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2015.10.15
昭和レトロな邸宅「愛宕下」で過ごす、盛岡・錦繍の秋
ゆっくりと流れるときに身をゆだね、喫茶「time&space 愛宕下(タイムアンドスペースあたごした)」でおいしいコーヒーをいただきましょう。城下町・盛岡を見晴らせる庭では、鮮やかなモミジが秋を彩ります。

懐かしさに心落ち着く昭和の邸宅

JR盛岡駅から車で15分。盛岡バイパスの北側、愛宕山の中腹に「愛宕下」はあります。坂道を登っていくと、ひっそりとたたずむ緑に囲まれた邸宅が。瓦の屋根と、飾り気の無いコンクリートの煙突が、レトロな昭和の雰囲気を漂わせています。のれんだけがかけられた玄関は、誰でも歓迎といわんばかり。「こんにちは」とひと声かけると、中から奥様がにこにこ笑顔で迎え入れてくれました。

四季を感じながらのんびりカフェタイム


邸内は、大きな暖炉のあるフローリングの洋室に、茶室としても使える和室が続く、和と洋が調和した落ち着いた空間。障子戸越しには、里山の自然を思わせる庭が広がります。レトロな縁側から庭を眺めれば、黄色のツワブキが秋風にゆらゆらと揺れ、赤とんぼがちょこんと猫じゃらしにとまる風景に心が和みます。

ブレンドコーヒー(700円)と、サービスで付くガトーショコラ
シンプルなテーブルセットが並ぶ洋室でも、ぬくもりのある畳の和室でも、好きな場所でゆったりとした時を楽しむことができます。季節の移ろいを感じながらコーヒーや紅茶をいただきましょう。どのドリンクにも奥様が手づくりしているガトーショコラやチーズケーキが付く嬉しいサービスも。ガトーショコラはプルーンの酸味とコクが隠し味。ひねりのある重厚な味わいながら、あくまで“愛宕下で過ごす時と空間のおまけ”なんだそう。さわやかな秋風が頬に触れる中、肩の力を抜いてリラックスしたひとときを過ごせますよ。

長い歴史に埋もれた「愛宕下」

玄関脇の小部屋は、当時執事部屋として使われていたのだそう
縁側でのんびりコーヒーを飲んでいると、庭の草刈りをしていたご主人が「愛宕下」の来歴を教えてくださいました。 1953(昭和28)年、藩主であった南部家によって建てられたのが「愛宕下」なのだそうです。それから10年後、縁あってご主人のお母様が譲り受けました。ご主人が子どものころは、庭の桜が咲く時期にお花見に訪れるだけの家、だったのだとか。

約50年もの間、ほぼ締め切り状態だった家屋に修繕を加えたのがつい5年前のこと。ご主人と奥様は、おいしいコーヒーとケーキ、そして空間を楽しんでもらう場として「愛宕下」を開きました。変化する時代を黙って見守り続けてきた建物が、昭和からタイムスリップしてきたような不思議な空間で私たちをもてなしてくれます。

これからの季節、庭のモミジが鮮やかに色づきます

「愛宕下」の庭は、とても表情豊かです。春には二本の大木のヒガンザクラが咲き誇り、夏には草木がいきいきとした濃い緑色に輝きます。そして、11月上旬から下旬にかけては、モミジが真っ赤に色づく季節を迎えます。“錦繍”の言葉にふさわしい鮮やかな紅葉越しに盛岡の町並みを望むと、城下町の趣きがひと際しっとりとしたものに感じられます。

今年の秋は、風情ある邸宅で、コーヒーとともに四季の美しさを愛でるひとときを過ごしてみませんか。

time&space 愛宕下
タイムアンドスペースあたごした
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星マチコ 写真:本間聡美
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