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2015.07.01
山形の秘境「肘折温泉」で始まった旅プラン「七治里暮らし」とは? 【後編】
山形県大蔵村にある名湯「肘折温泉」で、2015年4月に始まった癒しの旅プラン「七治里暮らしプロジェクト」。豊かな自然に恵まれた肘折の秘湯でこころとからだをリラックスしようという現代風湯治を目指すこの旅を、2泊3日で体験してきました。 温泉の専門家・スパリエインストラクターによる温泉講座やユニークなお湯巡りなど、肘折温泉の魅力をたっぷりと楽しんだ旅の1日目(前編参照)。 そして2日目は、名物の朝市からスタートです。
肘折温泉の朝は、名物の朝市から
山形県の里山にたたずむ肘折の一日は夜明けとともにはじまります。朝5時半からはじまる「朝市」は、肘折温泉ではおなじみの光景。温泉街の一角に、新鮮な野菜のほか、しそ巻きや南蛮味噌、笹巻きなどの郷土料理が並びます。春は採れたての山菜、秋にはきのこ類も販売していますよ。
朝市が始まると同時に、カランコロンと下駄の音を鳴らしながら旅館から出てくる観光客。売り子のお母さんたちの元気な声と入り混じり、温泉街が一気に活気づきます。お母さんたちがおすすめのレシピを教えてくれるので、手に入れた食材を使って、そのまま宿の自炊場で朝ごはんをつくることもできます。湯治場ならではの楽しみ方ですね。
縁結びの名所として人気のパワースポットへ
地蔵蔵
朝ごはんを食べたら、縁結びのパワースポット、奇岩が連なる地蔵倉へ出かけましょう。美しい山の景色も魅力です。 温泉街から地蔵倉へと続く山道の入口までは車で5分ほど。入口から徒歩15分ほどで地蔵倉へとたどり着きます。縁結び、商売繁盛の神としても知られ、岩肌の小さな穴に5円玉を通したこよりをくくると願い事が叶うとされているのだとか。地蔵倉までは急な坂もあるので、動きやすい服装で行くことをおすすめします。
地蔵倉からの眺め
また、至るところで目にする自然のアートにも注目です。木々に陽が差し込みきらめく光景や、山の緑と空の青が生み出す美しいコントラストは、思わず歩みをとめ、じっと見つめてしまうほど。都会の慌ただしい日常では気づけなかった鳥のさえずりや、ほのかにただよう草の香りの心地よさも肘折ならでは。澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みたくなります。
ランチはおそばをいただきましょう
ランチは温泉街を抜けた銅山川のほとりにある「そば処 寿屋」へ。看板メニューは「板そば」(1400円)です。 板そばとは、山形県で広く食べられるそばのひとつで、木製の浅い箱状の入れ物に2~3人前のそばが盛られたもの。良質の国産玄そばを毎朝自家製粉したそばは香りがよく、しっかりとした歯ごたえを楽しめます。薬味にわさびではなく、一味唐辛子を使うのも肘折ならでは。ピリッとした辛味がそばにアクセントを加えます。 天気のいい日は清らかな川の流れを望む縁側の席で、爽やかな風にあたりながら味わいましょう。
○そば処 寿屋(そばどころことぶきや) [所] 山形県大蔵村南山571 [TEL] 0233-76-2140 [時間] 10:00~17:00(冬季は~16:00) [休] 第2木曜日(冬季は第2・4木曜) [料] 板そば(1400円)、天ぷら盛り合わせ(850円)
夜は旅館の主人たちとの交流会、「村人夜会」へ
夜のお楽しみは、各宿で開催している村人夜会。肘折温泉で新たに始まった旅プラン「七治里暮らしプロジェクト」の参加者と村人である旅館の主人たちとの小さな交流会です。村の人たちが立ち寄ることもあり、場が一気に賑やかになるのだとか。おいしいお酒やおつまみを味わいながらおしゃべりしているうちに、参加者同士も初めて会ったとは思えないほど仲良くなりました。気さくな主人が肘折の名物やおすすめのスポットを教えてくれることもあるので、明日どこに行こうか相談するのもいいですね。
夏の夜の幻想的なイベント、「ひじおりの灯」と「四ヶ村の棚田ほたる火コンサート」
「ひじおりの灯」
肘折では、毎年シーズンごとに四季を象徴するお祭りが開催されています。これからの時期に行なわれるのが、「ひじおりの灯」と「四ヶ村の棚田ほたる火コンサート」。 「ひじおりの灯」は、肘折温泉と東北芸術工科大学が共同で開催している夏のアートプロジェクト。各旅館の軒先に絵灯籠が並び、やわらかな灯りが温泉街を彩ります。旅館ごとに異なる絵灯籠のデザインを、そぞろ歩きを楽しみながらじっくり鑑賞しましょう。 また、日本の棚田百選にも選ばれた「四ヶ村の棚田」で行われるコンサートも見逃せません。1200本のほたる火の光景とやさしく響き渡るオカリナの音色は、夢心地にさせてくれます。 ○ひじおりの灯(ひじおりのひ) [所] 山形県大蔵村肘折温泉 [TEL] 0233-76-2211(肘折温泉観光案内所) [時間] 2015年7月25日~9月13日、18:00~20:30 ○四ヶ村の棚田ほたる火コンサート(しかむらのたなだほたるびコンサート) [所] 山形県大蔵村四ヶ村の棚田 [TEL] 0233-75-2105(ほたる火コンサート実行委員会事務局) [時間] 2015年8月1日、17:30~19:30 癒しの温泉と美しい自然、そして、スローな時間の流れは、こころとからだのこわばりをすっかり解きほぐしてくれました。なによりうれしかったのは、村の人たちとの別れのときにかけられた「また会おうね」ではなく、「いってらっしゃい」との言葉。まるでここが故郷のようで、なんだかくすぐったいようなうれしい気持ちになりました。 あたたかな出会いがいっぱいの七治里暮らしを体験しに、肘折温泉に訪れてみませんか?
【前編】の記事はこちら
「七治里」の温泉郷・肘折温泉
ちちりのおんせんきょう・ひじおりおんせん
0233-76-2211
肘折観光協会
http://hijiori.jp/enjoy/chichiri.html
「七治里暮らし」の旅館プラン、体験プログラムの詳細については、こちらにアクセスしてください。
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菅原聡子 写真:板元義和
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