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2025.04.28
本×人形×コーヒーが融合したブックカフェ「珈琲舎 書肆アラビク」がある大阪の下町、中崎町へ
下町情緒あふれる中崎町に佇む「珈琲舎 書肆アラビク(コーヒーシャ ショシ アラビク」。昭和初期に建てられた長屋をリノベーションした空間には、推理小説から大阪の歴史をたどるものまで、幅広いジャンルの本が並んでいます。レトロな空間でいただけるのは、多彩なアレンジコーヒーと自家製のフィナンシェ。奥にはギャラリーがあり、店の片隅には店主のコレクションである市松人形も。個性が光るブックカフェです。

中崎町で異彩を放つブックカフェ&ギャラリー

戦前の木造建築や長屋が残り、古民家ショップも多い中崎町で2007年にオープンした「珈琲舎 書肆アラビク」。地下鉄谷町線中崎町駅2番出口から徒歩3分の場所にあります。 植物に囲まれた軒先は、界隈でも目を引く存在です。

客席はテーブルとカウンター含め15席
昭和初期に建てられた長屋をリノベーションした空間は、手前の土間の部分がカフェスペースで、奥が靴を脱いであがるギャラリースペース。家具類もできるだけ同じ時代のものを設えているので、古き良き時代の空気感が漂っています。

本棚には店主の森内憲さんがセレクトした本がずらり。推理小説、幻想小説を中心に幅広いジャンルの本を販売しています。 「作家さんに還元できるように」と、新刊で扱えるものは新刊で、古本は主に絶版になったもの扱うようにしているそうですよ。

「大阪を深掘りしたい」と、大阪出身で江戸時代に活躍した文学者・井原西鶴や上田秋成、俳人の与謝蕪村にまつわる書籍も。本を通じて、300~400年前の大阪を垣間見ることができるかもしれません。

工夫が光るアレンジコーヒー

「マリアテレジア」1000円
コーヒーはスタンダードなものが約10種、アレンジコーヒーが約10種とかなり豊富なラインナップ。なかでも看板メニューとして長く親しまれているのが、ハプスブルク家唯一の女帝の名が名付けられた「マリアテレジア」。フランス生まれのオレンジのお酒・コアントロー入りコーヒーにホイップクリームを浮かべ、キャンディをのせたドリンクで、深煎りのコーヒーとオレンジのハーモニーはオランジェットのような味わい。 こちらではキャンディの代わりに金平糖をトッピング。かわいらしいビジュアルにときめきます。

「G.C.S.珈琲」900円
レトロな空間に似合う「G.C.S.珈琲」もおすすめ。G.C.S.はジンジャークリームソーダの略で、浅煎りの水出しコーヒーにジンジャーシロップを加え炭酸で割り、バニラアイスクリームを浮かべています。 アイスの上には、リキュール漬けのチェリーが。細部にまでこだわりが詰まっています。

お花をあしらった自家製フィナンシェ

フィナンシェ、左からプレーン400円、チェリー500円、春の花500円
コーヒーとセット販売している自家製デザートは杏仁豆腐、テリーヌショコラ、ラム酒のフランベプリン、フィナンシェなど。 フィナンシェは2025年4月に生まれた新作です。伝統的なレシピを忠実に再現しつつ、ホイップクリームや食用花をトッピングしてひと工夫。食用花は砂糖漬けにして、バター香るフィナンシェとの相性を高めています。

創作人形を展示したギャラリーを併設

カフェの奥にあるギャラリースペースでは、2か月に1度のペースで企画展を開催。現代作家が手がける球体関節人形の展示が主で、貴重な作品が並びます。 ギャラリースペースにも人形関連の資料や美術書が並んでいますが、こちらは閲覧専用です。

市松人形は、森内さんのコレクション。明治、大正、昭和と制作された時代ごとに並んでいるので、どう変遷してきたのかが鑑賞できます。 カフェは利用せず、ギャラリーの見学のみも可能なので、気軽に足を運んでみてください。

ひとひねり加えたコーヒーに、独自目線でセレクトした本、人形を主としたギャラリーと独創的な世界観に満ちていますが、店の雰囲気はとてもアットホーム。興味がある本や作品があれば、気軽に森内さんに話しかけてみてくださいね。

珈琲舎・書肆 アラビク
コーヒーシャ ショシ アラビク
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文:西 倫世 撮影:milk
Writer
西 倫世

関西を中心に雑誌やWEBで旅・グルメ・トレンド情報に関する記事を発信。ラジオ番組への情報提供も担当
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