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2022.02.13
【鳥取編⑤】スリップウエアが魅力の「山根窯」で食卓を彩るうつわ探し
民藝運動が息づく鳥取では、日々の暮らしを豊かに彩るうつわとあちらこちらで出会えます。のどかな里山にポツンと建つ「山根窯」もそのひとつ。リズミカルな水玉模様、大胆なスリップウエア、キュートなボーダー模様など、表情豊かな作品が迎えてくれます。民藝が随所に宿るギャラリーで、お気に入りのうつわ探しを楽しみましょう。
日本の原風景が広がる「山根窯」を訪ねて

白く見える建物が「山根窯」。周囲を緑に覆われる豊かな場所に窯を構える
鳥取市中心部から車で約30分。背後には森、目の前には田んぼが広がるのどかな場所に「山根窯」はあります。ここは約1000年の歴史を誇る因州和紙の産地で、古くから物づくりが根差す地域。そこで生まれ育った石原幸二さんが1985(昭和60)年に開窯し、以来、ロクロと実直に向き合っています。

(左上)年代ものの大きな瓶が入口に並ぶ (左下・右上)登り窯の煙突が目印。出番を待つ薪が敷地内に積まれている
窯元を訪ねると、立派な登り窯の煙突と大量の薪が迎えてくれます。奥には工房があり、蹴りロクロで作陶するといいます。釉薬は、灰や鉄などから作った自家製。春と秋の年2回、登り窯で焼成する、昔と変わらない作り方を守っています。
民藝が随所に宿る趣深いギャラリー

自宅の一部をギャラリーとして開放する
「旅行に出かけると、骨董品店や民藝店ばかりをめぐってしまい、気づけばこんなにたくさん」と話す石原さんの言葉通り、ギャラリーには国内外から収集した民藝品がずらり。メキシコの椅子・エキパルチェア、年代物の和箪笥、アイアンのキャンドルホルダー、倉敷ガラスの花器など、ジャンルも素材も実にさまざま。その品々に溶け込むように、石原さんが手がけたうつわがディスプレイされ、ギャラリーは独特の世界観に包まれています。

シュガーポットやピッチャーなど手がける作品は幅広い
スリップウエアから水玉模様まで個性豊かな作風

化粧度をスポイトで垂らして模様を描くスリップウエアの作品に定評がある
山根窯のうつわを眺めていると、「すべて石原さん1人で作ったのかしら」と思うほど、驚くほど個性豊かです。かわいいボーダー柄や水玉模様があるかと思えば、のびやかで大胆なスリップウエアがあったりと、描く模様は実に多彩。モダンなフォルムから温かみのあるコロンとしたものまで、形も豊かにそろいます。

飴釉、灰釉、ルリ釉など、約6種類の釉薬を使い分ける
国内外の民藝品からインスピレーションを受けたという作品は、和とも北欧ともエスニックとも思える独特の雰囲気をまとっています。テイストはさまざまですが、どの作品にも共通するのが「おおらかさ」。その作風にファンも多く、年に1度「鳥取たくみ工芸店」で個展も開催しています。
日々の暮らしを豊かにする、食卓を彩るうつわたち

技巧も釉薬も多彩に駆使し、独特の世界観をうつわに映し出す
「自分が使いたいうつわを作るだけです」と作陶の思いを教えてくれた石原さん。穏やかで朗らかなその人柄を表したように、生み出される器はどれも温かみがあるものばかり。どんな料理どっしりと受け止めてくれる包容力に満ちています。

カップ&ソーサ4950円
親指がかかりやすくするため、取っ手に工夫を施したカップ&ソーサーをはじめ、サイズや形が豊富にそろう平皿、手にしっくりと馴染む碗もの、北欧のエスプリを感じさせるミルクピッチャーなど、バリエーション豊富にうつわを展開。登り窯で焼くため、同じデザインや柄であってもそれぞれに個性があり、料理を盛りつけるとさらに生き生きとして見えるのも魅力です。

お手製の看板からも素敵な雰囲気が漂う
石原さん夫妻で切り盛りするため、「山根窯」を訪れる時には事前連絡を忘れずに。周辺には「あおや和紙工房」や「山根和紙資料館」もあるので、こちらにもぜひ立ち寄って、鳥取の手仕事の魅力を存分に感じてくださいね。
【鳥取編④】3色染め分けのモダン民藝が息づく「因州・中井窯」の記事はこちら
山根窯
ヤマネガマ
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井手口陽子(forest)、写真:森昌史(forest)
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