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2015.08.21
こんなところに本屋さんが?和歌山の廃校を利用したブックカフェが話題です
和歌山県東部、奈良・三重と接する熊野川町にある「Bookcafe kuju(ブックカフェ・クジュウ)」。廃校になった小学校の校舎をリノベーションした空間には、古い家具がまるで秘密基地のように配置され、セレクト本が並びます。香り高い珈琲とともに、旅先での読書を楽しみませんか。
お気に入りの本と珈琲。カフェの窓からは緑の山が見渡せます
自家焙煎の珈琲(400円)とガトーショコラ(450円)
山の緑、透き通ったグリーンの熊野川と、広い空、風が運んでくる草の匂い。カフェの窓から眺めるのんびりとした田舎風景に心がなごみます。「Bookcafe kuju」がオープンしたのは2013年の11月。旧九重小学校をリノベーションした店内には、古いものが放つ、ゆっくりとした独特の時間が流れています。思わず本を手にとってしまう、ワクワクするような選書もこちらの魅力。新刊のみならず、リトルプレスや古書、洋書もあり、豊かな本の世界についつい時間を忘れてしまいます。 本が並ぶのは、以前学校で使われていた棚や、店主がこつこつ集めた古い家具です。当初は新しい棚を作る予定でしたが、古いものを生かそうと思い直して今のかたちになったそう。家具や棚を迷路のようにめぐらせた空間は、まるで秘密基地のようです。壁に貼られた「宿題やりましたか?」や「また学び舎で会おう」と書かれた張り紙をはじめ、黒板の落書などついつい読んでしまうユーモラスな仕掛けがあちこちに。旅のゆったりとした気分で本屋に立つからこそ、ふだんは手に取らない本にも手が伸びます。
選書は、縁あって京都の名物書店「ホホホ座(旧ガケ書房)」が手がけている
教室の椅子に腰掛けて、放課後みたいにのんびりおしゃべりしながら過ごすのもおすすめ
2011年の台風により床上浸水し、取り壊されてしまう予定だったこの校舎を市にかけあって残し、ブックカフェにしたのは店主の柴田哲弥さん。「Bookcafe kuju」は県外からの観光客のみならず、地元や近隣の人にも重宝されています。廊下も教室も当時の姿をとどめている元校舎は、大人には懐かしく、子どもには新鮮な遊び場。広くてゆったりとしたスペースに、本もあることから、誰かといっしょに訪れてもそれぞれがゆっくりと過ごせるのが魅力的です。 土・日曜には、自家栽培の小麦と天然酵母を使用して石窯で焼き上げるこだわりのパン屋さん「むぎとし」もオープンし、パン目当てのお客さんでもにぎわいます。カフェで味わえるケーキもむぎとし製。本とパンを目当てに、自然にぐるりと囲まれたカフェを訪ねて、のんびりとした週末を過ごしてみませんか。
「Bookcafe kuju」の前に広がる熊野川の景色。広い空と緑の山々が美しい
Bookcafe kuju
ブックカフェクジュウ
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白桃澄江 写真:青木小織
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