Going abroad in 2023 #地図の読めないおやつ旅　#旅行記　#おやつ探し　#韓国　#ソウル 　コロナが流行り始めた頃、予定していた海外旅行が頓挫する事態に見舞われた。そうして丸3年足が遠のいている間に、渡航費も滞在費も以前とは比べものにならないほど高くなってしまったとの報道を目にするようになった。確かにドルに対してはずいぶん円安が進んだし、欧米に行く路線の燃油サーチャージはとんでもなく高い。しかしLCCでソウルに行く便を調べると、ホテル代を抑えればハイシーズンの北海道よりも安く、対ウォンのレートも「ゼロをひとつ取る」という以前の相場とさほど変わっていないことがわかった。そこでコロナが落ち着き始めてから「韓国、韓国」とうるさく言っていた母を連れて渡航することにした。 　海外旅行に行くのは久しぶり過ぎてすっかり浦島太郎気分だった。まず成田空港でLCCは第3ターミナルだと思い込んでいたが、今回利用したZIPエアは第1ターミナルであることに当日朝気づいた。また出国審査エリアが7時までクローズされており、コロナ前からそうだったのか、働き方改革の影響なのか頭を捻らせた。LCCだからかも知れないが、チェックインも荷物預入も基本的にセルフサービスで、機械の操作にまごつく。人の省力化は他にもされており、パスポートの認証も高性能カメラで済んでしまうので、出国スタンプは希望者のみ押してもらう形だったが、今年の初めに再取得した真っ新なパスポートが寂しく、旅の証をもらうことにした。 　現地では予算額を入れたデビットカードを使う予定だが、多少の現金も用意しておきたく、搭乗までの待ち時間に空港内で両替した。その日の交換レートは1ウォン＝0.12円だったため、だいたい「ゼロをひとつ取る」くらいだけど、それよりは気持ち高い金額で換算すればよいのだとわかった。 　仁川空港は巨大な空港で、到着ゲートから入国審査をするターミナルに行くまでにまずシャトルに乗らなくてはならない。入国までに時間が掛かりそうだなと不安になりつつも海外を来たという実感も湧く。検疫でワクチン証明を提示する必要はなく、日本で事前に健康状態を入力し取得したQRコードをピッとかざすだけで一瞬で終わった。 　到着後、入国審査を経て預入荷物を受け取るのに1時間掛かったが、ソウル駅行きの特急は発車間際で乗れなかったため、次の便を40分待つより各駅列車に乗ることにした。そうこうして市庁駅のホテルに着くと13時過ぎていたが、周辺に飲食店が多く地元の人で賑わっている。肉を食べられない母の嗜好を優先して、釜山式ナクチポックンを食べることにした。タコとエビがメインで野菜と春雨を入れて煮込んだ真っ赤な鍋だが、見た目ほど辛くはなく、海苔とナムルを載せたご飯にかけてビビンバのようにかき混ぜていただく。タコとエビの量が多く、野菜もたくさん摂れてひとり10,000ウォンだった。店主は煮込み具合や食べ方を親切に教えてくれたし、出足からいい店に当たった。 　続いて地下鉄に乗り東大門の方へ向かうのだが、市庁駅に行く途中に個人経営のステキなブティックを見つけた。店頭のラックに掲示された値札が25,000ウォンで、中に入っても50,000ウォンくらいまでの商品が並んでいた。先ほどのレートからすると3,000円から5〜6,000円ということだ。激安ではないが、縫製や生地がよく、デザインもフレンチテイストで安っぽくはないので妥当だと思う。最初シックな黒い無地のワンピースを試着したが丈が若干短く諦め、代わりに犬の柄のサマーニットを選んだ。サイドにスリットが入りボタンが付いているのが凝っているし、トリコロールカラーがアクセントになっていて気に入った。 夕方明洞に行くと、以前と変わらず、化粧品店が軒を連ね、軽食の屋台が並んでいた。その昔IKKOさんおすすめのコスメを買い漁った記憶が蘇り、懐かしかった。その頃の混雑ぶりを考えると店内はずいぶん落ち着いた印象だったが、通りはたくさんの若者で賑わっていた。小腹が空いたので、だいぶ前に流行ったが日本では食べる機会のなかったチーズドックを購入し、ケチャップとマスタードをたっぷり付けて頬張った。 　一旦ホテルに戻ると、もう空はすっかり暗くなっていたが、お約束のロッテマートに食料品を買いに出かけた。今回のお目当てはネスプレッソ用のカプセルだ。コロナ禍のステイホーム期間に「おうちで贅沢」とネスプレッソマシンを購入したが、日本のスーパーでカプセルを取り扱っているのを見たことがなく、いつもネットで取り寄せていた。一方で海外のスーパーではよく見かけていたので、何より狙っていたものだ。今回買ったスターバックス仕様のものは値段でいうと日本とさほど変わらないが、とにかく海外のスーパーで買うということが最優先だ。結果的には他に買ったものと合わせると免税になったので、意義ある買い物だった。 　翌日はせっかく海外に来たのでロッテ免税店を覗くことにした。9時半オープンまで時間があるので、近くのコーヒーチェーンで朝食を取ることにした。アイスコーヒーもアメリカンコーヒーも5,000ウォン、つまり600円と日本のコーヒーチェーンより高いのにびっくりした。ただあとから考えると、量が多く飲み出があり、チビチビ飲まなくても1時間優に滞在できたので、コスパ自体はそう悪くないのかなと思った。お腹いっぱいたくさん振る舞う文化のためか、他の店でも表示価格は高くても、盛りはいいように感じた。 　免税店はドル建なので、円安の進行した現在はお得感がなく、日本で買った方が安いくらいに感じ、何も買うことなく立ち去ることにした。アベノミクス前の超円高時代を知るだけに、日本の現在の国力を痛感させられた。同時に、海外でブランドものを爆買いできるような勢いはなくなっても、安くていいものが手に入りやすい日本という国はそう捨てたものではなく、ある種成熟した社会なのではとも思った。 　今回は観光らしい観光はせず、街をブラブラしながら、買い物や食事をして過ごしたが、そんな何気ないことからでも訪れた国の文化が垣間見られたり、日本について客観的に考察できたり、得るものがたくさんあった。コロナ禍で物理的に出掛けられない間は海外についての動画をずいぶん見たりしたけれど、やはり実際に旅に出て自分の目で見、肌で感じる以上の学びはないと思った。