ようこそ、300年前から続く青空マルシェへ

追手筋にずらりと軒を連ねる露店

高知城下の東に延びる目抜き通りの追手筋で毎週日曜に開かれている日曜市。片側2車線の約1kmを歩行者天国にする豪快さ、大らかさは、さすが南国土佐ならでは。通りの両側には露店が立ち並び、その数なんと約400店。ヤシの木に囲まれた南国ムード漂うなか、地元の人はもちろん、観光客も多く訪れ、1日約1万7000人で賑わいます。

素朴でおいしい高知名物がたくさん

日本一の規模を誇る日曜市だから、店先に並ぶ商品の種類も大充実。フルーツトマトやリュウキュウ（ハス芋）など南国の日差しを浴びて育った高知野菜は、どれも新鮮でつややか。柚子や文旦といった特産の果物、おばあちゃんが手作りしたお饅頭、手仕事の温かみあふれる工芸品、さらには植木や金魚といった生き物まで、顔ぶれは実に多彩。通りを歩くだけで、驚きとワクワクにたくさん出会える場所が日曜市なのです。

高知メイドの逸品をお買い物

減農薬の高知野菜を使用したPerritoの「土佐ピクルス」1瓶800円

日曜市の楽しみといえば、やっぱりお買い物。店先に並ぶ商品の多くは野菜や果物といった生鮮食品ですが、加工品や手仕事の逸品とも出会えます。 例えば、爽やかな甘さとほろ苦さが魅力の文旦を使ったシロップやジャム、隠れた茶処として知られる高知のお茶。どれも高知らしさあふれる逸品で、瓶や袋に入っているのでおみやげにもピッタリです。400年の歴史を誇る土佐打刃物では、クジラの形をしたナイフを発見。使い心地はもちろん、デイリーユースできるデザインもポイントです。

高知の伝統品の「土佐打刃物」2000円～

見た目も味もスイートな「土佐ポンチ」350円

日曜市のもう一つの楽しみといえば、食べ歩き。シャリシャリとした食感で後味さっぱりのアイスクリン、日曜市の果物とハーブで作った飲むフルーツポンチ「土佐ポンチ」、柚子酢を効かせたシャリに山菜を載せた高知名物の田舎寿司など魅惑的なものがたくさん。おやつ系からドリンク、ご飯ものまでそろうので、歩くほどにお腹いっぱいに。ベンチに腰掛けゆっくりと味わうこともできますよ。

高知ではお馴染みの素朴なおやつ「アイスクリン」200円

自ら作り、自ら売る、日曜市の出店者たち

グリーンロード交差点のそばに出店する鈴木絹世さん（左）と高田歌織さん（右）

日曜市の出店者の多くは、固有店舗を持たない生産者や作り手です。60～70代のベテランさんが元気に活躍する一方で、最近では若手の姿も見られるようになってきたといいます。 2018年、2人の女性が構えたお店もそのひとつ。異業種の出店者が協力して1つの店を出店する「グループ出店」は日曜市でも珍しく、その先頭を切るのが、無農薬＆無化学肥料で野菜を作る「鈴の音農園」の鈴木絹世さんと、その野菜をフィリングにパンを焼き上げる「YA・KUMOのぱん」の高田歌織さんです。

日曜市の前日から収穫＆仕込みで大忙し

店頭に並ぶのは、中山間地域の寒暖差を利用しておいしく育てた季節野菜、北海道小麦やよつ葉バターなどを使いふんわりと焼き上げた約15種類のパン。どれも力強く健やかで、まるで2人の人柄を表しているようです。珍しいオーガニック生姜や高知名物のぼうしパンなど他県では見かけないものも多く、「これは何」と尋ねると、愛嬌たっぷりの土佐弁で熱のこもった解説が返ってくるのは、自らが作り、自らが売っているからこそ。そんなおしゃべりを楽しみながらの買い物も、日曜市ならではの醍醐味。温かく懐かしい買い物の原風景が、ここには今も息づいています。

「ことりっぷマガジン秋号　Vol.22」では日曜市はもちろん、日曜市周辺のおいしいお店、さらには日曜市で見つけた幻の発酵茶「碁石茶」の故郷も紹介。日曜市から始まる高知の「おいしい」をめぐる小さな週末旅へ出かけてみませんか。