神棲まう島
#地図の読めないおやつ旅 #旅行記 #おやつ探し #那覇 #斎場御嶽 #久高島
遅い夏休みで沖縄に滞在している。台風11号の影響が心配だったが、南に逸れたため、那覇市内は風が強く時折雨に見舞われても観光には支障なかった。
初日、空港からホテルに直行し荷物を預けると旭橋駅と県庁前駅の間にあるとんかつ屋で昼食を取った。このお店、前回訪れた際にも来ていて、美味しかった記憶があり、場所も覚えていたため、「まずは土地の恵みを」と入ることにした。前回アグー豚をいただいたのだが、今回はロースもヒレも食べたく、県産豚とチキンのミックス定食を頼んだ。自分で擦ったごまにソース、からし、胡麻ドレを混ぜ、たっぷりつけて食べるとご飯が進む。ヒレもロースも柔らかく、脂っこくない。野菜たっぷりの豚汁がおかわり自由なので2杯いただき、大満足だ。
午後は首里城公園を散策することにした。県庁前からバスに乗ろうとしたが、乗り場が複数あり迷っていると、地元のおばちゃんが自分も同じバスに乗るからと親切に教えてくれた。バスが来るまでベンチに座り少しお話をした。おばちゃん曰く、地元の人は「海は見るもの」と思っていてマリンスポーツをする人も少ないそうだ。つまり海に入っているのは他県から来た観光客だということ。
おばちゃんに言われたとおりのバスに乗ると国際通りを突っ切って、あっという間に目的地にたどり着いた。首里城公園は守礼門や歓會門などいくつかの門を通り、石段を上がって見学するが、まず整然と美しい石垣が壮観だった。現在は復元工事がなされている最中なので詳しい見学はせず、公園内のガジュマルの木やハイビスカスなど南国らしい植物を見ながらのんびりと歩いてみた。外に出ると金武町石畳道の方向に出たので道なりに進んだが、人通りが少なく、聖地のあるエリアは特に長居することが憚られるような張り詰めた空気が感じられた。公園の方へ引き返すと玉陵の案内表示が見えたので、見学することにした。受付から霊廟に行くまでが木のトンネルになっていて、左右から吹き抜ける風が一瞬ピタリと止まると、何故だか私まで息をこらし、シーンとしないといけないような気分になった。
2日目は離島の久高島へ行くツアーに参加した。よく晴れた絶好の観光日和である。まず島へのフェリーに乗る前に斎場御嶽の近くで1時間半近く自由散策の時間を与えられた。斎場御嶽は琉球王国最高の聖地と言われ、儀式や祈祷が行われている場所だ。まず入って感じたのが、左右、天上を覆う樹々の緑がとても濃く、枝葉も力強い。そして鳥のさえずりや虫の鳴き声も大きく響く。頭上から燦々と差し込む光を欲しいままにし、聖なる土地のパワーも受け、生を謳歌しているように感じた。
斎場御嶽の見学を終えてもまだ充分時間が残っていたので、「空中ブランコ」なるものに乗ってみた。以前白馬でも似たようなものに乗ったが、海に面した崖から飛び出すようにブランコに乗るもので、眼下に見えるエメラルドグリーンの海は美しいものの、空に放り出されそうなスリルも満点だった。
その後港に向かい、フェリーに乗った。以前乗ったことのある瀬戸内海の船より揺れが激しく感じ、半分酔い気味で早く到着することを祈るばかりだった。それにしてもセルリアンブルーの海は果てしなく続き、ただ空だけが遮るものだった。
久高島に着くと地元の公認ガイドが車に乗せて2時間案内をしてくれた。自転車や電動キックボールで自力で回ることもできなくないが、那覇市内よりもずっと太陽が強く照り、道も樹々に覆われた迷路のようになっていて、今日は車で連れて行ってもらうのが正解だ。また、島自体が「神々の島」と言われており、何も知らずに禁忌を犯してしまうのも怖いので、やはりガイドがいてくれるのは心強い。
久高島でも樹々の緑が濃く、力強いのが印象的だったが、さらに聖地と言われている海では水の色も濃く、波も強く感じられた。パワースポットには以前から興味がありつつ、「古来地元の方々が大切にして来た場所に、余所者が物見遊山のようにズカズカ踏み込むのはいかがなものか?」と無意識の畏怖の念が湧いてしまっていた。今回、いくつかの聖地を巡らせていただき、余所者さえも快く受け入れてくださる懐の大きさを感じ、感謝と敬意を抱いてお参りさせていただけば大丈夫なのかなと思った。
9月と言えば台風シーズンなので、天気のことがずっと気になっていたが、運良く天が味方してくれた。だから今回の旅は失礼には当たらないと考えてもいいのではと、天気の神様にも感謝したくなった。