少し過ぎてしまったけれど、二月というと、思い出すのは節分で、節分というと、私には京都の八坂神社の節分が真っ先に思い起こされる。 八坂神社では、舞殿で花街の舞妓達が舞を奉納してから豆を投げる。 当然、その姿を撮ろうとカメラを手にしたオヤジが舞殿を取り囲む。 私もその内の一人だったわけだが。 その時に見かけた舞妓の一人に一目惚れしてしまい、後にお茶屋のおかあさんに許可を得て、毎月、一度お茶屋に通いつめるようになるとはこの時は思いもしなかった。 もう彼女はとっくの昔に祇園を離れ、郷里の別府に戻って結婚したとか聞いた。 それからずっと後に、一度、彼女の生まれ故郷の別府が見たくなって、別府に行った事があるが、駅の土産物コーナーに彼女に似た人を見かけたが、声をかけずに去った。 昔の恋を心の中の棚に置いておき、懐かしめる男とは違って、次の恋で書き換えてしまう女だあるし、ましてや、彼女が俺を好きだったわけでもないのだから、あっさり忘れているに違いない。 もうとっくの昔に終わった話なのだ。 彼女が元気に幸せにくらしていたら、それでいいのだ。