青森の町なかに残る、オアシス的存在の純喫茶

アンニュイな表情の女性が印象的な看板

JR青森駅から徒歩10分、昭和の面影が色濃く残る佇まいが目を引く「自家焙煎の店マロン」。このレトロを求めて、地元の馴染み客から観光客まで多くの人が訪れます。

どこを眺めてもノスタルジックな気分に浸れる

階段を上った先にある入り口の扉を開けると、そこかしこに飾られた骨董品に圧倒されます。緑のカーペットやステンドグラスのランプが静かに時代を物語り、まるで昭和で時が止まったかのよう。

座る席によって雰囲気がガラッと変わる

壁一面に飾られた古時計、レトロなおもちゃ、古いコーヒーミル、荷車の車輪…これらは先代から趣味でコレクションをしたもの。年月が紡いできた空間は、訪れる人たちを一瞬にして温かく包み込みます。

今も昔も変わらない空間で昔ながらの味を

現店主の松井久和さんがコーヒーを担当する

1970年に創業以来、親子3代で店を守り続けている同店が大切にしているのは「新しさを求めるのではなく、変わらないこと」。松井さんが淹れる自家焙煎コーヒーは、創業当初から変わらない布ドリップ方式によるもの。そのほかにも、軽食やデザートの多くが昔から変わらない味なんだそう。 「数年ぶりに訪れたお客さんであっても、変わっていないなって安心して寛げる場所でありたい。流行に流されず、このままのスタイルをこれからも続けられたら」と松井さんが語る店内は、時代を経ても変わらないゆったりとした時間が流れています。学生だったお客さんが大人になって再び訪れたり、3世代で通う客も珍しくないそう。特に多くの人から愛されているメニューを紹介しましょう。

王道の純喫茶メニューに工夫も凝らした人気商品

「特製フルーツマロンパフェ」980円

14時から提供される「特製フルーツマロンパフェ」は、グラスから溢れそうなほどに盛り付けられたフルーツに目が釘付けになります。この日はリンゴ、メロン、オレンジ、マスカット…など約6種類の旬のフルーツをふんだんに使い、どこから食べようか迷うほど♪ 食べ進めると抹茶アイスとあんこが中間層に現れ、ワクワクと心が躍ります。生クリームやバニラアイスがフルーツを引き立て、最後はオレンジソースでさっぱりとした締めくくり。味の移り変わりも楽しめて贅沢感たっぷりですよ。

（左）「かぼちゃのプリン」430円、（右）「オリジナルブレンド」480円

9月〜3月頃まで販売される「かぼちゃのプリン」は、ケーキのような形が特別感たっぷり。カラメルソースを染み込ませたほっくりとしたかぼちゃプリンと、固めのカスタードプリンの二層仕立てになっています。店の繁盛と共に終売していた時期もありましたが、スタッフによって10年以上前にアレンジを加えて復刻。あえてシナモンは使わず、かぼちゃを粗めに潰して粒々感を残すことで、青森県産かぼちゃのやさしい甘味をまっすぐに感じられます。ほろ苦いカラメルが味を引き締め、程よい甘さで飽きがこないおいしさですよ。9時30分ごろから1日20個限定で販売されます。 「オリジナルブレンド」は深みのある濃い味わいで、デザートメニューによく合います。

「特製ジャマイカンカレー」850円

水を加えず玉ねぎの水分で煮込んで旨味がぎゅっと凝縮された「特製ジャマイカンカレー」は、リピーターの多いロングセラー。ひき肉をたっぷり使い、ピリッとした辛さや香り豊かなスパイスが食欲をそそります。スティックサラダが別添えで付いてくるのも嬉しいポイント。「特製ジャマイカンカレー」のルーを使った「ツナカレートーストサンド」も人気です。 一人で訪れて読書にふける人や仲間と語らう人など、老若男女が思い思いの時間を過ごす「自家焙煎の店マロン」。昭和レトロを感じる店内で穏やかな時間の流れを楽しんでみて。