夕暮れ時の木屋町通周辺は、店先のあかりが静かに灯り何とも情緒的。大通りから一筋入れば、その地域ならではの息づかいを感じられるのもこのエリアの魅力です。

女性の守り神として親しまれる「市比賣神社」

河原町五条の少し南にある市比賣神社。五柱の御祭神すべてが女性の神様であることから、古くより女性の守り神として親しまれてきました。御神水である「天之真名井（あめのまない）」は、歴代天皇の産湯としても使用され、絵馬を掛けた後にひと口飲んで祈れば、願いがひとつ叶うと言われています。

姫みくじ900 円。穏やかな表情の人形の中におみくじが入っている

他にも使い終わったカードを供養するカード塚や、鈴の音でトイレを清めるおとう鈴などユニークなご利益がいっぱい。組紐の文様をあしらったピンク色の御朱印帖もかわいらしいと人気です。

「五条モール」の小さなアートギャラリーへ

河原町通を一筋東に入れば、しっとりとした風情が顔をのぞかせます。かつての花街にたたずむのは、五条モール。元お茶屋を改装した小さなショッピングモールです。ギャラリーやアトリエ、カフェなどが週末を中心にオープンします。

靴を脱いで上がるスタイルの「五条モール」。各ショップで営業時間も異なる

展示やお店は時折入れ替わり、そのたびに新たな感性が加わるのも魅力的です。その一室にあるのが、「bgm gallery and shop」。音楽のBGMのように、出しゃばり過ぎず作品に寄りそう空間がコンセプト。全国の若手作家の作品が伸びやかに展示される、あたたかなアートギャラリーです。

カラフルな紙箱が美しい「ボックス&ニードル」

貼箱の技術を応用したグッズが並ぶ

レトロなビルの3階に、京都の老舗貼箱工房が手がける紙箱屋さん「BOX&NEEDLE（ボックス&ニードル）」があります。迎えてくれるのは、世界中から集めたカラフルな紙と、昔ながらの技法で生み出された形も用途もさまざまなボックスたち。国ごとに質感や色づかいの異なる紙を眺めていると、まるで紙をたどって世界一周した気分に。

インテリアの紙づかいがすてきな「アンド・ペーパーズ」

チーズ の濃厚さとりんごの甘酸っぱさが好相性な「カラメルアップルチーズケーキ」

「BOX&NEEDLE」の1階には、お店の世界観をそのまま味わえるカフェ「&PAPERS（アンド・ペーパーズ）」が入ります。店内を彩るランチョンマットや照明には、BOX&NEEDLEの紙を使用。アート心がくすぐられます。

新感覚のコロッケをランチに。「西冨家コロッケ店」

左:好きなコロッケ2つを選べるランチ（1280円）。右:注文後に揚げてくれる。揚げる前のものを持ち帰ることも可能

ブルーチーズ、奈良漬、レモンピール。一見コロッケとは結び付かないこれらの素材を絶妙なバランスで盛り込んだ、新感覚の味わいが注目を集めているコロッケ専門店「西冨家コロッケ店」。ベースとなるのは、じゃがいもと合挽き肉、玉ねぎをホワイトソースでふんわり絡めた生地。まるでクリームコロッケのようなやさしい生地が、個性派素材を受け止めます。

詩的な名前のお菓子が並ぶ「蒼穹」

懐かしさと新しさをどちらも感じさせるお菓子たち

花街・宮川町の歌舞練場のほど近くに店を構える「蒼穹（そうきゅう）」。木のぬくもりを感じさせる小さなお店に並ぶのは、いちじくやココナッツを使った良質なお菓子。和と洋の要素を合わせ持つお菓子は“どんなお茶にも合う”を突き詰めた結果なのだとか。

＊＊＊＊＊ いかがでしたか？新たな文化を生み出す五条の街の熱量を感じながら、懐かしさとクリエイティブな出会いを探しに行きましょう。

【ことりっぷマガジン特別編集 京都だより】

季刊誌「ことりっぷマガジン」の連載「京都だより」を再編集。いま気になる京都のエリア22ヵ所をイラストマップでご紹介しています。雑貨店やカフェの案内のほか、巻末には京都駅の活用情報や、季節ごとのイベントカレンダーも掲載。季節を変えて何度も京都に訪れたくなる街歩き本です。