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2024.12.06
パワーを授かりに長野・戸隠へ♪ 天の岩戸神話ゆかりの「戸隠神社」五社めぐり
長野市戸隠は平安時代には山岳信仰の霊場として知られたパワースポット。戸隠の中央に鎮座するのは、いにしえより信仰を集める戸隠神社です。戸隠神社は御本社の奥社をはじめ5つの社からなり、山のふもとに点在しています。 樹齢400年の杉並木を歩き、自然に包まれた戸隠神社の五社をゆっくり参拝し、天の岩戸神話ゆかりの神々の力にふれてみませんか。五社の御朱印をすべていただくと、記念のしおりもいただけますよ。おまいりのあとは、戸隠で新そばを味わうのもおすすめです。
神話ゆかりの神様を祀る「戸隠神社」へ
御本社の「奥社」。参道入口から徒歩40分ほど歩いていく
長野県北部に位置する長野市戸隠。この地にたたずむ「戸隠(とがくし)神社」は、創建2000余年の歴史をもつ古社です。戸隠には天岩戸開き神話の「天の岩戸」が飛来してできたとされる霊山・戸隠山があり、そのふもとに奥社、九頭龍社、中社、火之御子社、宝光社の五社が鎮座し、神話ゆかりの神々が御祭神として祀られています。
女性と子どもを守る神様を祀る「宝光社」を参拝
長い石段を登って社殿へ。途中からゆるやかな女坂を行くこともできる
点在する戸隠神社五社は、車やバス以外に林間の戸隠古道を歩いて参拝もできます。まずは女性や子どもの守り神、天表春命(あめのうわはるのみこと)を祀る「宝光社」へ。鳥居をくぐると見えてくるのが、社殿までまっすぐ続く270余段の長い石段です。階段の脇には杉の古木が立ち並び、すがすがしい気持ちでおまいりすることができます。 「宝光社」の社殿は1861(文久元)年に建てられ、五社の中では最も古いそう。拝殿を飾る美しい彫刻は宮彫師が手がけ、親子龍や唐獅子牡丹、象の木鼻、麒麟などが彫られているので、じっくりと眺めてみては。
(左上)権現造りの宝光社社殿 (右上)社殿には見事な龍や鳳凰などが彫られている (右下)宝光社の神様が中社に渡御されるときに使用した御神輿 (左下)「おみな守」800円
境内には、丑年と未年の数え年で7年ごとに行われる「式年大祭」の立派な御神輿も飾られ、ガラス越しに見学できますよ。 宝光社限定のお守りも。「おみな守」は女性の心身を守り、子宝に恵まれるように祈願しています。花柄のデザインもかわいいので、身に着けてみてはいかがでしょう。宝光社には社務所があるので、お守りも御朱印もこちらでいただけます。
宝光社
ホウコウシャ
舞い踊る女神を祀る「火之御子社」は風情あるたたずまい
静かな雰囲気に心も落ち着く「火之御子社」
宝光社から中社まで続く戸隠古道の「神道(かんみち)」を通って「火之御子社」へ。宝光社からは徒歩約15分です。「火之御子社」の主祭神は「天の岩戸」の前で舞を舞った女神、天鈿女命(あめのうずめのみこと)。舞楽芸能、縁結び、火防の神として信仰されています。 創建は1098(承徳2)年ごろ。神仏習合の時代にも「火之御子社」は神社として祀られてきました。天鈿女命が躍ったのが神楽の始まりといわれ、「戸隠神社太々神楽(だいだいかぐら)」も、社人が代々守り伝えているといいます。
(左)社殿の横に立つ夫婦杉。この裏手には戸隠古道の神道がある (右上)龍の口から水が流れる手水舎 (右下)「芸能上達守」500円
自然にあふれた境内には、縁結びの杉ともいわれる樹齢500年以上の夫婦杉や、立ち寄った西行法師にちなんだ、オオヤマザクラの西行桜も見られますよ。 天鈿女命の力をいただける「火之御子社」限定のお守りは「芸能上達守」。上達したいことがある人におすすめです。お守りは中社、御朱印は中社と宝光社の授与所でいただけます。
火之御子社
ヒノミコシャ
多くの人が参拝する戸隠神社の中心的な社「中社」
風格のあるたたずまいを見せる「中社」の社殿
「火之御子社」から神道を歩いて約15分、戸隠神社の中心的存在の「中社」へ。厳かな雰囲気を漂わせた社です。1087(寛治元)年に、奥社から現在の場所に遷されて創建されました。 御祭神は、岩戸開神楽(太々神楽)を創案し、岩戸を開くきっかけとなった天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)。知恵の神として、学業成就や商売繁盛、開運守護などの御神徳があります。
「龍の天井絵」は祈祷の際に見学することができる
中社社殿の天井には、焼失のため復元された狩野派の絵師、河鍋暁斎の『龍の天井絵』があり、中社限定のお守り「運気向上・金運招福守」にはこの天井絵が描かれています。御朱印とお守りは中社授与所でいただけます。 社殿のまわりには樹齢700年の御神木や、清涼感のある「さざれ滝」、国の重要文化財も収蔵している宝物館も。また、大鳥居を中心に正三角形を描くように3か所に立つ、樹齢約800年の「三本杉」も見どころのひとつ。大鳥居の階段付近と戸隠観光情報センターの前、そば処「うずら家」の横にあります。三本杉にまつわる伝説も残っていますよ。
(左)大鳥居をくぐったところにある1つ目の「三本杉」 (右上)水音が心地いい「さざれ滝」 (右下)「運気向上・金運招福守」1000円
中社
チュウシャ
奥社へと続く参道の「杉並木」に圧倒される
(左上)駐車場近くにある奥社の参道入口 (左下)随神門前に置かれた力強い表情の狛犬 (右)フォトジェニックな赤い随神門
中社から御本社の奥社は離れていて、戸隠古道を歩いて行くと戸隠奥社入口バス停のある参道入口まで約30分。冬季はバスが止まらないため、中社から徒歩かタクシーとなります。 参道入口から奥社までは徒歩で約40分。車が入れないため、約2kmの道を歩いての参拝です。鳥居をくぐると、15分ほど平坦な道が続きます。神聖な空気が漂う参道の脇には清らかな小川が流れ、鳥のさえずりにもうっとり。心身が癒やされていくのを感じますよ。
随神門の先には迫力ある杉並木が続く
茅葺き屋根の赤い随神門が見えてきたら中間地点。ここから奥社までは徒歩20分ほど。随神門は周りの自然にとけこんだ美しい門です。門をくぐると現れるのが巨樹の杉並木。江戸時代に植えられたという樹齢400年以上の杉の並木が約500m続きます。その存在感には圧倒されてしまうほど。途中には大木の樹洞もあり、杉の生命力が感じられます。 杉並木の先からは勾配のきつい、ごつごつした石段が続きます。石段の道もせまくなり、草木との距離も近くなります。体力を使うので、足元も滑らないようにスニーカーなど歩きやすい靴で行きましょう。自然豊かな石段を約15分登りきると、奥社と九頭龍社に到着です。
(左)巨樹の杉並木を過ぎると石段が続く (右上)CMにも出たことのある樹洞 (右下)正面に見えるのが奥社の社殿
戸隠山へと続く戸隠神社の御本社「奥社」
御祭神の天手力雄命を祀る「奥社」の社殿
まずは鳥居をくぐり、戸隠神社の御本社「奥社」を参拝しましょう。創建と伝わっているのは、はるか昔の紀元前210年。「天の岩戸」を開いて、投げ捨てたという天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)を戸隠山麓に祀ったことが、戸隠神社の始まりといわれています。驚くほどの神力で岩戸を開いたことから、開運やスポーツ必勝などの御神徳があるそうです。奥社社務所の裏手には霊山・戸隠山の登山口もありますよ。
奥社
オクシャ
古来より鎮座する、水を司る地主神を祀る「九頭龍社」
九頭龍大神が祀られている社殿
奥社の左手にあり、戸隠神社の中で最も古い社といわれるのが「九頭龍社」です。以前より地主神として祀られていました。御祭神は天手力雄命を迎え入れた九頭龍大神。水の神、虫歯の神、縁結びの神として信仰を集めています。炊いたご飯を本殿にお供えする朝拝が、今も毎日執り行われています。
「九頭龍宝珠守」500円(左)、「勝守」800円(右)
御朱印とお守りは奥社授与所へ。勝負事に勝つように祈念した奥社の「勝守」や、九頭龍大神に守っていただける、美しい宝珠の「九頭龍宝珠守」がおすすめです。冬季閉殿期間は中社の授与所でいただけます。
九頭龍社
クズリュウシャ
祝詞をあげる珍しい「祈祷おみくじ」をいただく
「祈祷おみくじ」は初穂料300円
年齢(数え年)と性別を伝えると、神職が祝詞をあげておみくじを引いてくれる「祈祷おみくじ」。通常のおみくじとは違い、大きなサイズの紙に書かれています。こちらは持ち帰って、一年間の指標とするのがよいそうなので、じっくり読んでみましょう。奥社、中社、宝光社の授与所で引くことができますよ。
五社で御朱印をいただくともらえる参拝記念しおり
(左上)宝光社の御朱印 (右上)火之御子社の御朱印 (右下)九頭龍社と奥社の御朱印 (左下)中社の御朱印。御朱印は各500円
参拝のお印(しるし)である御朱印は、参拝後にいただけるものです。それぞれの社で参拝をすませたら、授与所でいただきましょう。五社を参拝し、五社の御朱印をいただくと、「五社参拝記念しおり」が記念にもらえますよ。五社目の御朱印がそろう授与所で尋ねてみてくださいね。
五社をめぐった記念になる「五社参拝記念しおり」
気持ちを新たにする初詣にでかけるのもおすすめ
雪が降って、足元が心配な場合は随神門で参拝を
冬季は閉殿になる奥社と九頭龍社ですが、年明けの1月6日まで開殿予定なので、雪の状況を見ながら訪れましょう。閉殿中は随神門でおまいりも可能。参拝後は中社で御朱印もいただけますよ。 年内の雪が降る前に奥社まで参拝に行くのもいいですし、運気向上や心身の健康を祈願しに、初詣にでかけるのもおすすめです。足元に気をつけながら、静かで厳かな雰囲気が増す秋冬の戸隠神社を訪れてみては。
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文:細江まゆみ 写真:加藤熊三
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