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2015.12.28
初詣で訪れたい世界文化遺産、古都・平泉へ
今年も残りわずか。年末年始は連休、という人も多いはず。さてどこで新年を迎えよう…と考えているのなら、世界文化遺産・平泉まで足を延ばしてみませんか。 浄土世界を表現したという毛越寺の庭園を歩き、穏やかな気持ちで一年の始まりを過ごしましょう。大晦日から元旦にかけては、広大な庭園が幻想的にライトアップされます。 おみやげは、元旦からオープンしている器のお店へ。岩手らしいぬくもりのある器がきっと見つかりますよ。

雅な平安文化を思い描きながら平泉めぐり

艶やかな朱色の柱が印象的な毛越寺・本堂
2011(平成23)年に世界文化遺産に登録された平泉。「仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」として中尊寺(ちゅうそんじ)、毛越寺(もうつうじ)、観自在王院跡(かんじざいおういんあと)、無量光院跡(むりょうこういんあと)、金鶏山(きんけいさん)の5つが構成資産として登録されています。 平安時代末期、奥州藤原氏が治め、繁栄を極めた平泉。大伽藍が建ち並んでいた往時の様子に思いを馳せながら、JR平泉駅から歩くこと10分。浄土世界を表現した雅な庭園で知られる名刹、毛越寺の山門が見えてきました。

毛越寺の浄土庭園ライトアップ

庭園の象徴である「立石」が暗闇に浮かび上がる
毛越寺は、奥州藤原氏二代・基衡(もとひら)から三代・秀衡(ひでひら)の時代に造営された寺院。中尊寺、達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう)と並び、正月三が日の間に約7万人もの参拝客が訪れる人気のパワースポットです。

大晦日と元旦は拝観料無料
毛越寺では、除夜の鐘が鳴り響くのと同時に、多くの人で賑わいを見せます。境内に入り、平安様式の壮麗な本堂で参拝したら、南大門跡へ。木立の間から神秘的な雰囲気をまとった大泉が池が目の前に広がります。
一年で大晦日の日だけ見ることができるのが、浄土庭園のライトアップです。白いライトが浄土庭園の神秘的な静けさを際立たせるなか、周囲のお堂やそそり立つ巨石「立石」が温かな篝火(かがりび)に照らされ浮かび上がります。一年の締めくくりと始まりという特別な時間を過ごすのにふさわしい幻想的な光景です。

おみやげには延年茶

延年茶 140g入り(700円)長寿を願うお茶は、すっきりとしたやさしい味わい
境内に入ってすぐの場所にある「毛越寺御守札所」は、大晦日の夜は22時に開き参拝客を迎え入れます。参拝を終えたら、お守りや毛越寺名物の延年茶などおみやげを選びましょう。 延年茶は、岩手県内産のハトムギや柿の葉、熊笹など体に嬉しい素材がブレンドされています。あっさりとしてくせがなく、温めても冷やしてもおいしい一年中楽しめるお茶です。

延年茶 10g×18袋入り900円
180g入りの延年茶は、鮮やかな色の和柄がキュートな巾着入り。お茶をいただいた後は、小物入れとしても使える嬉しいおまけです。 毛越寺で法要の後に奉納される延年の舞は、800年も昔の姿のままに伝えられる国の重要無形文化財です。長寿を願う延年の舞にあやかり作られた延年茶。新年の健康を願って、ゆっくりといただきましょう。 毛越寺(もうつうじ) [住所]平泉町平泉大沢58 [TEL]0191-46-2331 [時間]8:30~17:00(11月5日~3月4日は~16:30) [休]無休 [料金]一般500円

浄土庭園遺構、観自在王院跡で悠久の歴史に浸る

毛越寺へお参りをした後にぜひ立ち寄って欲しいのが、隣にある観自在王院跡です。二代・基衡の妻が建立したと伝えられる寺院跡で、現在は、発掘調査をもとに復元整備され、史跡公園として公開されています。 こんもりとそびえる金鶏山を背景に、鴨などの野鳥が優雅に泳ぐ中央の大きな舞鶴が池。往時には、池の北岸に大小の阿弥陀堂が設けられていたそうです。 今から千年も前、この地に建っていた華麗な仏教寺院に思いを巡らせながら、木々のざわめきに耳をかたむけていると、当時の平泉の賑わいが聞こえてくるようです。 観自在王院跡(かんじざいおういんあと) [住所]平泉町平泉志羅山 [TEL]0191-46-4012(平泉文化遺産センター) [時間]見学自由

岩手の作家ものの器をおみやげに

「如月窯」左・八角灰釉小鉢(2484円)右・藍釉小鉢(3240円)
平泉のおみやげを探しに、岩手の作り手の器を中心に集めたお店を訪れましょう。 毛越寺から車で10分、中尊寺入り口からは徒歩10分ほどの場所にある「せき宮(せきみや)」は、岩手の作家を中心に日常使いしやすい器を集めたお店です。

竹に囲まれたアプローチから店内に入ると、そこはやわらかな光がそそぐ明るい空間。木の棚の上に茶わんや皿など、シンプルで親しみのある器が並びます。 オーナーの関宮さんは普段使いのものをセレクトし、その多くは、実際使ってみて使い勝手を確かめているのだとか。心引かれる器があったら、ぜひ盛り付けのアドバイスを受けてみて。 例えば、やさしい緑色が目を引く、盛岡の窯元「如月窯(きさらぎかま)」の「八角灰釉小鉢(2484円)」。釉薬に天然木灰を使い、穏やかな色合いを表現しています。この器には、かぼちゃの煮付けやオレンジフルーツが映えるのだとか。厚みがあるので欠けにくく、小ぶりでシンプルなフォルムは食器棚からの出し入れがしやすいそうです。 日々使うものだからこそ、こんな具体的なアドバイスがあるのは心強いですね。 新春は元旦から営業しているので、初詣の帰りに岩手みやげを探しに立ち寄ってみては。岩手の優しい土地柄を表すようなぬくもりのある器に出会えますよ。

せき宮(せきみや) [住所]平泉町平泉坂下39-29 [TEL]0191-46-2070 [時間]10:00~18:00 [休]水曜
平安時代から今に伝わる浄土庭園で心静かなひと時を過ごし、岩手の風土を思わせる温かみのある器を選ぶ…。そんな穏やかな新年の始まりも素敵ですね。
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