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2016.10.23
二人の巨匠が夢の共演!対照的な表現と友情の軌跡を辿る貴重な展覧会「ゴッホとゴーギャン展」が開催中
後期印象派を代表する画家、ゴッホとゴーギャン。南仏アルルで共同生活を送り、悲劇的な結末を迎えたエピソードはあまりにも有名ですが、二人の交流の足跡やそれぞれの芸術性そのものに焦点を当てた展覧会は今までほとんどありませんでした。2人の巨匠が互いに影響しあい、尊敬の念をもち、後世に残る作品を生むに至ったのか。それを知る貴重な展覧会に出かけてみましょう。 メイン画像:左/『自画像』 フィンセント・ファン・ゴッホ 1887年4-6月 クレラー=ミュラー美術館 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo 右/『自画像』 ポール・ゴーギャン 1885年 キンベル美術館 ©Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas
生い立ちや性格も異なる二人

『ジョゼフ・ルーランの肖像』 フィンセント・ファン・ゴッホ 1889年2-3月 クレラー=ミュラー美術館 ©Kröller-Müller Museum, Otterlo
本展は二人がともに過ごした時期を中心に、初期から晩年にわたる約46点の作品を通して、彼らの軌跡をたどる日本初の展覧会です。 オランダで生まれたフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)。初期の作品は農民をモチーフにした暗い色調のものが多かったようですが、弟テオが住むパリに移り住み印象派の画家たちの作品に触れ、画家らと交流する中でその色彩は明るさを増し、自由なタッチへと変化していきました。 そして、大都市の生活に疲れきったゴッホは、より強い太陽の光を求めて南フランスのアルルへ居を移したのです。

『アルルの洗濯女』 ポール・ゴーギャン 1888年 ビルバオ美術館 ©Bilboko Arte Ederren Museoa-Museo de Bellas Artes de Bilbao
一方のポール・ゴーギャン(1843-1903)はパリで生まれ、幼少期を南米のペルーで過ごしました。30代後半でパリに出て本格的に絵を志します。パリで出会ったゴッホの誘いを受け、アルルへ向かったのは1888年のことです。

本展では二人に影響を与えたミレーやモネ、ピサロなどの作品16点も展示
パリで出会い、お互いの作品に魅かれ、アルルの “黄色い家”で共同生活を始めたのはゴッホ35歳、ゴーギャン40歳の時でした。ともに戸外へ出かけてイーゼルを並べ、時には同じモデルを異なる角度から描き、互いの技法や表現を試み、強く影響を受け合いながら意欲的に制作活動を行いました。しかし、その画法はまったく異なるものでした。 現実の世界から着想を得て、力強い筆触と鮮やかな色彩で作品を生み出していくゴッホ。それとは対照的に、ゴーギャンは目には見えない想像の世界を作品を描き上げました。
ゴッホの「リアリティ(写実)」とゴーギャンの「イマジネーション(想像)」
本展では、二人のまったく異なる絵の表現方法を見ることができます。 アルルで描かれた収穫をテーマにした二人の作品を「リアリティ」と「イマジネーション」をキーワードに見比べてみましょう。

『収穫』フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) ©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)
ゴッホの『収穫』は、強い日差しに照らされて輝く麦畑とその中で収穫をする農夫の姿を多様な色彩で表現しています。 これに対し、ゴーギャンの『ブドウの収穫、人間の悲惨』は、ゴッホと散歩したときに見た夕陽に染まるブドウ畑の光景と、ブドウの収穫をするブルターニュ地方の女たちが一枚のカンバスに表現されており、現実ではなく記憶と想像で描かれたことがわかります。 ゴーギャンはこの絵を描いた後、手紙にこう記しています。 「そこにブルターニュの女性を配した。実際にはないことだがかまわない」。 それぞれが「最高傑作」と認めた作品を同時に見られるのは、本展の大きな見どころのひとつといっていいでしょう。

『ブドウの収穫、人間の悲惨』 ポール・ゴーギャン 1888年オードロップゴー美術館 ©Ordrupgaard, Copenhagen Photo: Anders Sune Berg
悲劇と共同生活の終わり、そしてその後も続く友情

『ゴーギャンの椅子』フィンセント・ファン・ゴッホ 1888年11月 ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) ©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)
意欲的に制作活動をする二人でしたが、次第に二人の関係に緊張が増していきます。ついには「耳切り事件」が起こり共同生活はたった2ヵ月で破綻してしまうのです。 ゴーギャンはアルルを去りますが、だからといって二人の関係が終わったわけではありませんでした。2人の手紙でのやり取りは、ゴッホの死の直前まで続いたといいます。 ゴッホの『ゴーギャンの椅子』はゴーギャンをアルルの家に迎えるためゴッホが用意した椅子を描いたもので、椅子に座るべきゴーギャンの象徴的肖像画として位置づけられる貴重な作品です。そこにはゴッホのゴーギャンに対する尊敬と友情が垣間見えます。

『肘掛け椅子のひまわり』ポール・ゴーギャン 1901年 E.G.ビュールレ・コレクション財団 ©Foundation E. G. Bührle Collection,Zurich
この作品の対画とみなされているのが、ゴッホの死から11年後にゴーギャンがタヒチで描いた『肘掛け椅子のひまわり』です。ゴッホへの哀悼の意を込めて描かれたといわれており、タヒチにはなかったひまわりの種をわざわざヨーロッパから取り寄せて島で栽培し、作品を完成させたのです。 そこには、ゴーギャンのゴッホへのオマージュが垣間見えます。
観賞後は展覧会だけの限定グッズをおみやげいかが?

コンパクトミラー 各1300円
展示室を後にしたら、ショップでオリジナルグッズを見てみましょう。「ゴッホとゴーギャン展」を記念したタイアップグッズが揃います。

ミニチョコセット 1200円
二人の代表作をモチーフにしたコンパクトミラーや、ミニチョコレートの詰め合わせ、Tシャツやトートバッグなど、かわいくてアートな小物は自分への記念や展覧会の感動をお裾分けするのにぴったりです。
「ゴッホとゴーギャン展」へ5組10名様ご招待!
今回、東京都美術館で開催中の「ゴッホとゴーギャン展」のチケットを、抽選で5組10名様にプレゼントいたします。 ○応募締め切り 2016年10月30日(日) ※ 当選者の発表は招待券の発送をもって代えさせていただきます。 皆さんのご応募、お待ちしております。
お申込みはこちら

東京都美術館
とうきょうとびじゅつかん
03-5777-8600
(ハローダイヤル)
http://www.g-g2016.com/
入館料:一般1,600円、大学生・専門学校生1,300円、高校生800円、65歳以上1,000円
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