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2025.09.29
梨とクラフトをめぐる♪鳥取のおいしい&かわいい1泊2日の秋旅へ
全国有数の梨の産地として知られる鳥取県。二十世紀梨をはじめ多彩な品種が実りを迎え、観光農園や直売所、カフェなどで旬の味わいが楽しめます。今回は東から西へとめぐりながら、梨スイーツやクラフト、鳥取砂丘や温泉までを盛り込んだ1泊2日のモデルコースをご紹介。鳥取の魅力を存分に味わう秋旅へとでかけてみませんか。
全国有数の梨の産地・鳥取へ

梨の旬は、夏から晩秋にかけて
日本海と中国山地に抱かれるように広がる鳥取県は、豊かな自然環境に恵まれた梨の王国。潮風に含まれるミネラルや寒暖差のある気候が梨づくりに適しており、全国有数の産地として知られています。その歴史は1904(明治37)年、わずか10本の二十世紀梨の苗木から始まりました。以来、先人たちの研究と丁寧な栽培管理が積み重ねられ、「二十世紀梨といえば鳥取」と呼ばれるまでに。現在はその栽培量が全国の約半分を占め、地域を代表するブランドへと成長しました。さらに、ジューシーな果汁と濃厚な甘さが魅力の「新甘泉(しんかんせん)」や、爽やかな甘みの「夏さやか」など、鳥取オリジナルの新品種も次々登場。訪れるたびに多彩な味わいに出会えるのも、産地ならではの醍醐味です。
鳥取砂丘をめぐったら、目の前のカフェで二十世紀梨のシェイクを味わって

(左)毎秒5~10mの風が吹くときに乾いた砂の上にできる波模様「風紋」 (右上)ラクダに乗って記念撮影できるのは鳥取砂丘ならでは (右下)鳥取砂丘の先には美しい日本海が広がる
鳥取県に到着したら、まず訪れたいのは県を代表する景勝地「鳥取砂丘」。日本海に面して広がる砂の丘は東西約16km、南北約2.4kmにおよび、その規模は日本一を誇ります。観光地となっている部分は天然記念物にも指定され、なかでも一番の見どころは高さ47mの砂の丘「馬の背」です。急斜面を登りきると目の前には日本海が広がり、はるか遠くの海岸線まで見渡すこともできますよ。砂丘散策のほかにも、風によって描かれる美しい砂模様を探したり、ラクダに乗って記念撮影したり、のんびりと砂丘をめぐってみませんか。
鳥取砂丘
トットリサキュウ

二十世紀梨シェイク858円。梨の果肉感もしっかり
歩き疲れたら、砂丘入口にある「タカハマカフェ」でひと休み。ここでぜひ味わいたいのが、地元産の二十世紀梨を使ったシェイクです。上品な甘みがそのまま活かされており、口に含むと爽やかな梨の香りがふわっと広がります。

(左上・右上)シンプルでモダンな店内 (左下)ひときわ存在感を放つたたずまい (右下)展望テラスから鳥取砂丘が眺められる
建築家・隈研吾氏による斬新な建物も魅力のひとつ。店内は鳥取県産の木材をふんだんに用いた温かみのある空間で、大地から空へとつながる階段をイメージしたたたずまいが印象的。空間だけでなく、メニューにも鳥取らしさが散りばめられ、鳥取和牛や大山(だいせん)ベーコンを使ったハンバーガ、岸田牧場牛乳のソフトクリームなどがそろいます。鳥取砂丘を一望できる展望テラスで、鳥取ならではの味覚と景色を同時に召し上がれ。
タカハマカフェ
二十世紀梨の名産地・湯梨浜にある東洋一のマンモス選果場で、採れたての梨をお買い物

湯梨浜は鳥取を代表する梨の産地
次に訪れるのは、二十世紀梨の代表的な産地として知られる湯梨浜。ここには東洋一のマンモス選果場と称される巨大な梨の集荷施設「JA鳥取中央東郷梨選果場」があります。広大な建物の中では、収穫された梨がベルトコンベアに乗り、サイズや糖度ごとに次々と分類。その様子を見学できるツアー(団体のみ)も開催されています。施設内の直売所では、二十世紀梨や新甘泉など鳥取ならではの梨をリーズナブルに購入できるので、おみやげにぴったり。売り切れの場合もあるため、訪れる際には事前に電話での確認がおすすめです。
JA鳥取中央東郷梨選果場
ジェイエートットリチュウオウトウゴウナシセンカジョウ
梨の魅力と楽しさを知る日本唯一のミュージアムへ

二十世紀梨の巨木は博物館のシンボル的存在
鳥取中部の倉吉には、梨をテーマにした日本唯一の博物館「エースパックなしっこ館」があります。入口を抜けるとまず迎えてくれるのが、二十世紀梨の巨木。樹齢74年、天井を覆うように枝が広がり、その存在感に圧倒されます。

(左上)梨の違いを模型で知れる「梨と世界の人々」のコーナー (左下)「二十世紀梨ものがたり劇場」の上演時間は約10分 (右上)かつて梨の木箱に貼られていたラベルも紹介 (右下)体が小さくなったイメージで梨農園の不思議を体験できる「不思議ガーデン」
館内は2階建てで、シンボルツリーを囲むように10の展示ブースがレイアウト。70品種もの梨の模型を展示したコーナー、農家夫婦の語りと映像で梨の歴史を上演する「二十世紀梨ものがたり劇場」、昔使われた出荷ラベルや梱包紙を紹介する資料展示室など、梨がどのように人々の暮らしに寄り添い、改良されてきたのかを知ることができます。

(左上)1カップに3品種が入り、梨の食べ比べができる (左下)二十世紀梨の果汁が入った梨ソフトクリーム(大)400円 (右上)ガーデンは自由に散策できる (右下)倉吉パークスクエアの一角に建つ
なかでも人気は、常時3種類の梨を食べ比べできる「梨のキッチンギャラリー」。品種ごとに食感、甘さ、香りの違いを実感でき、梨の奥深さに驚かされます。屋外には梨を栽培するガーデンもあり、初夏から秋にかけて梨の作業体験も実施。見て、食べて、体験して、梨の魅力を存分に体感してくださいね。
エースパックなしっこ館
エースパックナシッコカン
世界有数のラドン含有量を誇る名湯・三朝温泉(みささおんせん)のお宿にステイ

日本庭園を眺める温泉宿
梨の魅力をたっぷり味わったあとは、旅の疲れを癒やしに三朝温泉へ。世界屈指といわれるラドンを含む泉質は、身体をやさしく包み込み、免疫力を高めるホルミシス効果が期待できるとされています。温泉街には足湯や情緒あふれる湯宿が点在し、昭和レトロな雰囲気が漂っています。そんな温泉街の中心に建つのが、全9室の隠れ家宿「BARCOS RYOKAN三朝荘」です。

(左上)倉吉のバッグメーカーが営む宿 (左下)和室のほか、和洋室、洋室など9室がそれぞれ異なるデザイン (右)源泉かけ流しの三朝の湯
「誰にも会わない滞在」をコンセプトに2022年にリニューアルした館内は、落ち着きある空間が広がり、ロビーや客室、個室スタイルの食事処からは樹齢170年を超えるもみの木の庭園を望めます。大浴場や露天風呂に加え、貸切風呂も完備されており、そのすべてで自家源泉の湯をかけ流しで堪能できます。 夕食は、カニや鳥取和牛といった地元の旬の食材を中心に、イタリアンやフレンチのエッセンスを盛り込んだ創作料理。朝食では土窯で炊いたつややかなご飯が並び、三朝育ちの神倉大豆を使った一品も。湯けむりに包まれながら、ここでしか味わえない贅沢な時間を楽しんで。
BARCOS RYOKAN三朝荘
バルコスリョカンミササソウ
2日目は、赤瓦と白壁の町「倉吉」で、町並みと倉吉張子を楽しむ秋さんぽ

川沿いには、江戸・明治期を中心とした白壁土蔵の建物が並ぶ
三朝温泉からほど近い倉吉は、白壁土蔵群と山陰特有の赤い石州瓦の町家が並ぶ、どこか懐かしい風景が広がる町。江戸から明治にかけて建てられた蔵や商家をリノベーションしたショップやカフェが点在し、散策にぴったりなエリアです。鳥取クラフトを扱う民芸・工芸店やガラス作家が営む工房&ギャラリーもあり、歩くたびに新しい出会いが待っています。

種類豊富な張子がズラリ
江戸時代から伝わる倉吉張子(はこた人形)は、素朴で愛らしい表情が魅力の張子人形。子供の無病息災を願って贈ったのがはじまりで、今も職人の手で一つひとつ制作。因幡の白兎や達磨などの種類も表情もさまざまな張子も手掛けられています。工房では制作体験もでき、自分だけの張子人形を作ることも。歴史ある町並みと手仕事にふれながら、鳥取らしい秋のひとときを満喫しましょう。

はこた人形顔描き体験が楽しめる
はこた人形工房
ハコタニンギョウコウボウ
新しくなった「道の駅ほうじょう」でランチ&おみやげ探し

ドライブ途中の立ち寄りに最適
ランチタイムは、2025年4月にリニューアルした「道の駅ほうじょう」へ。県産木材を取り入れた館内は、やさしい木の香りに包まれた心地よい空間。中庭や休憩ラウンジ、キッズスペースもあり、ドライブの合間にほっとひと息つけます。

(左)ねばりっこがたっぷりかかった「ねば山海鮮どっさり丼」2508円(右上)ねばりっこ食堂の内観(右下)「カニねばトロ丼」1738円
館内の「ねばりっこ食堂」では、鳥取ならではの味覚を気軽に楽しめます。粘りの強さが自慢の鳥取生まれの長芋「ねばりっこ」をはじめ、カニや大山鶏、鳥取和牛など、地元食材を使ったメニューが豊富。海鮮丼やカニ定食、そばやカレーなど、おなかも心も満たされるラインナップです。

鳥取銘菓の「大風呂敷」
食後はおみやげ探しへ。二十世紀梨の蜜をかけていただく銘菓「大風呂敷」や地元の加工品がそろい、選ぶ楽しさもたっぷり。スイーツ好きには、ねばりっこを使ったのびるソフトや梨スムージー、梨プリンもおすすめ。さらに、ねばりっこ入りやカニ入りのカレーパンなど、ここでしか出会えない味わいも。ランチにショッピングに、鳥取のおいしい魅力をぎゅっと詰め込んだ道の駅で寄り道を楽しんでくださいね。
道の駅ほうじょう
ミチノエキホウジョウ
皆生温泉(かいけおんせん)にある体験型観光施設でクラフト体験を楽しんで

道の駅から車で約1時間。鳥取県の西部にある皆生温泉は、塩分濃度が高いことから「潮の湯」と呼ばれ、タラソテラピー効果があるといわれています。弓ヶ浜沿いに大型のホテルや旅館が立ち並ぶ海辺のリゾート温泉郷として賑わい、多くの人が訪れています。 その中心地に誕生したのが、体験型観光施設「結・musubi」。木の温もりあふれる開放的な館内には、クラフトショップ、カフェ、体験工房が集まります。ショップには鳥取・島根の作家による器やアクセサリー、雑貨が並び、手に取るだけで山陰の空気を感じられるよう。

体験工房では、弓ヶ浜半島で約250年前から伝わる織物「弓浜絣」の機織りをはじめ、因州和紙を使ったうちわ作り、ちぎり絵黒竹ランプシェード作りなど、5種類の体験メニューがそろいます。海辺の温泉郷で、心に残る体験をプラスしてみませんか。
結・musubi
ユウムスビ
自家製塩が隠し味♪潮の湯と称される皆生ならではの新食感どら焼きでおやつ時間

塩カリどら(粒餡)280円
クラフト体験で心も満たされた後は、皆生温泉街でちょっと甘めのごほうびタイム。立ち寄りたいのが、2025年3月にオープンした「どら焼き専門店 湯ノ塩」です。海辺の温泉地だからこそ生まれた、自家製の塩を使った「塩カリどら焼き」が看板メニュー。塩水を汲み上げて長時間直火炊きした塩と鳥取県産バターをどら焼きの皮にぬり、再度焼き上げることで、カリッとした食感に。粒感がしっかり残り、2日かけて作る自家製餡との相性も抜群です。

(左上)四角いどら焼きは全国的にも珍しい (左下・右上)洗練された空間でイートインや買い物を楽しんで (右下)日本海を思わせる青い暖簾が目印
粒餡とこし餡から選べる「塩カリどら」のほか、大山のお茶を使った「最高級抹茶どら」と「金胡麻焙じ茶どら」、県産ブランド苺「とっておき」と県産クリームチーズを使った季節限定「クリームチーズ苺どら」、さらには、1日50食限定の「できたてどら焼き」も。イートインできるカフェスペースやテラスもあり、香ばしい香りに包まれて味わうのもおすすめ。旅の最後に、海と温泉の風情を感じながら、ちょっぴり新感覚の和スイーツでほっとひと息ついてみませんか。
どら焼き専門店 湯ノ塩
ドラヤキセンモンテンユノシオ
いかがでしたか?この秋は、鳥取の梨とクラフトを楽しむ旅へでかけてみませんか。
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井手口陽子(forest)、写真:森昌史(forest)
鳥取県商工労働部兼農林水産部市場開拓局 食パラダイス推進課

鳥取県には、梨をはじめとする世界に誇るべき多くの農林水産物があります。 観光と連携した食の魅力を国内外へ向けてアピールしています。



























