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2024.02.06
正統派のフランスを体感できるオーベルジュ『HÔTEL de L’ALPAGE』が蓼科高原にオープン|by PARISmag
毎日の暮らしのなかで少しだけ心が弾むような豊かさをお届けするWEBマガジンPARIS mag(パリマグ)から、2024年春にオープン予定の『HÔTEL de L’ALPAGE』をご紹介します。
かつて長野県の蓼科高原にあった旧ホテルハイジ。 旧東伏見宮家の末裔にあたるオーナーが1975年に創業し、約43年間数多くのゲストに特別な時間と空間を提供してきました。 まるでスイスに来たかのようなチロル風の建物で過ごす時間は格別だったそうですが、建物の老朽化に伴い2019年に惜しまれつつ閉館。 その由緒正しいホテルハイジ跡に『HÔTEL de L’ALPAGE(ホテル ドゥ ラルパージュ)』が、2024年春にオープンします。 今回、建設中の現地にお邪魔し、一足お先にホテルをレポートします。 私たちを迎えてくれたのは、総支配人の加藤安都子さん。 『HÔTEL de L’ALPAGE(ホテル ドゥ ラルパージュ)』だからこそ叶えられる“ホスピタリティ”について、たっぷりとお話を伺いました。

“上質な日常”をお届けする、生まれ変わった『HÔTEL de L’ALPAGE』

―2024年春に旧ホテルハイジが『HÔTEL de L’ALPAGE(ホテル ドゥ ラルパージュ』としてオープンします。どういった経緯で再オープンすることになったのですか?
加藤さん:旧ホテルハイジのオーナーが引退を検討されていたところ、当ホテルのオーナーが引き継ぐことを決意しました。
建物も老朽化が進んでましたので、建物ごとリニューアルすることにしたのです。
―旧ホテルハイジはチロル風の建物が印象的でしたが、こちらはまったく趣が異なりフレンチスタイルですね。
加藤さん:オーナーは、ご家族のお仕事の関係で、幼少期からよく渡仏していたそうで、衣食住のすべてにフレンチスタイルが染み込んでいる人。
なので、当ホテルも“フランス風”ではなく、本場そのままの“フランス式”にこだわっています。

―“フランス式”とは具体的にどういったことでしょうか?
加藤さん:外観(画像は完成予想図。フランスらしいシンメトリーな設計)や内装、インテリアもそうですが、もっとも大切にしていることは「ホスピタリティ」です。
私自身、ヨーロッパの5つ星ホテルで15年働いた経験があるのですが、そこで学んだことに「あたりまえに誰でもが『特別な対応をされた』と感じられるサービス」があります。
例えば、以前宿泊いただいた記録を基にゲストの好みに合わせた過ごし方を提案したり、連泊されるゲストにはあえて軽めの食事をご提案したり、ゲストそれぞれに合ったサービスを心かけています。
―そういったサービスを受けると感動しますね。
加藤さん:私は、ゲスト全員に一律の接客を提供することが「サービス」、ゲストの要望に寄り添い、またゲストの心を先読みして接客を行うことが「ホスピタリティ」だと考えています。
日本のホテルの安定したサービスも素晴らしい面はたくさんあるのですが、フランスを含めヨーロッパのホテルは、ゲストそれぞれにあったおもてなしをすること。
そこには、ホテルマンひとりひとりの個性が生まれます。
ゲストの気持ちに寄り添ったおもてなしをすることは簡単なことではありませんが、当ホテルは12室のコンパクトなホテルです。この規模だからこそ可能なことですし、帰宅された後に「また行きたい」と思ってもらえることが、ホテルマンとしてなによりの喜びです。
―ホテルのコンセプトは「カシミアに包まれているような日常を提供するオーベルジュ」、またホテル名は『HÔTEL de L’ALPAGE(ホテル ドゥ ラルパージュ)』です。そこにはどんな想いが込められていますか?
加藤さん:ホテル名はフランス語で「夏の間の高原の牧草地」という意味です。
高原の牧草地は柔らかい牧草が生えてきて、おいしい空気と草があり、牛や羊たちは夏の期間、牧草地に行くことを楽しみにしているんだろうな、というイメージがありまして。
そこから着想を得て、ゲストのみなさんに「毎年、大切な人を連れて帰りたくなる」と思っていただきたい。という想いを込めました。
また「カシミアに包まれているような上質な日常」というコンセプトのもと、上品な空間で優しいおもてなし、オーセンティックなフランス料理でゲストをお迎えします。

まるで美術館のようなフランスの邸宅を思わせる美しい館内


―回廊のアーチが美しいエントランスホールを含め館内はどこも天井が高く開放感がありますね。
加藤さん:館内は全体的に窓を大きくし、廊下も広く設計しました。
特徴的なのがロビーの上に設置したウィンターガーデン(天窓)です。これはフィレンツェで勤務していたホテルからヒントを得ました。
冬でも暖かな陽射しが降り注ぎ、まるでサンルームのような雰囲気になります。

―空間を贅沢に使用したゆとりのある作りですね。シャンデリアなどの調度品もすてきです。
加藤さん:館内に使用されているシャンデリアには18〜19世紀のものもあります。
オーナーが海外のオークションや美術商を通して購入し、国内で修繕と電圧の変更、LED電球への変更などを行いました。何しろ繊細なものですから、フランスからの輸送が大変でしたね(笑)。
でも、アンティークだからこそ醸し出される美しさを楽しんでいただけるのではないでしょうか。


―レセプションはロビーとは、がらりと雰囲気が異なりますね。
加藤さん:壁はエメラルドグリーンで、シノワズリ洋式を感じる華やかな空間にしました。家具や調度品、絵画も当時のものをオーナーがセレクトしています。
実はこの建物、壁自体を躯体にしているため、壁と壁の間に空間がありません。建物自体にもヨーロッパの建築技法を踏襲しました。
そうすると壁に傷がついてしまった場合、壁の張り替えができないんです。なので、壁掛けのランプや絵画を飾るための穴を開けるときは、工事のご担当者さんはかなり緊張されたと思います(苦笑)。
また、館内にはシンボルとなる螺旋階段(画像は完成予想図)も設けています。
―なるほど!新築で真新しいのに、重厚感とヨーロッパの空気感があるのは、そういったことも影響していそうですね!


レストランやバーで感じるアンティークとモダンの融合


―レストランはモダンなテイストですね。
加藤さん:食事をする場所なので明るい雰囲気になっています。
レストランの椅子はアンティークのものと、新しいものをミックスしました。モダンなインテリアや家具、そしてアンティークの家具が同じ空間に調和するようにしています。
フランスでは代々受け継がれてきた家具と子どもや孫が選んだ新しいデザインのものが一緒に大切に使われている風景をよく見かます。
そんな邸宅の景色を思わせるようなところも本場フランス式にこだわっているんです。


―レストランから続く場所にはバーがありますね。
加藤さん:ディナーの前後のひとときに、フランス産のリキュールやブランデーなどを楽しんでいただく場所です。
ソムリエ兼バーテンダーが、ゲストのお好みに合った飲み物をご用意します。
このバーで使用している家具も、レストラン同様アンティークと新品をミックスさせています。まったく異なるテイストですが、ここにもモダンな雰囲気を感じていただけるのではないでしょうか。
ちなみにバーの椅子はパリ・オペラ座内のレストランで使用されている椅子と同じ作り手さんへ発注して取り寄せてもらったものです。
―壁一面の本棚が圧巻ですね!
加藤さん:これはオーナーが集めたコレクションの一部です。もちろんご自由にお読みいただけます。
建築やインテリアに関するものも多く、なかには、蚤の市で購入した絵の描かれた画用紙を製本したものもございます。
この場所は昼間も利用できるので、読書を楽しんだり、物書きをしたり、と思い思いの時間を過ごしてください。

―奥にまだ部屋がありますね?
加藤さん:ここはシガールームです。コニャックはシガーと合いますから、お好きな方はぜひ楽しんでいただきたいです。
当ホテルのバーテンダーはシガーにも造詣が深いので、おすすめのシガーとコニャックのペアリングなどもご提案が可能です。もちろんホテルにシガーをご用意していますので、持参されない方や初めての方もご安心ください。

まるで別荘にいるような心地よさのゲストルーム

―次にゲストルームをご紹介ください。
加藤さん:ゲストルームは、スイートルーム2室(105㎡/ 130㎡)、ジュニアスイートルーム3室(64㎡)、エグゼクティブルーム7室(60〜64㎡)の合計12室です。
本日はエグゼクティブルームの1室をご案内します。

―スイートではないもののかなり広いお部屋ですね。
加藤さん:もう少し狭くしてその分客室数を増やすこともできたのですが、やはりゲストの方にはゆったりとした時間を過ごしていただきたく、客室数を抑えて各部屋を広く設計しています。
客室は軽やかでモダンな雰囲気にし、内装デザイナーが「セーヌ川」「プロヴァンス」などそれぞれテーマを設けて考えてくれました。

「快適に過ごしていただきたい」という想いを込めて、フランスを代表するソファブランド『Duvivier(デュヴィヴィエ)』のソファや、スウェーデンが誇るベッドブランド『DUXIANA(デュクシアーナ)』のマットレスを採用しています。

バスタブに浸かりながら、ゆったりと過ごしてください。

アメニティも時間をかけてセレクトしました。 特にこだわったのがバスローブ。特殊なパイル生地で、本当にふっくらと滑らかな肌触りです。ぜひご宿泊いただき、その質感を感じていただきたいです。

―スイートルームの完成予想図(画像)を拝見すると、室内にもアートが飾られていますね。
加藤さん:はい。絵画は水彩油彩、エッチングなどオーナー自らヨーロッパで買い付けた2つとないものばかり。
お部屋でアートを眺めるのも宿泊の楽しみの1つになれればうれしいですね。

―廊下の天井も高く、屋根の形に合わせて斜めになっているのもパリっぽいですね
加藤さん:パリのアパルトマンには屋根裏部屋もありますよね。その雰囲気をイメージしています。
ホテルでありながら“暮らす”ように過ごしていただけるような工夫です。

正統派フランス料理を蓼科の豊かな食材とともに

―こちらのホテルはオーベルジュですから、料理も楽しみですね。
加藤さん:本場の味を知る人にも納得していただけるような、しっかりとした正統派のフランス料理をご提供する予定です。
「フランス料理にはフランスワインを」というこだわりから、2000本以上を貯蔵するワインセラーにはずらりとフランスワインを取り揃えました。
ハレの日にも満足できるようなクラス感のあるコース料理はもちろん、連泊で1週間いても食べ飽きない食べ疲れないものを。ゲストの状況に合わせて、また季節に合わせて楽しんでいただけるようご提案いたします。
―どんな料理が提供されるでしょうか?
加藤さん:フランスおよび長野の食材を主役にしたガストロノミーをご提供する予定です。
ただ、詳しいメニューについてはまだ現場で細かな議論が交わされていて…。
実際にお見せできないのが残念ですが、オープンの際にはゲストに必ず満足していただける料理をご提供できる自信と期待があります。
―それはとても楽しみです!
加藤さん:先ほど「ゲストひとりひとりに合ったサービスを」というお話をしましたが、当ホテルのソムリエとシェフはまさにそれを体現できるプロフェッショナルです。
例えば、ゲストが選ばれたワインがその日のコースメニューに使うソースでは少しバランスが弱いようなとき、ソムリエはコースの最中でもシェフにその旨を伝達し、シェフはそれを受け、ソースの味付けをそのワインに合うよう変更してお造りするような技を繰り出します。
本当に大変な作業ですが、私たちはプロとして、お客様によりおいしいものをご提供すること、お食事の時間をお楽しみいただくためにする努力は当たり前のことだと思っていますし、そういったチームワークが本当に楽しく、ワクワクするのです。
―オープンが待ち遠しいですね。
加藤さん:ぜひ3月19日(火)のオープンの際は宿泊にいらしてください。スタッフ一同お待ちしております。
*** 壁の色やサインプレート、ちょっとした空間にある調度品まで抜かりなくこだわりぬいた館内は、散歩するだけでもまるで美術館に泊まっているような楽しみがありました。 おいしいワインと正統フランス料理をゆったり楽しんだり、大きなお風呂から蓼科高原の四季を眺めたり、滞在をゆったり楽しめます。 日本にいながらにしてフランス式の“本物”を体感できるのも『HÔTEL de L’ALPAGE』醍醐味なのではないでしょうか。 予約は2024年1月から開始。 ”なにもしない”極上の時間をぜひ『HÔTEL de L’ALPAGE』で過ごしてくださいね。
HÔTEL de L’ALPAGE
ホテル ドゥ ラルパージュ
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YUKIKO SUGANO
PARISmag

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