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2015.08.12
「リサとガスパール展」開催中♪作者インタビュー【後編】パリと日本の魅力とは
絵本やグッズ展開などで人気のキャラクター・リサとガスパール。現在、松屋銀座で「リサとガスパール展」が開催されており、日本初公開を含む約150点の貴重な原画やスケッチなどを展示していることで話題となっています。 本展覧会に合わせて来日した作者ご夫婦、ゲオルグ・ハレンスレーベンさん(写真右)と、アン・グットマンさん(写真左)のインタビューを前後編でお送りします。 後編である今回は、二人が住んでいるパリの好きな場所や、日本で感じた魅力について、お話を伺いました。
パリの下町・マレ地区の魅力
――パリにお住いのお二人ですが、お気に入りの場所はありますか? アン・グットマン(以下、アン)「私たちが住んでいる、パリのマレ地区が好きです」 ゲオルグ・ハレンスレーベン(以下、ゲオルグ)「マレ地区のヴォージュ広場の近くに住んでいたことがあるのですが、そこは子供たちが生まれて、初めての散歩に連れて行った場所なんです。そんなふうに、マレ地区には思い出がたくさんありますね」 アン「マレ地区はパリのなかでも古い場所なので、住んでいる人の生活の場もきちんと守られていて、住みやすいところです。パリの下町、といったところかしら」
市民の憩いの場になっているヴォージュ広場
「リサとガスパール にほんへいく」の制作秘話
――では、日本の好きな場所はありますか? ゲオルグ「実は今回、まだ3回目の来日なんです。毎回短い滞在時間になってしまうのですが、いつも新しい東京を見つけようとしています。さっきも、東京に住んでいるフランス人に、好きな場所やおすすめの場所を聞いたばかり。まだ日本の好きな場所を探している最中ですね」 アン「東京だけでも非常に大きくて、近代的なものや歴史的なものが混ざっていて、文化が幅広いですよね。だから、どこが好きかは、まだはっきりとはわからないのです」
――リサとガスパールの絵本のシリーズの中に、「リサとガスパール にほんへいく」という作品がありますが、これはどこが舞台になっているのでしょうか? ゲオルグ「これは京都のシーンが多いですね。初めて日本に来たときに、自分たちが訪れた場所を基に書きました」
――水洗トイレに驚いたり、お箸に戸惑ったりするふたりがとってもかわいい絵本です。これはゲオルグさんとアンさんの経験に基づいたエピソードなのでしょうか? ゲオルグ「例えばこのタクシーのシーン。これは自分で撮ったビデオを基に描いた絵なので、実際に体験したものに沿って描いています。 そしてこの表紙の裏の絵は、旅行代理店に行ってるシーンです。奈良のシカやレインボーブリッジが描かれていますが、実際に訪れた旅行代理店のポスターを基にして描いているので、現地に行ったことはないんです」
「リサとガスパール展」では、キャラクターの歴史を楽しんで
――日本の好きな場所を探し中のお二人ですが、フランスと日本の違いで驚いたことや感激したことはありますか? アン「いちばん初めに驚いたのが、日本人の親切さです。お店に入ったり、人に会ったりしても、誰も不愉快な顔をすることがなくて、にこやかです。文化的な違いなのかはわかりませんが、本当に親切ですよね。それから、どこに行っても危険がなく安全であることにも感激しました」 ――では逆に、似ているところはありますか? ゲオルグ「同じ絵本がフランスでも日本でも受け入れられているということは、美的感覚などに関して、近いものがあると思います」 アン「フランスの人たちも、日本のデザインや建築を気に入っていると思いますし、日本の人々もたくさんパリに来ていますよね。ですから、何か近い感覚があるのではないかと思います」
――では最後に、今回の「リサとガスパール展」の見どころを教えてください。 ゲオルグ「リサとガスパールは、僕が絵を描き、アンが話を作り、試行錯誤しながら共同作業で作ってきた、とても大切な作品です。今回は、リサとガスパールが生まれた原点となっているものを多数持ってきています。キャラクターが生まれたきっかけとなった赤い手帳のような、個人的なものも展示しているので、そのあたりも含めてぜひ楽しんで見てみてください」
ゲオルグ・ハレンスレーベン 1958年ドイツ生まれ。幼いころから水彩画に親しみ、大学卒業後はローマで画家としてスタート。 パリでアン・グットマンと知り合い、結婚。 「リサとガスパール」シリーズ以外にも、「ペネロペ」シリーズや「イザベルと天使」(金の星社)など作品多数。 アン・グットマン 1970年パリ生まれ。小説家だった父の影響で、絵本の創作活動に。 出版社でデザインの仕事をしているときにゲオルグと出会い、結婚。「リサとガスパール」シリーズでは、お話とブックデザインを手がけている。 © 2015 Anne Gutman & Georg Hallensleben / Hachette Livre
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取材/梶塚美帆 写真/小野さやか
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