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自由で愛嬌たっぷりな郷土玩具を通じて、自分らしく地域の魅力を伝える|福岡「山響屋」瀬川信太郎さん

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自由で愛嬌たっぷりな郷土玩具を通じて、自分らしく地域の魅力を伝える|福岡「山響屋」瀬川信太郎さん
東京暮らし10 年⽬にして福岡へ移住した、ライター寺尾えりかによる新連載『よかひとのともだちはよかひとたい』。

福岡の⼈はみんな⼝をそろえて「福岡は狭いけん、すぐにつながるよ〜」といいます。そこで私は考えました。どこまでその“友達の輪”は広がるのかと…。

条件は「福岡に住み、町を盛り上げようとしている人たち」。数珠つなぎで友達を紹介してもらい、検証したいと思います。それではスタートです!

九州の郷⼟玩具と⺠芸品のお店「⼭響屋」

九州の郷⼟玩具と⺠芸品のお店「⼭響屋」 ストリート系ファッションに身を包んだ“イマドキ男子”の瀬川さん
連載第⼀回⽬に登場していただくのは『⼭響屋』(やまびこや)店主の瀬川信太郎さん。九州中の郷⼟玩具と⺠芸品を取り扱っているという、福岡でも、いや、⽇本でも珍しいお店です。 さっそくお話をうかがってみました。

郷土玩具と瀬川さんの出会い

郷土玩具と瀬川さんの出会い
福岡の繁華街”天神”エリア。大通りを少しはいったところのマンションの一角にたなびく【山響屋】の暖簾
普通⽣活しているとなかなかな馴染みのない郷⼟玩具ですが、知ったきっかけは何だったんですか?

瀬川: もともと神社を巡って、御朱印をいただくのが好きやったんです。18歳から⼤阪に住んどったんですけど、DJ やショップ店員をしながら、奈良や京都の神社を巡ったりしよったんです。

店内には約500 点もの玩具が並ぶ
そのうち、縁起物ART チームの『うたげや』に⼊って、ダルマに絵付けしたりっていう活動が始まるんですけど、そん時は「ダルマってかわいいな〜」くらいな感じで、「郷⼟玩具」っていうジャンルがあることは知らんかったんです。

京都『平⽥郷⼟玩具店』で郷土玩具の魅力に目覚める

京都『平⽥郷⼟玩具店』で郷土玩具の魅力に目覚める
ーでは、「郷⼟玩具」を本当の意味で知ったきっかけとは?

瀬川:京都の東寺に隣接する『平⽥郷⼟玩具店』っていう店に友⼈が連れて⾏ってくれたことがきっかけです。店主が何⼗年もかけて全国から集めたという、数え切れないほどの郷⼟玩具が並んでいて、すごく衝撃を受けましたね。そん時から、ダルマ以外の郷⼟玩具に興味を持ち始めました。

山響屋は最初、器屋さんでした

山響屋は最初、器屋さんでした 瀬川さんはダルマの絵付師としても活躍中
―山響屋をオープンするどれくらい前の出来事ですか?

瀬川:それがオープンの2 年くらい前かな。もともと福岡でお店はやりたかったんですよ。でも”何を売るか”をまったく考えてなくて。お店をオープンする2ヶ⽉前くらいに、物件が決まって、いよいよ「何を売るんか考えんとまじでやばい!」っていう状態でした(笑)

最初は福岡が焼き物の産地っていうこともあって「器や!」ってなったんです。それだっ たら同じ⼿仕事ってことで、ちょろっとだけ郷⼟玩具も置こうかな〜っていう感じで。だ から⼭響屋は最初、器屋さんやったんです(笑)

郷土玩具に興味が集まっていることを実感

郷土玩具に興味が集まっていることを実感 商品以外にも瀬川さんがコレクションしたダルマや本ずらり 「好きなものに囲まれて、それが仕事になるっていーじゃんいーじゃんって思ってました」(瀬川)
ー今とは全然違ったんですね…!

瀬川:お店がオープンしたころ、いろいろ取材していただいたりしとったんですが、ピックアップされるのが郷⼟玩具ばっかやったんです。やけん、みんなが求めてるのは、郷⼟玩具なんやって思って、思い切って⽅向転換したんです。それが1年くらい前の話です。
ー郷土玩具がもとめられる。その理由ってなんなのでしょう?

瀬川:取り扱っていること自体が珍しいっていうのもあると思うんですが、やはり旅の思い出としても購入しやすく、ひとつとして同じものがないっていうのが響いたんじゃないかなって思いますね。

ー郷土玩具たちの仕⼊れ先はどうしたんですか?

瀬川:九州でいま⼿に⼊る郷⼟玩具を知ってる限りすべて取り扱いたくて、九州をグルッとまわりました。ネットで検索したり、⼈づてに聞いたりして、職⼈さんのもとに直接会いに⾏って直談判、の繰り返しでした。

ー直接会いにいって直談判されたんですね!すごい。

おもちゃひとつで、地域文化を知ることができる

おもちゃひとつで、地域文化を知ることができる ⽬が合うと思わずにんまりしそうな愛嬌たっぷりの張り⼦のお⾯。 「こういう身なりで職人さんに会いに行くけんですね、 最初は怪しまれて大変なときもありました。でも今は孫みたいに接してもらっとるとです」(瀬川)
ー郷土玩具の知識はどうやって深めていったんですか?

瀬川:実は全然しらんですよ(笑)今は本で調べたり、直接職⼈さんに会って話を聞いたり、まだまだ勉強中ですね。
ー郷土玩具のどこに惹かれたんですか?

瀬川:郷⼟玩具って、美術品とかとは違って、あくまで“おもちゃ”なんで、本当に決まりがなく⾃由なんです。「何でここにこの⾊使う?何でこういうフォルムにした?」っていう疑問から始まったんですよ。知っていくうちに、玩具ひとつでその⼟地のことまで知れたりするけん、郷⼟玩具ってめっちゃ深いやん!ってハマっていったんです。

郷土玩具の背景を知ることも大切だけど、直感的な出会いを楽しんでもらえたら

郷土玩具の背景を知ることも大切だけど、直感的な出会いを楽しんでもらえたら 同じダルマでも、個性あふれる表情を⾒せる
ーたしかに、今こうして郷⼟玩具っていうものが衰退していっている中で、瀬川さんのように「郷⼟玩具って何かかわいい」っていうのが興味を持つきっかけになるのもありですよね?

瀬川:その玩具の背景みたいなんを知ってもらうっていうことももちろん⼤事だけど、「これ家にあったらよくねー?」みたいな、直感的な出会いも僕⾃⾝も⼤切にしていて。「⽬があったやつ買っていけばいいっちゃないと?」ってよく冗談でお客さんにも⾔っています。
ーつくっている⼈の⼈柄がにじみ出てるような感じもいいですよね!

瀬川:そうなんです。つくっている⼈たちがみんないい⼈たちなんですよ。だから、単純にもっといろんな⼈に知ってもらうお⼿伝いがしたいっていうもあるんですよね。

今までの⼈⽣ちゃらんぽらんやってきて、社会に何も貢献できてなかったけど、今、ちょっとは貢献できてるんじゃない?って思えるようになってきたとこです。

郷⼟玩具をもっと盛り上げて、町の活気につなげていきたい

郷⼟玩具をもっと盛り上げて、町の活気につなげていきたい
ー今後はどういう活動を予定しているんですか?

瀬川:消えかけている郷⼟玩具をもっと盛り上げて、その町に活気を取り戻していくような活動をしていけたらって思っとるとです。その⼿段として、本を出したいな、と。

ー本を出す! すてきですね。

ひとつの⽬安として東京オリンピックまでにと思ってるんで、2020 年までに出版するのが⽬標です。

郷土玩具が販売されていた祭りや神社、郷土玩具が生まれるきっかけとなったその土地の伝説、そして伝説で出てくる場所を紹介するような、郷⼟玩具を切り⼝とした観光を提供し、国内外問わず、たくさんの⼈に広めていきたいと思っています。

“はじめまして”の⼈でも共通の友達がいることが多い

“はじめまして”の⼈でも共通の友達がいることが多い
ー福岡ってどんな町だと思いますか?

瀬川:すぐ⼈とつながるっすね。“はじめまして”の⼈でも、共通の友達がいるっていうことが多いです。最初は「お店を持ちたいっていう夢は叶ったけど、ダメだったら1年でたたもう」とも思っとったんですが、いろんな⼈に助けられたし、応援してもらってます。

だから、いまはこれをとにかく続けていかなきゃいけないかなって。続けていくことが僕の使命かなって思っとるとです。

よかひと(瀬川さん)が紹介する、よかひと(友達)とは?

よかひと(瀬川さん)が紹介する、よかひと(友達)とは? ショップ袋には必ず直筆のイラストを添えてくれる
ーそれでは、最後に、次にバトンタッチする⽅を教えてください!

瀬川:福岡のカフェ⽂化を牽引してきた「STEREO」の姉妹店として、2016 年12 ⽉誕⽣した「STEREO COFFEE」店⻑の松崎典成くんです!

松崎くんとは、昨年夏にSTEREOCOFFEE の2 階にあるギャラリーで「⼭響屋の夏祭り」という展⽰会・イベントを催した時に出会いました。その出会いを機に、ふらっとSTEREO COFFEE に寄ってはおしゃべりしながらコーヒーを飲んでいます。

今⽇の気分を伝えるとおすすめのコーヒーを淹れてくれるので、僕にとってのコーヒーマスターみたいな存在です(笑)
【お話を伺った人】
⼭響屋 店主、絵師
瀬川 信太郎
1984 年⽣まれ。2008 年、⼤阪を拠点に縁起物ART などを展開する『うたげや』に参画し、だるまにオリジナルの絵付け⾏う絵師として活動スタート。2015 年4 ⽉、福岡市中央区今泉にて、九州を中⼼とした郷⼟玩具や⺠芸品を扱う『⼭響屋』をプレオープンしたのち、5⽉に開店。全⽇本ダルマ研究会、全⽇本郷⼟玩具の会、会員。
寺尾えりか

寺尾えりか

福岡市在住のフリーライター。東京から福岡への移住を機に、出版社を退社しフリーランスの道へ。ベレー帽をトレードマークに日々奮闘中。雑貨とアクセサリー、インスタグラムの中の猫(飼っていない)を愛でるのが至福の時。

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