紅白の花が秋の気配を移し込む「萩の宮」、梨木神社

思い思いに詠んだ歌や句をしたためた短冊が萩の枝に結わえられます。

秋を代表する草花として、草かんむりに秋と書く「萩」。秋の七草にも数えられ、初秋の華やぎをもたらしてくれる花です。その優美な姿は古くから日本人に好まれ、多くの和歌にも詠まれてきました。 京都御所の東側に位置する「梨木神社」は、明治維新の功労者、三條実万（さねつむ）・実美（さねとみ）父子を祀り、明治18（1885）年に創建されたお社です。こちらは「萩の宮」とも呼ばれ京都を代表する萩の名所。秋の訪れとともに参道両側に植え込まれた数百株の萩が咲き始めると、いつもは凛とした雰囲気に包まれた境内もこの時ばかりは華やかに。毎年9月中旬に開催される「萩まつり」では、萩の枝に短歌や俳句をしたためた短冊を結び、狂言や琴の音とともに花を愛でることができます。 　　～　千年の昔の園もかくやありし 木の下かげに乱れさく萩　～　　湯川秀樹 参道に立つ石碑には「梨木神社萩の会」の初代会長・湯川秀樹氏の歌が刻まれています。 ○　梨木神社（なしのきじんじゃ） [所]京都市上京区寺町通広小路上ル染殿町680 [TEL]075-211-0885 [時間]6:00～17:00（授与所は9:00～） [拝観料]境内自由 ◆　萩まつり　平成26年9月20日（土）～23日（火・祝） 奉納行事のスケジュールについてはホームページを ご覧ください。

「萩の寺」の境内に降りそそぐ無数の小花、常林寺

境内が萩の花で埋まる常林寺。道行く人も思わず足を止めて眺めています。

京阪・出町柳駅からほど近く、鴨川畔の「常林寺」は天正元（1573）年に創建され、幕末には若き日の勝海舟が宿坊として利用したという由緒を持つ寺院です。昔から「萩の寺」として知られ、初秋、小さな山門をくぐると、本堂へ続く細い石畳の両側を埋め尽くすように萩がゆるやかな曲線を描き、紅紫色や純白の可憐な花を咲かせています。萩は砂地を好んで生育する植物で、この場所は鴨川に近く境内一帯が砂の層であることから、よく育つのだとか。秋風に揺れる萩の花々は、“萩の海”とたとえられるほどです。 ○　常林寺（じょうりんじ） [所]京都市左京区左京区田中下柳33 [時間]9:00～16:00 [拝観料]境内自由

萩の花が彩りを添える「平安神宮」の神苑

神苑の池に架かる優美な橋殿。秋風に吹かれてのんびり過ごしてみて。

白い玉砂利に朱塗りの社殿、緑青の甍が秋空に映える「平安神宮」は、明治28（1895）年に、平安遷都1100年を記念して創建された神社。京都にゆかりの深い、桓武天皇と孝明天皇を祭神とし、京都総鎮守の神社として信仰を集めています。平安の雅を彷彿とさせる社殿は平安京の政治の中心地・朝堂院を模して再現されました。王朝文化の華やかさを今に感じることができる貴重な建物です。 社殿の周りを囲う広大な神苑は、明治から大正時代にかけて活躍した作庭家、七代目･小川治兵衛が手がけたもの。四季折々に風趣豊かな草花を楽しむことができるスポットとして親しまれています。この時期は神苑の入口を入ってすぐ、紅枝垂れ桜の足元に植えられた萩の花が咲き誇り、季節の変わり目をそっと教えてくれているようです。 涼しさを感じ始める初秋、いにしえの人びとも愛した秋の花を愛でに京都へと足を運んでみませんか。 ○　平安神宮（へいあんじんぐう） [所]京都市左京区岡崎西天王町 [TEL]075-761-0221 [時間]3/15～9/30は6:00～18:00、10/1～10/31は6:00～17:30 [拝観料]神苑600円（参拝無料） ◆　神苑無料公開　平成26年9月19日（金）8:30～16:30