旅のカミサマ
#地図の読めないおやつ旅 #旅行記 #おやつ探し #山形 #寒河江 #チェリーランドさがえ
ふるさと納税を始めて以来、毎年必ず山形県内からさくらんぼをいただいている。行政上、ふるさと納税には是非があるのかも知れないが、一般人としては、税制面のメリットに加え、全国各地の特産物を知り、その土地々々に関心が湧くありがたい制度で、以前から山形県に行きたいと考えていた。
また、山形県寒河江市出身のYouTuberが、道の駅で名産品を食べる動画がおもしろく、共演しているゆるキャラのチェリンもクオリティが高く愛らしいので、あわよくば会えぬものかと、今回は、そのチェリーランドさがえを訪れた。
チェリーランドさがえは、ちょっとしたショッピングセンターくらいの広さがあり、商品も農産物メインではなく、お菓子やお酒、加工食品などのお土産物がたくさん並んでいた。またカフェやレストランなどの飲食コーナーも充実している。11時過ぎに着いたので、お昼を食べる前に買い物をすることにした。
最初は、さくらんぼきららやオランダせんべいなどの定番のお菓子を手に取り、持ち帰るつもりでいたが、店内を物色していると、黒胡椒にんにくや、にんにく味噌などのおかず系の瓶詰めにもそそられてしまう。そう何度も来られないし、宅配しても1,000円足らずなので、美味しそうだと食指の動くものはカゴに入れることにした。結局、思ったよりも金額が行ってしまったが、「買わない後悔より買う後悔」で、かなり満足ができた。
正午を回ってから、YouTubeで紹介されていたカフェへ向かった。動画を見て特に美味しそうだった、さくらんぼのサンドイッチやさくらんぼ水などを注文したが、店内には蕎麦コーナーもあり、甘いものとしょっぱいものが同時に楽しめるようになっている。駅そば風の券売機や、発泡スチロールのお椀などの見た目に反して、さすが蕎麦どころだけあり、麺もつゆも美味しいし、かき揚げもボリュームがあって、期待を大きく上回る内容だった。サンドイッチは、さくらんぼが8つも入っていて、クリームは濃厚、食べ応えがあった。
こうして念願のチェリーランドさがえを満喫できたが、クライマックスは帰りの駅で迎えた。臨時便のトロッコ列車 さくらんぼ風っこ号のお見送りに、チェリンが登場したのだ。記念撮影をする人々の合間を縫って、人が写り込まないように写真を撮るのに一苦労。やはり人気者なのだなと思いつつ、慌しい最後だったが、列車が動き出すと、開放された窓からの風は涼しく、青々とした水田は目に心地よく、いい気持ちで寒河江を後にした。
山形を旅すると言えば、古くは松尾芭蕉が「おくのほそ道」に最上川や山寺に関する俳句を残している。序文にある「道祖神のまねきにあひて」というフレーズが好きで、まさに世の旅好きは、日々道祖神に導かれるように、一つの旅を終えては、また次の旅へと駆り立てられていく。
今回の私の旅は、ふるさと納税、YouTube、ゆるキャラなど、芭蕉の時代にはない、今の時代ならではの事物がきっかけとなっていて、旅の形態も目にした光景も何もかも違うが、現代でも道祖神は旅人を招いていて、旅という、一見不必要でありながら、やはり不可欠な、生きた学びの場に誘わ(いざなわ)れているのだと感じた。