46
2021.07.07
岡山県勝山の町を彩る、のれんが生まれる工房「ひのき草木染織工房」へ
幾何学模様のカラフルな柄から和テイストのものまで、個性豊かなのれんが町を彩る。そんなアートな町並みが岡山県にあるのをご存知でしょうか。「のれんの町」と呼ばれるのは、かつて出雲街道の宿場町として栄え、今でも古き良き風情が残る勝山エリア。旭川に沿って広がる700mほどの街道には、カフェや商店、家々が建ち並び、そこに住む人の想いが込められた一枚が訪れる人を迎えます。
のれんの町を作った発起人の工房を訪ねる
工房にかかるのれんは町唯一の草木染め
発起人は「ひのき草木染織工房」の染織家・加納容子さん。実家の元造り酒屋にお手製ののれんをかけたところ、「うちも作って」というご近所さんの依頼で徐々に広まったそう。今では勝山にある100枚以上ののれんを手がけています。 加納さんの工房があるのは、勝山町並み保存地区の真ん中あたり。最初に作ったというのれんは今でも工房の軒先にかかり、草木染めならではの優しい風合いが歴史ある町並みに溶け込みます。
大胆なデザインののれんに魅せられて
築250年以上の酒蔵を改装したギャラリー
実家の元造り酒屋を再生した趣あるギャラリーには、加納さんが手がけた数々ののれんが並びます。「容子絞り」と呼ばれる独自の絞り技法で作られた作品は、おおらかな円が描かれたものから、ゆらめくような波柄まで、大胆なデザインと色使いが魅力。また夏には最も多くののれんが集まるのれん展を開催。約70点が一堂に会し、加納さんが作りだす染織の世界を楽しめます。デザインからのオーダーメイドもできるので、自分だけののれんを作ってみるのもおすすめですよ。
コースターや工芸作家の作品はおみやげに
コースター各660円、麻テーブルセンター草木染ラックダイ2200円
おみやげにはコースターやカバンなどの布アイテムもいかがですか?ざくろからは黄色、くさぎからは緑色など自然素材で染めた優しい色合いで、使ううちに風合いが増すアイテムがそろいます。ギャラリーでは「工芸作品の魅力を発信したい」という思いで、県内外の工芸作家の作品も展示販売。器やガラス、竹細工といった暮らしを彩るアイテムもぜひ手に取ってみてくださいね。 工房ではベンガラを使った染め体験も開催。デザインから加納さんに教わる本格的な講座もあるので、染織の魅力を深堀りしたい方は挑戦してみるのもおすすめです。
アートを鑑賞するように町並み散策を
カフェや商店、民家にかかる個性豊かなのれん
工房を訪れたあとは、加納さんが手がけたのれんが揺れる町並み散策へ。使い手の想いをくんでオーダーメイドで作られたのれんは色や柄、形もさまざま。3年に一度染め直されたりデザインが一新されたりと定期的に新たな姿へと生まれ変わります。また年に数枚新しいのれんも加わり、それらは毎年2月に地元の人たちを集めたお披露目会でひとつひとつ紹介されるそう。そしてここで語られたストーリーは地元の人たちから観光客へと伝えられ、勝山ならではの「のれん」のおもてなしが生まれているのだとか。
歴史ある建物になじむようにデザインされている
「のれんが揺れていると、ようこそと手招きしているようでしょう」と加納さん。のれんはおもてなしの精神が宿るかつての宿場町に溶け込み、訪れた人を歓迎するコミュニケーションツールとなっているようです。 勝山の町並みには、大正建築の建物を再生したカフェや女性杜氏が作るお酒が楽しめる酒蔵、バリ島の雰囲気漂うコーヒースタンドなど、立ち寄りスポットが点在しています。ゆらめくのれんに誘われながら、アートな町並みを散策する小さな旅に出かけてみましょう。
ひのき草木染織工房
ヒノキクサキセンショクコウボウ
ことりっぷ編集部おすすめ
このエリアのホテル
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。
橘春花(フォレスト) 撮影:森昌史(フォレスト)
雑貨
の人気記事
の人気記事