「暮らしと、旅と...」海外編/トロント・日曜骨董市で感じる街の息づかい
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「暮らしと、旅と...」海外編/トロント・日曜骨董市で感じる街の息づかい

海外旅行に出かけたとき、日曜日は店が開いていなくて困った!という経験はありませんか?もし、日曜日に都市部に滞在することがあったら、ぜひチェックしてもらいたいのが「サンデーマーケット」。大概の都市では、日曜でもどこかの場所で朝からマーケットを行っているから、そういった場所をめぐるのも楽しいもの。でも、住民向けのローカル食材のマーケットだけでは旅行者にとっては、お土産が買えなくて少し寂しい。そんなときは、ぶらぶら歩きのついで掘り出し物に出合えるかもしれない現地の骨董市にでかけてみませんか? この冬に訪れたカナダ・トロントには、多人種の人たちが暮らすコスモポリタンシティらしい「サンデー・アンティークマーケット」がありました。

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カナダ最大の都市、トロントの台所といわれる「セント・ローレンスマーケット」の北棟で毎週日曜に開催されるアンティークマーケットは、雑貨好きにはたまらない掘り出し物の宝庫です。ヴィンテージジュエリーをはじめ、デッドストックの洋服、デザイナーズの家具、古書、レコード盤、コイン、台所用品、なんでもござれ。体育館ほどの大きさの場内に、所狭しと個人商店のブースが並び、壮観です。北棟は土曜はファーマーズマーケットとして地元の農家が農産物を持ち寄って販売している場所ですが、日曜になると、地元のみならず、北米中の収集家やバイヤーが骨董を目指して集まる場所となっています。このマーケット、開催されてから20年の月日が経ち、北米ではすっかり有名な骨董市に成長しました。 屋内で開催されるため、天候に左右されないのが魅力。しかも、この市場は、遠方からも人が集まるため、早朝5時から開催しているのです。私が訪れたのは雪の降る日でしたが、多くの人が会場を訪れていました。

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120以上の個人商店が並ぶ市場は熱気に包まれており、何か面白いものはないかなと歩いてみました。アンティークジュエリーは各地からプロのバイヤーが買い付けにくるほどの品揃えと噂で聞いていたので、いろいろと見てみましたがこの日は自分の好みのものがなくがっくり。でも、キッチン用品の場所に行くと、日本で人気のメーカーのものもあり楽しい! いい味出しているル・クルーゼのウッドハンドルの片手鍋は35$。思わず、荷物の重量を忘れて心を動かされた私。ファイヤーキングのカップやシェフィールド製バターナイフもたくさんの品揃えがあり、このコーナーでは欲しいものがたくさん出てきて目がうようよと泳いでしまいました。さすがに重すぎてル・クルーゼは断念しましたが、これをまた値引き交渉をして買う楽しみもあるだけに、それすらも出来なかったのが寂しいところです。

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ちょっと気分を落ち着かせ、いろんなブースをめぐっていると、家具はヴィクトリア調のものからモダンなデザイナーズものまで置いてあり、目利きが見るとたまらない品揃えなのだろうなと。また、トロントは約半分が移民で成り立っており、その内訳もヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、アジア......全ての大陸から人が集まってきているというのだから、お店に並ぶ商品や販売している人たちの出身地を聞くだけでも、世界旅行ができそうなくらいの多様さです。 「私の商品はルーツのあるガーナで仕入れたものが多いわ。人形、かわいいでしょう?」ブース内に座っている女性から手渡された人形をじっと見つめながら、ガーナから連れてこられたこの人形の移動距離は何キロなんだろう、これから私が買ったとしたらまた移動するのか〜と妄想してしまう私。購入しませんでしたが、ここにある商品どれをとって見ても、どこか遠くで誰かから誰かに渡されてきた物語があると思うと、せっかくだから大切に使い、引き継げるものを持ち帰りたいなと思うわけです。 ここでは、トルコ絨毯や伝統的な手織物であるアンティークキリムはトルコ人、北欧のカラフルなデザイン布は北欧出身の人が売っており、出身地がそのまま出品につながっているような感じ。私はアメリカからカナダに移住した女性からメイドインUSAの「Hull pottery 」ミルクソーサーとシュガーポットを購入しました。彼女は、トロントに住みながらもアメリカとの往来はしょっちゅうだそう。確かに、目の前にあるオンタリオ湖の向こうはアメリカです。自分の持つ歴史、文化背景をアイデンティティとしながらも、住みやすい街に住む、という選択をしたそうです。

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トロントの旧市街に位置するユニオン駅からサンデー・アンティークマーケットの入っているセント・ローレンスマーケットあたりは歴史的建造物も多く、散歩に楽しい場所です。実は、1851年に建てられた北棟はもうすぐ取り壊され、改築される予定。春から工事が始まる予定ですが、サンデー・アンティークマーケットは土曜のファーマーズマーケットともに同じセント・ローレンスマーケット内に仮移築されるビルで開催しますのでご安心を。下記公式ホームページにSNSページへのリンクがあり、そちらで逐次ニュースが配信されているので、お出かけ前にご確認ください。 さて、持ち帰ったミルクピッチャーとシュガーポットは2人家族では少し大きな規格でした。この茶色の味わいのある陶器は何に使おうかな、というところで庭に咲いているラベンダーをミルクピッチャーに挿してみました。シュガーポットはイタリアンパセリを摘み取ったものを取り出しやすくガサッと入れて。実は、トロントには近郊のアルゴンキン州立公園に行くために1日立ち寄っただけなのですが、このマーケットを訪れたことで、暖かい季節にもう一度人種のモザイクであるトロントの街を歩いてみたくなりました。きっとレストランも世界各国からの移民たちが満足するようなチョイスがたくさんあるんだろうなと。トロントに行く計画のある方は、バラエティ豊かな食事も、ぜひお楽しみください。 さて、今月の「暮らしと、旅と...」は、来週から福岡県糸島市を訪れます。どうぞお楽しみに。

連載コラム「暮らしと、旅と...」バックナンバーはこちら

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サンデー・アンティークマーケット(セント・ローレンスマーケット内)

clock-icon5:00〜17:00(サンデー・アンティークマーケット)
pin-icon日曜のみ開催
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http://www.sundayantiquemarket.com/
セント・ローレンスマーケットは日曜日、月曜日を除く週5日営業。 ファーマーズマーケットは、土曜日のみオープンしています。

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