【郡上の発酵文化】豊かな水が町を支える奥美濃の小京都

岐阜県内で発酵文化が根付く場所のひとつが、県中央部の山間地、吉田川沿いに江戸時代の町並みが残る郡上八幡。川の伏流水や谷から引き込む水が町中の水路を流れ、暮らしに生かされています。例えば日本酒やどぶろく造り、クラフトビール製造。さらに、郡上周辺で採れる多彩な植物と谷の水を使う、クラフトジン蒸留所の誕生も話題に。自分好みの一杯に出会えそうです。

（左上）古い町並みで発見した国登録有形文化財の洋館　（右下）市内酒店で手に入る地酒。中央はどぶろく特区の郡上市大和町で製造されるどぶろく「奥の奥」

【郡上八幡】地元の魅力を伝える糸CAFÉでクラフトジンを

「アルケミエ辰巳蒸留所」のクラフトジンはソーダ割りが1000円〜

築90年の商家を改修した、郡上八幡の中心部にある町家カフェ。郡上産食材を使ったランチやスイーツを味わいながら、座敷やソファでくつろぐことができます。おすすめは、全国的に注目される郡上の蒸留所「アルケミエ辰巳蒸留所」のクラフトジン。地元酒店でも入手困難ですが、このカフェには豊富なフレーバーがそろい、個性的な味と香りが楽しめますよ。 クラフトジンはソーダ割りやトニック割りでどうぞ。郡上市白鳥町のutapanの天然酵母パンを使った「気まぐれオープンサンド」（715円）はおつまみに最適。 旅行者だけではなく、地元の人も多く集まるカフェは、週末のみモーニングを営業。不定期でワークショップやライブを開催しています。

（左）（右上）テーブル席と奥の座敷席を用意　（右下）季節ごとの素材を使ったドリンクやオリジナルスイーツもおすすめ

【郡上八幡】郡上本染 渡辺染物店で知る藍染の美しさ

オリジナル藍染製品がずらり。美濃和紙てぬぐい3900円、ペンケース3993円、がま口3993円、御朱印帳4950円

400年以上にわたり、天然藍を原料とする正藍染の郡上本染と、もち米を糊にして模様を描く筒描きの技術を受け継ぐ老舗。かつては藍染店が数多くありましたが、現在は渡辺染物店のみが伝統を守っています。 江戸時代から使う藍甕（あいがめ）で藍草を発酵させ、毎日かくはんして染め液をつくります。染め液に浸した生地を空気に触れさせ、酸素を含む谷の水で洗い上げると美しく発色。これを繰り返し深い藍色に仕上げていきます。店内にはストールや暖簾、バッグなどのオリジナル藍染製品が並び、お気に入りを見つける楽しみも。

（左上）発酵した藍染め液はブクブクと泡立つ　（左下）店の前を流れる谷の水で生地を洗い上げる。染めと洗いを繰り返し深い藍色へ（右下）郡上本染は郡上市重要無形文化財に指定

年明けから鯉のぼり製作が始まり、川で糊を洗う寒ざらしが風物詩。2024年は1/20と2/4に開催

【郡上】畑中商店が受け継ぐ「地みそ」の濃厚なコク

左からにごり地たまり200mℓ・380円、隠し地たまり200mℓ・450円、宝暦みそ200g・240円

郡上周辺の豊かな水は、古くから各家庭で仕込まれてきた「地みそ」作りでも、豆の吸水、仕込み水に欠かせません。伝統を受け継ぐ醸造店も点在しています。そのひとつが大正期に創業した畑中商店。郡上八幡の城下町の北、大和町にあるお店です。 岐阜県産大豆を煮て、大麦を煎って粉砕して混ぜ、すべてを麹（こうじ）にして発酵させる方法は全国的にも珍しく、少量でも強いコクが楽しめます。「地みそ」の原点である「たまり」も仕込んでおり、大豆の割合が多くうまみが濃厚。冬季限定の「みそ作り講座」は、11〜5月末の水・土・日曜に開催中。容器付き1.7kg2800円〜（予約制）。

（左上）とろっとした食感の「郡上みそ」　（左下）「たまり」の仕込みの様子　（左上）（右下）事前に予約すれば工房見学が可能

【郡上八幡】町を見下ろす郡上八幡城も見学してみましょう

12月中旬以降は積雪することも。銀世界に包まれる郡上八幡城が楽しめます

戦国時代から幕末まで、郡上を治めた郡上八幡城。明治維新を経て廃城したのち、1933（昭和8）年に再建され、日本最古の木造再建城として有名です。急峻な山の頂上にある天守閣からは、遠くの山並みや城下町一帯が一望できますよ。

【岐阜のリトリート体験】自然を感じながら心と体をときほぐす旅へ

各務原市にある「恵みの湯／湯癒草々GARDEN&FACTORY」ではハーブを使うワークショップも

雄大な山脈に囲まれ、面積の80%以上を森林が占める岐阜県。森で育つ薬草やハーブを料理や入浴に使い、ジビエを食すなど、自然と共生する文化が残っています。森の恵みをたっぷり感じながら過ごすリトリート体験を楽しんでみませんか？

【各務原市】恵みの湯／湯癒草々GARDEN&FACTORYでハーブの魅力を体感

「湯癒草々GARDEN&FACTORY」。植物を育てるハウスやガーデンがある

「恵みの湯」は、レトロな浴場とカフェのような館内の組合せが個性的な温浴施設。約20年ほど前から、岐阜県西部の伊吹山麓で親しまれてきた薬草文化を取り入れています。天然ヨモギなどの薬草とハーブを使った風呂やサウナが好評で、特に生ハーブを蒸しあげるフィンランド式蒸気浴のロウリュウが人気。 2022年に「湯癒草々GARDEN&FACTORY」が誕生し、ガーデンで数十種類の植物を栽培しているほか、ファクトリーにて入浴剤やバスソルトなどを開発。寄せ植え体験やバスハーブづくりなどのイベントも随時開催されていますよ。

「恵みの湯」の露天風呂付き大浴場のハーブ湯は色と香りが濃厚

（左上）「湯癒草々GARDEN&FACTORY」のハウス内はイベント時のみ見学可能（右上）食堂で味わえるモーニング（右下）サウナで生ハーブを蒸すのは水・土・日曜、祝日　（左下）オリジナル入浴剤を販売

【高山市】飛騨の自然と美食を楽しめるオーベルジュ玄珠

美濃和紙を使った照明 が目を引く玄珠スイート

高山市と郡上市を結ぶ街道沿い、山の麓にたたず むオーベルジュ玄珠は岐阜の自然や文化、美食を体験できるリゾートです 。 大原（おっぱら）の集落をぐるりと歩いて回ることができ、馬瀬川や農園を散策しながら、美しい飛騨の四季を楽しめますよ。 オーベルジュの建物は建築家・遠藤修平氏によるもので、コルクゲート銅版を使った外観がユニーク。飛騨産のスギやヒノキがふんだんに使われ、ゆったりと落ち着いて過ごすことができます。フレンチシェフが生み出す料理にも、地元産のジビエや魚、野菜をたっぷり活用。この土地ならではの魅力を味わってみましょう。

標高800mの雄大な自然に囲まれたオーベルジュ。冬は雪景色に包まれる

（右上）高山仁志シェフが手がける料理。リトリートプランを利用すると薬膳料理に変更

【養老町】Villa CAMPOで自分だけの薬膳を味わいましょう

全4室、1室3名まで宿泊可能。3泊4日ほど滞在する人が多いそう

自然農法で育てる薬草ガーデンや菜園を望むヴィラに滞在し、プライベートな時間が過ごせるメディカルハーバルリトリート。隣接している船戸クリニックとの連携により、漢方医の診察をもとにした、一人ひとりの体に合う食材や調理法を生かすパーソナル薬膳が味わえます。自家製野菜や調味料を使って調理された薬膳「おくすりなごはん」は、食べやすくて味わい豊かです。 滞在中は豊富な美容セラピーや治療を受けながら、庭を散策したり、部屋でゆっくりくつろいだりと気の向くままに過ごしましょう。自分が本来持っていた感覚を思い出してみてください。

ガーデンにはダマヌールサーキットと呼ばれる螺旋状の石が置かれ、散歩をすると心が落ち着く

（左）漢方医の船戸博子氏が提唱する薬膳「おくすりなごはん」の一例　（右上）プライベートサウナを併設　（右下）敷地内には犬や猫が自由に歩き、触れ合いも楽しい

＊＊＊＊＊＊ いかがでしたか？ 岐阜の冬旅は、郡上で地酒や味噌の発酵文化を体感したり、岐阜県内の薬草やハーブなどの森の恵みをたっぷり感じながら過ごすリトリート体験もあわせて楽しんでみてはいかがでしょうか。

【アンケート&プレゼント】抽選で5名様に、郡上の谷水で洗いあげる正藍染「手ぬぐい」をプレゼント♪

郡上本染 渡辺染物店の正藍染「手ぬぐい」

アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様に、400年以上にわたり天然藍を原料とする正藍染の「手ぬぐい」をプレゼントいたします。みなさまのご応募をお待ちしております♪ 賞品：郡上本染 渡辺染物店の正藍染「手ぬぐい」 応募期間：～2024年2月29日（木）まで 賞品の発送：3月中旬 ※当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。

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