地元の商店街に軒を連ねる一軒

赤レンガ風の建物に白い小さな看板が目印

「Régis d.」へは、叡山電車の一乗寺駅から徒歩で西へ約3分。一乗寺は近くに美大があったり、英誌ガーディアンで「世界で一番美しい本屋」に選出されたお店があったりと、10年ほど前から京都のカルチャースポットとして注目を集めるエリアです。

フランスで子供の頃に食べた味を日本で再現

やさしい笑顔で迎えてくれるレジスさん

フランス出身のレジスさんが店をオープンしたのは、2024年の6月のこと。賑わいつつも京都の中心からは少し距離があり、流行に飲み込まれることなく、自分の味を保てる条件が揃っていたのが決め手となり、ここ一乗寺に店を構えたそうです。 まるで、和菓子屋さんのようなシンプルなショーケースが印象的ですね。

大切な素材である小麦と、ハチミツや小麦の生産者さんの写真が飾られている

開店とともに店内に入ると、焼き菓子を焼く香りが漂ってきます。それは甘いというよりも、香ばしいという感覚です。 「甘い香りは香料が入っているからです。私は自分のお菓子に香料は使いません。だから、口に含んだだけでは、それほど香りはしません。でも、噛めば噛むほど旨味が出てきますよ」とレジスさん。

看板商品は、白い缶に入ったビスキュイ

4種のビスキュイの詰め合わせ「ピプレッ ト」3900円

Régis d.といえば白いビスキュイ缶といわれる人気商品は、piplette（ピプレット）。フランス語で、ピーチクパーチクおしゃべり好きの人を表す言葉だそうです。だから缶には、小鳥がデザインされています。 お菓子を囲んで、賑やかに人の集う様子が目に浮かぶようですね。レジスさんは、お菓子のことを話し出すと止まらないので、ご自身もpipletteだとおっしゃっていました。

（手前から）リュスティック、紅茶、はちみつ、コニャックレザン。器に並べるとすてき

さっそく、ビスキュイを味わってみましょう。 「リュスティック」は、麦の実を丸ごと石臼で挽いた全粒粉を使ったビスキュイ。フランスの醗酵バターに負けない力強い風味の小麦は、京都で収穫された国産のものだそう。砂糖は種子島の洗双糖、塩はフランスの天日塩が使われています。 ザクザクとした食感で、レジスさんのおっしゃる通り噛むと、より風味が高まります。 「紅茶」は、京都和束産の和紅茶を練り込んだもの。こちらも、やはり噛めば噛むほど茶葉の香りが立ってきます。

（左から）はちみつとコニャックレザン。正方形のシンプルな形だけど味は奥深い

「はちみつ」に使われているのは、京都亀岡の森で集められる「そよご」という花の蜜。約30年もお菓子を作り続けているレジスさんが「バターに負けないしっかりした味」と感動したはちみつです。焼き上げても蜜の味がきちんと感じられますよ。 「コニャックレザン」には、フランスのコニャックに漬け込んだ干しブドウがたっぷり練り込まれています。ブドウが原料のコニャックに漬けられたブドウは、ビスキュイになってもフルーティーさが残るのです。

4 種のビスキュイは種類ごとにバラ売りもされている各 500円

基本の4種の他にも、季節や月替わり、その日だけのスペシャルなビスキュイがショーケースに並びます。また、水・土曜日は「おやつの日」として、フィナンシェなどビスキュイ以外の焼き菓子も登場。時々の焼き菓子についてはInstagramをチェックしてくださいね。 Régis d.の本物の素材で作られたビスキュイは、友達と賑やかにいただくのもいいし、1人静かにお気に入りの飲み物と味わうのもよさそうです。きっと、幸福感に包まれますよ。