【水龍が潜む地下神殿】
関東地方のどこか地下深く、そこには無機質な太い柱が無数に並ぶ巨大な地下世界が存在する。
目に見える生き物は存在せず、太陽の光も月の光も差し込まない暗闇の世界。
誰も、何も、いない暗黒の地下世界。
しかし、時として、その地下世界を訪れるモノがいる。
地下世界に現れるモノ…それは、水龍。
雨が降る夏。
関東平野には、雨をもたらす水龍たちが何処からともなく集まってくる。
彼らは雨と共に川に宿り、川に力を与える。
水龍のパワーを得た川は、治水前の100年前の姿を思いだし、少しだけその力を開放する。
水龍も川と同化し、川は暴れ川となり水嵩を増し、その力を鼓舞するかのように渦を巻く。
そんな水龍たちの安息の地が、地底深くに広がる世界である地下神殿。
地下神殿の鍵が開けられるのは、水龍たちが雨の歓びに己を忘れ、川と共に暴れはじめる時。
川の水位が高くなると地下神殿の門が開き、水龍たちは川の水と共に神殿の中へと流れ込む。
広く静かな地下神殿。
地下神殿のゆらりと揺蕩う水の中で、水龍たちは自我を取り戻し、ゆっくりと元の己の姿へと戻っていく。
そして、また川の水と共に地上へと帰り、雨となり大地を潤す。
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