
8
2026.03.02
名所めぐりの途中に。日光の時間を味わう、とっておきのお店4選♪
日光は、都心から電車で約2時間。名所を旅する合間に立ち寄りたいのが、土地の時間を大切にしてきた数々のお店です。おいしい料理や甘味に出会えるだけでなく、積み重ねられてきた歴史や物語、そして建物に宿る記憶があります。今回は、日光らしさを五感で味わえる、とっておきの4軒をセレクト。歩く、祈る、味わう、そんな日光旅に寄り添ったお店をご紹介します。
2週間仕込みのデミグラスソースにうっとり「明治の館」

オーブンで焼き上げたアツアツをサーブ。パンやライスをお好みでご一緒に
日光山内の木立に囲まれた庭の奥にたたずむ、石造りの洋館「明治の館」。明治後期に、蓄音機を日本に初めて紹介した貿易商F.W.ホーン氏の別荘として建てられた建物を活かした、日光で長く愛され続ける洋食の名店です。 看板メニューのオムレツライスも有名ですが、今回紹介したいのが、隠れた人気No.1のビーフシチューのつぼ焼き(3850円)。益子焼のつぼの中には、濃厚で奥深いコクのデミグラスソースに絡まったビーフや野菜がゴロリと入っています。

(左)スッと溶けるほどに柔らかなビーフは感動もの(右上)昔ながらの洋館の雰囲気にもうっとり(右下)地下1階・地上3階の建物で、約3000坪の庭園に囲まれている
なんと、このデミグラスソース、2週間かけてじっくり仕込んでいるそう。炒った小麦と、ブイヨン、香味野菜の旨みを重ね、時間を惜しまずトロトロになるまで煮込む手間ひまの結晶です。ビーフシチューをはじめ、明治の館のさまざまな洋食メニューの土台にもなっています。 オーブンで焼き上げたばかりのパイをそっと崩し、シチューをまとわせて口の中へ。パリパリの外側と、しっとりとした内側のパイ生地に、深みのあるシチューの旨みが重なり、何層にもわたる味わいの変化が広がります。一度味わえば、何度でも食べたくなる、思わず唸ってしまうおいしさです。

(左)チーズケーキ660円、紅茶660円(右)併設のショップでは自家製ケーキやヨーグルト、焼き菓子なども販売
食後にいただきたいのが、50年以上愛され続けている名物のチーズケーキ「日瑠華(ニルバーナ)」。日光山輪王寺第81世門跡・柴田昌源大僧正が、そのおいしさに感動し、「日に輝く瑠璃の華の如し」という想いを込めて名付けたと伝えられています。 低温でじっくり焼き上げた口当たりは驚くほどなめらかで、まさに悟りの境地。小麦粉を使わず、デンマーク産の最高級クリームチーズを使用し、表面に塗られたフレッシュレモンのサワークリームが、濃厚さと爽やかさを引き立てます。 有形文化財にも登録されている趣ある洋館で、昔ながらの洋食を、ゆっくりと味わってくださいね。
西洋料理 明治の館
セイヨウリョウリメイジノヤカタ
老舗の味をつなぐ、一膳のごちそうを「大光坊」で

ぐつぐつと温かい湯豆腐にほっこり
神仏分離令以前の日光山内は、日光山輪王寺を中心に、約50院100坊が集まり、修験道の拠点として栄えてきました。「大光坊」が店を構えるこの場所も、もとは大光坊という寺院があった土地。その名残を受け継ぐように、店名を付けたそうです。 2023年のオープン以来、大光坊が大切にしているのは、日光の食をつくり、守ってきた老舗の味を、今のスタイルで伝えること。湯波の「元祖日光湯波 海老屋長造」と「名産日光湯波 ふじや」、酒饅頭の「湯沢屋」、羊羹の「三ツ山羊羹本舗」など、地元の名店の食材を使い、大光坊ならではの一膳に仕立てています。

(左)季節によってごはんなどが替わるのもうれしい湯豆腐膳(右上)青いのれんが目印(右下)客席からもゆったり庭園が眺められる
肌寒い時季にいただきたいのは「湯豆腐膳」(3850円)。ふじや製の豆乳で作る湯豆腐は、クリーミーで驚くほどまろやか。海老屋長造の揚巻湯波、大光坊特製のごま豆腐、季節替わりのごはんなどが並び、食後には三ツ山羊羹本舗の水ようかんと静岡・川根茶がそえられます。 日光の湯波は、膜を中央から引き上げるため二つ折りになり、その姿がまるで波のように見えることから、「湯葉」ではなく「湯波」と呼ばれるのだとか。京都の湯葉よりも厚みがあり、しっかりとした食べ応えがあるのも特徴です。

(左)饅頭ぜんざいのほか、あんみつやパフェなどもある(右)隠れ家のような雰囲気が魅力の店内
食後や喫茶タイムには、やさしい甘さの甘味をどうぞ。「饅頭ぜんざい」(1320円)は、創業文化元年の老舗・湯沢屋の酒饅頭を主役に、ふっくらと蒸し上げた饅頭を、ほどよい甘さのあんこにのせて提供されます。 酒の香りはほんのり控えめで、後味はすっきり。お茶と一緒にいただけば、自然と心がほどけていきます。 苔むした庭園を眺めながら、季節を感じるひととき。日光らしさを、静かに、深く味わえる一軒です。
山内茶寮 大光坊
サンナイサリョウ タイコウボウ
靴を脱いでくつろぐ、日光山内の古民家「本宮カフェ」

昔ながらの石畳が、カフェにたどり着くまでの道中も楽しませてくれる
日光山内の森に包まれるようにたたずむ「本宮カフェ」は、参拝の余韻を静かに受け止めてくれるくつろぎの空間。二荒山神社の神職用住居として使われていた築300年以上の建物を、社寺改修を手がける職人がていねいに改装し、カフェとして生まれ変わりました。世界遺産の地にふさわしい趣は、床材に二荒山神社の日光杉を用いるなど、細部にまで息づいています。

(左)分厚い食パンをくり抜いているので食べ応え抜群(右)落ち着いた雰囲気の店内
店内は靴を脱いで上がるスタイル。やわらかな木の温もりと、ゆったり流れるBGM、窓から差し込む木漏れ日が、歩き疲れた体と心をゆっくりほぐしてくれます。本宮コーヒーや抹茶ラテなどのドリンクに加え、軽食も充実。なかでも注目したいのが、「クラムチャウダーinロイヤルブレッド」(1800円)です。 器代わりのパンは、金谷ホテル特製のロイヤルブレッド。中には、地元産のマイタケやシメジ、そして日光らしい湯波を加えた、滋味深いクラムチャウダーがたっぷりと注がれています。キノコの旨みと湯波のやさしいコクが溶け合い、クリーミーながら後味は軽やか。食べ進めるうちにスープを吸ったパンがしっとりと変化し、最後まで飽きずに味わえます。

ドリンクメニューのほか、あんみつやぜんざいなど甘味も充実している
歴史ある建物の中で味わえば、日光の風土と時間をそのままいただいているよう。暖かい季節には、木々を眺められる一列のテラス席もおすすめ。参拝で整えた心を、日常へとやさしくつなぐ、日光ならではのカフェです。
本宮カフェ
ホングウカフェ
焼き立てを、その場で。三百年続く「日光宮前だんご」

お団子は3本一皿500円で、「宮前だんご」と「醤油だんご」の組み合わせは自由に選べるのがうれしい
参拝の締めくくりに味わいたいのが、「日光宮前だんご」。不老不死の縁起物として知られる名物で、江戸時代・8代将軍・徳川吉宗の頃から約300年にわたり、製法を変えずに受け継がれてきました。現在は11代目の店主が暖簾を守り、注文を受けてから1串ずつ、ていねいに焼き上げてくれます。 もともとは日光東照宮の境内に店を構えていましたが、世界遺産登録を機に火を使えなくなったため、門前町へ移転。さらに令和3年、現在の場所へ移りました。場所は変われど、守り続けてきた味と作り方は今も変わりません。 もち米は使わず、米と米粉を合わせ、ごはんを手でこねて団子に。茹でたてを串に打ち、1串4粒という縁起の良い形に仕上げています。

1階と2階に席があるのでゆったりと過ごせる(右下)焼き上げる前のお団子
宮前だんごは、味噌の秘伝ダレをつけて香ばしく焼き、仕上げに黒砂糖のタレを重ねる二段仕立て。しっかりとした歯ごたえの中に、ふわりとした柔らかさがあり、焼き立てならではのほかほか感が楽しめます。 一方、醤油だんごは、比較的新しく、それでも30年前に加わったというから驚きです。醤油に漬けてから焼き上げ、香ばしさが際立つ味わいです。 時間が経つと食感が変わってしまうため、テイクアウトは行っておらず、味わえるのは店内のみ。江戸時代から続く日光の時間と味を、その場でじっくり味わってください。
日光宮前だんご
ニッコウミヤマエダンゴ
日光まで足を運んだならば、どこも立ち寄りたい名店ばかり。今食べたいお気に入りを見つけて、ぜひ訪れてくださいね。ここでしか出会えない感動が待っていますよ♪
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。
文:町 紗耶香、写真:平岡あゆみ
の人気記事












































