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2021.06.10
1泊2日で河口湖&山中湖 湖畔をめぐって富士山ビューを探しに
新緑の時期を迎え、緑が日に日に鮮やかになっていくと旅に出かけたくなります。そんな爽やかな時期にぴったりの河口湖と山中湖周辺をご案内します。自然豊かで、おいしいものがたくさんそろう湖畔をめぐりながら、美しい日本一の富士山を眺めましょう。
まずは富士山や河口湖を一望する天上山へ空中さんぽ
広々とした「展望台」からは雄大な富士山を裾野まで見渡せる
世界遺産に登録されている名峰、富士山。その構成資産として富士五湖も含まれています。そのひとつ、河口湖の湖畔と標高1075mの天上山を結ぶ「~河口湖~富士山パノラマロープウェイ」は、富士山と河口湖を展望台から眺められる絶景スポットです。 天上山は昔話「カチカチ山」の舞台となった場所といわれ、随所にタヌキとウサギのモチーフが飾られています。ウサギ付きのかわいらしいロープウェイで富士見台駅まで約3分。空中から美しい河口湖を眼下に眺めながら上っていきます。
「うさぎ神社」に参拝したあとは、炭火で焼き上げた「たぬき団子」(400円)を
山頂の富士見台駅は富士山三昧のビュースポット。ハート越しの富士山が見られる「天上の鐘」や、「たぬき茶屋」の上にある「展望台」からは富士山の大パノラマが広がります。さらに山道を3分ほど登っていくと「武田信玄の戦国広場 絶景やぐら」があり、空中に突き出た展望台からは富士山をひとり占めできる絶好のロケーションが広がっています。 広場にあるウサギのご神体を祀っている「うさぎ神社」のお参りも忘れずに。天上山の姉妹の神様に諸願成就を願い、かわらけ(土器)を投げる「かわらけ投げ」もおすすめです。「たぬき茶屋」の串団子をいただきながら、心ゆくまで絶景を楽しむのもいいですよ。
~河口湖~富士山パノラマロープウェイ
カワグチコフジサンパノラマロープウェイ
不思議なモコモコの建物は河口湖の「ほうとう」の名店
道行く人の目を引き付ける真っ白な建物
国道沿いの東恋路交差点に建つ「名物ほうとう不動 東恋路店」。この不思議な形は建築家の保坂猛さんが設計し、富士山のふもとにかかる雲をイメージしたものだそう。建物の南側には富士山が見え、まさにふわふわと浮かんでいる雲のように見えます。 “雲の中”の店内は真っ白な洞窟のような雰囲気で、曲線を描く壁と天井は境目がわからないほど。座席の間は仕切りがなく、建物の形にあわせてテーブルもゆるやかなカーブを描いています。1点ずつ手作りした木製のテーブルとイスが置かれ、癒される空間です。
「名物 不動ほうとう」(1100円)はランチにおすすめ
山梨県の郷土食「ほうとう」は、武田信玄が陣中食として野菜たっぷりのほうとうを考案したともいわれています。「ほうとう不動」のほうとうは「名物 不動ほうとう」の1種類のみ。家族に受け継がれてきた味をベースにしたものだそうです。 アツアツの鉄鍋にはかぼちゃやいんげん、大根など国産の野菜がたっぷり。海産物と自家製の味噌を溶かした秘伝のスープにとろとろのかぼちゃなどの甘みも加わって、まろやかでコクのあるスープです。コシがあって、もっちりと食べ応えのある自家製麺との相性もぴったり。心もおなかも満たされるほうとうです。
名物ほうとう不動 東恋路店
メイブツホウトウフドウヒガシコイジテン
パイとクロワッサンが評判の湖畔のカフェでまったり
深入りの珈琲豆で淹れた「アメリカーノ」(495円)と「バナナカスタードパイ」(770円)
河口湖の西岸、奥河口湖ともよばれる湖畔にたたずむカフェ「gris(グリ)」。コンセプトカラーがグレーというところから、店名に「グリ」と名付けました。真っ白な吹き抜けの壁とグレーの床を基調とした店内は2方向に大きな窓があり、開けると河口湖からの風が渡るオープンテラスのような雰囲気になって、とても気持ちのいい空間です。 人気メニューは毎日焼き上げるサクサクのパイ。洋酒を効かせた風味豊かなパイは定番が5種類あり、なかでも「バナナカスタードパイ」がおすすめです。熟したバナナを洋酒で煮て、3種のクリームとチョコレートを合わせています。バナナの甘みが引き出され、とろっとしたクリームとのハーモニーも絶妙で、くちどけなめらかなパイです。
サンドイッチ(イートイン660円)や、河口湖のビストロ「CUISINE R」のレーズンバターを「gris」のサブレでサンドした「ラムレーズンサンド」(3個入り630円)もおすすめ
発酵バターをたっぷり使い、外はサクサク、中はしっとりに焼き上げたクロワッサンは80gのビッグサイズ。近隣の道志村のクレソンやベーコン、ゆで卵をクロワッサンにはさんだボリューム満点のサンドイッチはランチにぜひ。 カフェには雑貨のバイヤー時代の経験を生かした、バッグやハンドメイドアクセサリー、洋服、雑貨などオーナーがセレクトした商品も並びます。1点ものが見つかるかも。地元のビストロとコラボレーションした「ラムレーズンサンド」もおみやげにおすすめですよ。
gris
グリ
プレゼントにもぴったりなおみやげを探しに
春から秋にかけては季節の花々が施設内を彩ってくれる
河口湖北岸にあり、富士山が見えるラベンダースポットとして有名な「大石公園」。その公園に隣接しているのが、グルメ&ショッピング施設「富士大石 ハナテラス」です。敷地内には山梨県ゆかりのカフェや雑貨店など、蔵をモチーフにした9つのショップが遊歩道沿いに点在。小川やナチュラルガーデンに癒されながらめぐることができます。
左上から「めでたや遊び かき氷」(めでたや河口湖店・1760円)、「とにかる」(富士桜工房・3300円)、「オリジナルドライフラワー」(HanaCafe Kikyou・550円)、「レーズンサンド」(葡萄屋kofu ハナテラスcafé・183円~)
山梨らしいおみやげもそろっています。山梨県の和紙メーカー「大直」のショップ「めでたや河口湖店」の「めでたや遊び」シリーズはコレクションしたくなるかわいさです。富士北麓で作られる郡内織物の「富士桜工房」のストールは、手ざわりがふわっとして手放せなくなる逸品ですよ。 「桔梗信玄餅」で有名な「桔梗屋」直営店「HanaCafe Kikyou」は、店内にも飾っているドライフラワーがおすすめです。フルーツパフェが人気の「葡萄屋kofu ハナテラスcafé」で販売している、山梨県産ぶどうを使った6種類の「レーズンサンド」も評判です。
富士大石 ハナテラス
フジオオイシハナテラス
森に抱かれた癒しのリゾート「ふふ 河口湖」にステイ
ロビーラウンジからテラス越しに富士山を望む
「境界のない森のリゾート」をコンセプトにした、スモールラグジュアリーリゾート「ふふ 河口湖」。ロビーラウンジやテラスには緑鮮やかな大小の植物と、この土地で育った木々や埋まっていた石のインテリアやアートがそこかしこに配されており、「グリーンウッド」のアロマが漂う空間は、森の中にいるような気分になります。 6タイプ32室の部屋はすべて富士山を正面に望む、極上のスイートルーム。ゆったりしたリビングを中心にベッド、バルコニーが配置されています。部屋には富士山の溶岩石を敷いた半露天風呂もあり、天然温泉が楽しめます。
いちばん広いコーナースイートの「ふふラグジュアリープレミアムスイート」
夕食は薪の香りと炎が出迎えてくれる「レストラン 山のは」へ。地産の旬の食材を、薪を使って焼いたり、溶岩石のプレートで温めたりするなど、森のリゾートならではの趣向を凝らした日本料理でもてなしてくれます。席は富士山とガーデンを望むシアター形式で、景色を一望できるのもうれしいポイントです。 日が暮れるとテラスのファイヤーピットに火が入るので、食後にゆらぐ炎を眺めながらゆっくり過ごすのもおすすめです。朝は早起きして森の香りを深く吸い込んでみては。森と富士山に包まれたリゾートでのステイは、心や体がゆっくりほぐれていくのを感じられますよ。
ふふ 河口湖
フフカワグチコ
富士山の伏流水で満たされた透明感あふれる8つの湧水池
忍野八海で一番の湧水量を誇る湧池。大噴火で苦しむ村人のために、木花開耶姫命(コノハナサクヤヒメ)が水を溶岩の間から湧かせた伝説が残る
世界遺産「富士山」の構成資産でもある「忍野八海」は、かつて大きな湖があった場所。大噴火が繰り返され、忍野湖と山中湖が誕生したそうです。いつしか忍野湖は涸れてしまいましたが、富士山の雪解け水の伏流水をたたえる湧水池が残り、忍野八海となりました。 忍野八海には8つの湧水池があり、歩いてめぐることができます。忍野八海を代表する池はその向こうに富士山がそびえる「湧池」。雪解け水が長い年月をかけて湧き出した水面は驚くほどの透明度の高さで、魚がゆらゆらと泳ぐ姿も見られます。
「鏡池」に映る逆さ富士。体を地面に近づけると見える
「鏡池」は名の通り、富士山が鏡のように水面に映ることから付けられました。晴れて水面が穏やかな時は、うまくいけば逆さ富士を見ることができます。この池の水には善悪を見分ける霊力があるといわれ、どの池にも伝説が残っています。伝説を楽しみながら湧水池をめぐるのも楽しいですよ。 忍野八海に含まれていませんが、茅葺き屋根の建物の後ろに富士山という、日本らしい美を感じられるのが「中池」です。そばには売店や食事処もあってにぎやか。よもぎの香りがふわっと口の中に広がる忍野八海の名物、草餅をいただきながら眺めましょう。
忍野八海
オシノハッカイ
富士山の伏流水で作る豆富をおみやげに
くちどけもやわらかで甘みを感じる「寄せ豆富」(180円)が看板商品
忍野八海の近くにある「豆ふの駅 角屋豆富店」は、ひっきりなしにお客さんが訪れる人気店。昔は忍野村で大豆を栽培していたことから、富士山の伏流水で豆富を作る店が多かったそう。伏流水に合わせる大豆も豆富作りには重要です。 二代目の店主が角屋の豆富に合う大豆を探し続け、出会ったのが佐賀県産の「フクユタカ」。いちばん人気の「寄せ豆腐」はフクユタカの大豆の甘みや風味をしっかり感じられ、なめらかで喉ごしがよい豆富です。
豆富は10種類。絹豆富(300g・110円)などの定番や味付きの胡麻豆富、ゆず豆腐(各200円)などがある。佐賀県産大豆「フクユタカ」(500g・320円)も販売。試食は現在休止中
定番以外におみやげにぴったりなのが、ひと味加えた豆富です。爽やかなゆずの風味が口の中に広がるゆず豆富をはじめ、しそ、胡麻、一味、生姜のバラエティ豊かな5種類がそろいます。ぜひ試してみて。 試食も魅力のひとつです。2021年5月現在は休止中ですが、お客さんに店のテーブルに座ってもらい、「食べてもらっておいしかったら」と5種類の味付き豆富と出来立ての寄せ豆富の試食を出していました。復活が待ち遠しいですね。
豆ふの駅 角屋豆富店
トウフノエキカドヤトウフテン
バラエティ豊かなランチ専門店で優雅なランチタイム
Aセットのメイン「甲州富士桜ポークのプレート レモン風味のソース」。「彩り豊かなスティックサラダ」などの前菜、ドリンクまたはジェラートが付く(1500円)。両方はプラス200円
山中湖畔からほど近い住宅街に建つ、スタイリッシュな建物が「Kitchen 燕(えん)」です。もともとはディナーをメインとしたダイニングでしたが、2020年にランチ専門店にリニューアル。シックな雰囲気は大人の女性のちょっと贅沢なランチにぴったりです。 料理は単品で注文できますが、4タイプのセットメニューが人気です。前菜は8種類、メインは22種類、食後は4種類の中から好きな料理を選んで組み合わせます。いちばん人気のメインは「トマトスープパスタ」。器もおしゃれで、パスタの器は箸でも食べやすいように深鉢にしています。フレッシュさを絶妙に残したトマトスープは飲み干す人が多いそう。 山梨らしい一品ならブランドポークを使った「甲州富士桜ポークのプレート」。レモンのソースでさっぱりと仕上げています。どちらもAセットで味わえます。
Aセット(1500円)の人気メインメニュー「きのことベーコンのトマトスープパスタ」と「燕らーめん」。「ドルチェ」(550円)をセットにつける場合はプラス400円
オーナーはリゾートホテルで約20年、イタリアンシェフとして腕をふるってきました。今は洋風メニューをベースにアジアンも加えたアレンジメニューが並びます。たくさんのメニューがそろうのは、洋食レストランのようにいろいろなものを食べてもらいたいからだそう。「燕らーめん」がメニューにあるのも、1人でラーメン店に入るのが苦手な方も食べやすいようにという思いもあります。選ぶことも楽しませてくれるレストランです。
Kitchen 燕
キッチンエン
山中湖畔にたたずむ大人のためのカフェでティータイム
「アップルパイ」(825円)、「パンプキンプティング」(660円)、「アプリコットバナナティー」(770円)。ケーキと相性のいいフレーバーティーが人気。おみやげ用の茶葉もある
1985年の創業以来、数多くのファンが足繁く通う「PAPER MOON」は、山中湖を代表するカフェです。ショーケースには15種類前後のパイとケーキが並びます。 看板メニューは「アップルパイ」。毎朝りんごをじっくり煮込み、ていねいに焼き上げます。アイスを添えたアップルパイは、酸味と甘みのバランスがよく、ジューシーなりんごのおいしさが口の中に広がります。さくっとした温かなりんごの食感もたまりません。 もう1つのスペシャリテは「パンプキンプティング」。生のかぼちゃとリキュールを効かせた生クリーム、地元の牛乳や卵で作るプティングで、かぼちゃの状態を見極めながら季節ごとに焼き方を変えているそうです。固めのプティングは、かぼちゃ感の残るしっとりした食感で濃厚な味わいです。カラメルと生クリームのソースがおいしさを引き立てます。
2600坪の森と庭にたたずむカフェ。店内にはスタッフ手作りのドライフラワーも随所に飾られている。生活雑貨も購入でき、オリジナル雑貨の「スプーンレスト」(300円)が人気
店内には洋服や食器、小物などをセレクトした生活雑貨を扱うショップもあり、ライフスタイルの提案をしています。お店で使っているオリジナル雑貨もあるのでのぞいてみて。 10歳以下の子どもの入店はお断りにしていますが、非日常の大人の空間を楽しんでもらいたいからだそうです。鳥がさえずり、緑の木々や草花に囲まれたカフェでおいしいケーキをいただきながら、ゆっくりくつろぎたいですね。
PAPER MOON
ペーパームーン
1泊2日で河口湖・山中湖周辺をめぐって、富士山のパワーで元気をもらい、心身をリフレッシュする旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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細江まゆみ 写真:加藤熊三
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