地元・郡上で人が集う場所を作りたい

ガラス張りで、外から店内の様子がよくわかる

南北に長い岐阜県のほぼ中央に位置する郡上市。市内の八幡エリアは郡上八幡と呼ばれ、明け方まで踊り明かす徹夜踊りも行われる郡上踊りの町として、全国に知られています。 徹夜踊りの会場にもなる新町地区は、新旧のお店が立ち並ぶ商店街。通りを歩いていると目を引く、ガラス張りの外観のお店が「糸CAFÉ」です。

メニューのイラストやお店のロゴ、庭で摘んだ花など、店内のあれこれにときめく

糸CAFÉを営むのは、郡上八幡出身の上村彩果さん。東京で建築の仕事に携わりながら、内装を手がけたお店で働いた時期もあるそうです。さまざまな経験や人との出会いを経て、人が集う場所を自ら作りたいと考えるように。その場所はやはり郡上八幡がいいと思い、地元にUターンしました。

雰囲気の異なる空間を備えた店内

店内手前の板の間にはテーブルとイス。カウンターで先に注文を

糸CAFÉの店舗は、上村さんが新町の商店街で4年間かけて探し、ようやく出会えた理想の物件。奥に長い造りで、通りに面した部分は店舗、奥は住居として使われてきた、築100年近くになる町家です。現在は、元の建物の良さを生かしつつ改修した手前の空間と、ほぼ手を入れていない座敷の両方をカフェとして使用。それぞれに魅力的で雰囲気の異なる席が用意されているので、どちらを選ぶか迷ってしまいます。

趣のある和室が二間あり、その奥には中庭が見える

岐阜提灯や水屋箪笥などの調度品も素敵で、中庭の緑にも心が和む。一番奥の和室にはゆったり座れるソファも

地元産の素材のおいしさをしみじみ感じるランチ

金曜と日曜のランチから、郡上の野菜たっぷりスープとutapanさんの天然酵母パン（1045円）

“郡上八幡の風土から生まれる、ヒト、コト、モノが、糸が紡がれるようにつながっていく場所に”という想いを込めた、糸CAFÉ。郡上の農家さんが育てた野菜や果物をできる限り使い、メニュー表にも“郡上”や“郡上八幡”というフレーズが多く見られるなど、地元産を大切にしていることが伝わってきます。カフェを開く前からつながりのあるパン屋さんや、フェアトレード＆オーガニックのコーヒーロースターなど、上村さんが信頼を寄せるお店から届く素材は、おいしさはもちろん、安心して頂けるものばかりです。

郡上の山椒などを使ったオリジナルスパイスも販売

12～15時のランチタイムには、曜日ごとに内容が変わるランチメニューがおすすめです。土曜日は、郡上の旬の野菜を使った2種類のカレーが味わえるカレープレート、金曜と日曜は郡上の野菜のチキンカレーのほか、スープとパンのセットが登場。平日はメインと野菜のおかずに、おにぎりなどを詰めたランチBOXです。味わってみたいメニューの曜日を狙って、でかけるのもいいですね。

野菜は郡上市内の農園から届く無農薬野菜がメイン。スープの味つけはトマトベースやクリームなど、その時々で変わる。化学調味料やコンソメなどは使わない

スープとパンのランチでは、サラダとスープに郡上の野菜がたっぷり。みずみずしいサラダは野菜の食感や香りがよく、スープでは、ぎゅっと詰まった野菜のうま味に満たされます。パンは、自家製酵母を使用する郡上市白鳥のutapanから。さくさくした歯触りの良さともちもちの食べごたえを兼ね備えた2種類のパンは、噛むほどに豊かな風味が広がります。

月替わりのスイーツや季節のドリンクも楽しみ

取材時の月替わりスイーツは、抹茶とホワイトチョコレートのケーキ（715円）。ケーキはあたためてあるので、チョコレートがとろり。季節の果実の自家製ソーダ（660円）には、郡上産いちごのコンポートがたっぷり

カフェタイムには、郡上や近郊で採れた旬の果物や食材が使われ、毎月変わる「今月のスイーツ」を。スイーツにあわせるドリンクの種類も、フェアトレード＆オーガニックのコーヒー、郡上牛乳を加えたカフェオレ、郡上八幡産のクラフトコーラなど充実しています。その時期ならではの味を楽しむなら、季節の果実の自家製ソーダはいかがでしょう。果肉がふんだんに入ったいちごのソーダは、いちごの甘みと酸味にさわやかな炭酸がぴったりです。夏ごろまでの販売予定なので、この時期を逃さずに味わってみてくださいね。

多彩なイベントやワークショップも

テイクアウトできるドリンクもあるので、町歩きの途中に気軽に立ち寄って

自店でのワークショップやライブなどの催しをはじめ、郡上のお店が集まるイベントを企画したり、ほかのエリアでのイベントに出店したりという活動も盛んな糸CAFÉ。開催予定はインスタで告知されるので、気になるイベントにあわせて訪れてみてはいかがでしょう。 土地のおいしいものや風情を味わって郡上の魅力を感じたり、お店に集まる人やものと出会ったり。糸CAFÉで過ごすひとときは、郡上の思い出をより豊かに彩ってくれるはず。ぜひお店を訪れて、実感してみてくださいね。