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2017.04.12
行きつけにしたいカフェバーのある、小さな映画館「アイリッシュ・フィルム・インスティチュート」
ダブリンの中心部に位置するテンプルバーエリア。多くのパブが立ち並ぶこのエリアではたくさんの人が行き交い、深夜まで賑わいが絶えることがありません。 今回ご紹介するのは、そんな中心部のにぎわいから少し距離を置く場所。何度も足を運びたくなるようなカフェバーをもつ小さな映画館です。

ダブリンのパブが集まるテンプルバーエリア

「アイリッシュ・フィルム・インスティチュート」入口上部の、目印となる看板
ギネスをはじめとしたスタウトや、ウイスキー。幅広いお酒の文化をもつアイルランドには多くのパブがあり、パブは大人の社交場として大切にされています。 僕自身もこの街に来てから何度もパブに足を運んでいますが、そこで出会う人との交流はなにより楽しいもの。何気ない会話の中で文化を知ることができる貴重な機会になっています。 特にパブが多く集まっているテンプルバーエリアは人気観光スポットのひとつ。深夜も活気にあふれるエリアの中にあるのが、小さな映画館「アイリッシュ・フィルム・インスティチュート」です。

宗教施設から映画館へと生まれ変わった建物

街の喧騒を忘れさせてくれるような長い通路を歩いて映画館内へ
1945年に設立されて以来、アイルランドの映画文化を保存し、伝え、映画を通した教育に取り組んでいる「アイリッシュ・フィルム・インスティチュート」。 もともとこの建物は、宗教にまつわる施設として運営され、集会などが行われていました。そののち、改修工事が行われ、カフェバーが併設された映画館に生まれ変わりました。 一般上映されていないマイナーな映画を観たりや、季節ごとの上映イベントを楽しむことができます。また、平日の日中など訪れる時間帯や、メンバー登録をすることによってチケット代が安くなったり、ときおり行われる無料上映会も魅力のひとつ。

館内にある「IFI Film Shop」
通路の途中にあるショップは、映画のDVD、関連書籍やポストカードなど、映画にまつわるものを販売しています。DVDの品揃えが豊富で、アイルランドでつくられた映画をはじめ、初めて目にするような珍しいタイトルの取り扱いも。

人々の懐の深さが感じられる空間

通路を抜けた先では、大きなメインロビーが迎え入れてくれます。 ガラスの屋根から、たっぷり降り注ぐ自然光の下のテーブルで休憩をしたり、カフェで買ったコーヒーを飲んだり、遊びまわる赤ちゃんを温かく見守ったり。みなが思い思いに過ごせる心地よい場所。 ここにいると、僕がダブリンの街に来てからずっと感じていた街の人々の「懐の広さ」が、この心地よい空間を作っているのかもしれないと感じてしまいます。

メインロビーに立ち、上を見上げる
かつて宗教にまつわる建物であったことを感じさせてくれるのも、このメインロビー。 神聖さをまとうこの空間で、ひと息つく。映画はもちろんですが、この空間を体験するためだけでも、訪れる価値のある映画館です。

映画館に併設されたカフェバー「IFI CAFÉ BAR」

ゆっくりと会話を楽しむことができる「IFI CAFÉ BAR」
映画と素晴らしい空間を楽しむことができる「アイリッシュ・フィルム・インスティチュート」ですが、併設されたカフェバーも見逃すことができません。 映画館の雰囲気を引き継ぐように、ゆったりとした時間の流れるこのカフェバーでは、コーヒーやスイーツだけでなく、お酒を楽しむこともできます。 賑わいのあるテンプルバーエリアに位置しながら、静けさをもつお店はとても貴重。僕は一度訪れて以来このお店が気に入ってしまい、何度も足を運んでいます。

ポテトとチョリソーのシチュー、ビールをお供に
ご飯メニューも魅力的で、この日のお勧め料理は、ポテトとチョリソーのシチュー。定番のメニューとしては、サンドイッチやハンバーガー、魚や肉のメイン料理も提供されており、がっつりご飯を食べるのにも最適です。 滞在中の遅く起きたある日、ここで遅めのご飯を食べながら、街歩きの計画を練るなんてのも贅沢な旅のひとコマになりそうですね。

テンプルバーのパブを満喫した方にこそ、お勧めしたい場所

ダブリンに来たからには、観光地としてのテンプルバーエリア、そしてパブを満喫してほしい。でも、テンプルバーエリアの賑わいには少し疲れてしまったかな、そんな方にお勧めしたいのが今回ご紹介した「アイリッシュ・フィルム・インスティチュート」です。

一度訪れてしまうと、思わず何度も通ってしまいたくなる。そんなカフェバーのある、小さな映画館。あなたもきっと、気に入ってくれると思います。この街の新たな一面に会いに、来てみませんか?

Irish Film Institute
アイリッシュ・フィルム・インスティチュート
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写真 タナカユウキ
タナカユウキ

おなかの弱い一級建築士。ライター、建築写真家。1988年岐阜生まれ。現在はアイルランドのダブリンという街に住んでいます。好きな食べ物はドーナツと、カレーライス。
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