
カメラのレンズのように光を調整する建物。フランスの「アラブ世界研究所」
2018.03.25

他に類を見ない方法で光を調整する驚きの機能と、建物の魅力について紹介します。

一体なんだと思いますか?
今回の舞台は、フランスのパリにある文化施設。
まるで機械のようなパーツが建物の個性をつくり上げる「アラブ世界研究所」について紹介します。
セーヌ川の河畔に建つ文化施設
パリに流れるセーヌ川の河畔を歩いていると、ガラス張りの建物が現れます。
「アラブ諸国の情報を発信し、アラブ世界の文化、精神世界を研究する」という目的のもと、1987年にアラブ世界研究所は建設されました。
研究や貴重な資料の保管だけでなく、博物館や図書館としての機能ももっており、レストランやカフェでの食事も楽しめる文化施設として親しまれています。


有名になったきっかけのひとつは、今回ご紹介する「アラブ世界研究所」。
個性のある仕組みを取り入れた建物が話題を呼び、そのインパクトは今もなお色褪せることがありません。
伝統的なアラブの模様をまとった外観

これはアラブ文化において伝統的な模様であり、マシュラビーヤと呼ばれる格子窓で多く使われています。
ガラスに覆われた幾何学模様が、建物の一面に並ぶ様子は圧巻。一見すると現代風のビルでありながら伝統的な模様をまとった外観は、一度見たら忘れることはないでしょう。

行列に並ぶ時間も飽きさせることなく、目を楽しませてくれます。
天井高の低さに驚くエントランス

床から天井までの高さは約2メートル。日本人だけでなく、体格の大きなヨーロッパの方にとっては特に低いサイズ感です。
しかし、不思議と圧迫感がなく、居心地の悪さは感じられません。金属を中心としていることで光が拡散する明るいエントランスでは、多くのお客さんが休憩していたのが印象的でした。

光を遮るものが少ない階段のまわりはとくに綺麗で、思わずエレベーターではなく階段を使いたくなってしまう魅力があります。
アラブの伝統的な模様の秘密

模様をかたどる穴は、建物内に光と影を落とし込んで、ずっと眺めていたくなるような光景をつくり上げています。

それは建物に取り入れる光の量を調節し、建物内の環境を快適に保つこと。

建物に当たる光に合わせて、幾何学模様を構成する金属の羽が自動で開閉し、建物に取り込む光の量を調整しています。
建物外観では装飾としての印象しかなかった幾何学模様は、近くで見てみると機械式時計のよう。建物のなかでありながら、機械のなかに迷い込んでしまったかのような不思議な体験ができます。

フランス旅行で欠かすことのできない、ワインを飲むこともできるのでご安心を。
幾何学模様から注ぐ光を眺めながら、ゆっくりご飯を食べる贅沢な時間をお楽しみください。
セーヌ川とともにパリを一望できる展望台

展望台からはノートルダム大聖堂も確認することができ、セーヌ川とパリの街並みをお楽しみください。
建物の特徴を落とし込んだお土産

アラブ文化にちなんだ物を中心とするお土産屋さんでは、建物いちばんの特徴である幾何学模様をモチーフにしたグッズも。
金属製のしおりや黒を基調にしたノートなど、建物内で見た機械のようなパーツを思い出させる素敵なお土産が並んでいます。

エッフェル塔や凱旋門のような「これぞパリ!」といった観光地も素敵ですが、アラブ世界研究所ではパリの新しい一面に出会うことができるかもしれません。
アラブ世界研究所(アラブセカイケンキュウジョ)
フランス 1, rue des Fossés-Saint-Bernard, Place Mohammed-V 75005 Paris, France MAP
火曜日: 10 a.m. to 6 p.m. 水曜日: 10 a.m. to 6 p.m. 木曜日: 10 a.m. to 7 p.m. 金曜日: 10 a.m. to 6 p.m. 土・日曜日: 10 a.m. to 7 p.m.
月曜日
入場料: 8ユーロ/6ユーロ*/4ユーロ** * 6ユーロ: 求職者、6人以上のグループ ** 4ユーロ: 26歳以下の方、非EU加盟国の方

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文:写真 タナカユウキ