲が流れているが、天井から吊るされたスピーカーのせいかとても迫力があり、これは現地で観戦して初めてわかった。
第5グループまで4組ずつ合計20組出場する。最初は観客も疎らだが、最終グループが近づくに連れ、席が埋まって来る。それに比例するように選手のスコアもパフォーマンスもレベルが上がった。初めて競技のフィギュアスケートを観戦したが、周りの様子を見ているとお作法があるようで、転んでもジャンプの後には必ず拍手したり、クライマックスで手拍子したり、素晴らしい演技のあとはスタンディングオベーションで賛辞を示す。隣の席の方は慣れているようで、たくさんの種類を国旗を用意しており、選手の国に合わせて毎回掲げていた。
レ・ミゼラブルや007のような聴き慣れた曲も悪くないけど、せっかくペアなので、愛を高らかに歌い上げた曲の方が気分が高揚する。手を繋ぎ、腕を絡め、顔を近づけて抱擁する…。美しい愛の世界が目の前で繰り広げられ、点数を競うスポーツであることを忘れてしまう。特に上位3組はそれぞれにしっとりとした風情があって、甲乙付け難かった。
「りくりゅう」こと三浦璃来選手と木原龍一選手は最終滑走だ。昨日のショートプログラムで首位に立っており優勝が掛かっている。見ているこちらも緊張してしまう。三浦選手は映像や画像で見る以上に小柄で華奢な体型をしている。腕の振りが丁寧だ。途中までは順調だったが、終盤着地でミスをしてしまい、試合終了後悔しそうに泣いていた。結果フリースケーティングは2位だが、総合点で優勝を果たした。会場は興奮に包まれ、涙を流している人もいた。
初めてのフィギュアスケート競技の観戦で自国の選手が優勝し、表彰式で日の丸が掲揚される中、君が代を聴くことができ、感動も一入だった。昨年見たディズニー・オン・アイスは、ミッキーやドナルドなどのキャラクターがかわいらしく、ワクワクしながら見られたが、やはりフィギュアスケートの花形は点数で優劣を付ける競技会だと改めて感じた。