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2016.11.07
今が見頃。日本屈指の大渓谷「瀞峡」を紅葉クルージング
旅行ライターの松岡絵里が、国内のプチ秘境旅を提案するシリーズ。第5回は、秋の紅葉シーズンにぜひ訪れたい日本屈指の大渓谷「瀞峡(どろきょう)」をご紹介します。長い年月をかけて形作られた壮大な渓谷が、この時期、カラフルな紅葉に彩られます。
優雅な流れをたたえる大渓谷・瀞峡

瀞峡の「どろ」とは「とろ」とも読み、川の中でも浸食されて水が深く、流れの緩やかなところを指す言葉。。吉野熊野国立公園内の奈良県・三重県・和歌山県にまたがっている峡谷で、国の特別名勝にも指定されています。峡谷の周囲は日本でももっとも原生林が残されているエリアのひとつで、太古の自然がそのまま息づいています。 瀞峡は上流から奥瀞、上瀞、下瀞と呼ばれており、巨岩・奇石が並ぶ下瀞の1.2キロメートルが「瀞八丁(どろはっちょう)」と呼ばれているのだとか。
瀞八丁まで行くなら、ウォータージェット船が便利

瀞八丁まで行くなら、船でのアクセスが一般的です。船で一番の利用しやすいのは志古乗船場から瀞峡までを往復しているウォータージェット船(大人3440円)。定期的に運航しているため、時間に制約がある人にもいいでしょう。 迫力ある景観の中を進む船。その中でも圧巻だったのは「天柱岩」です。高さ45メートル、川面からそびえたつような大迫力の巨石。そのほかにも、甲羅干しをしている亀の姿に似ている亀岩、こま犬に似ている「こま犬岩」、渓谷の間にかかる吊り橋「山彦橋」など、見どころが続きます。 往復約2時間の船旅で、瀞峡の大自然を満喫できます。

瀞峡めぐりの里 熊野川(ジェット船乗り場)
ドロキョウメグリノサト クマノガワ
老舗旅館をリニューアルしたカフェ「瀞ホテル」へ
目の前に雄大な瀞峡の大自然が広がる
瀞八丁の観光前後には、築100年以上、開業99年の元旅館をリニューアルしたカフェ「瀞ホテル」へ立ち寄ってはいかがでしょう。瀞八丁を見下ろす絶好のロケーションに、歴史を感じるレトロな空間が広がっています。 店内には、日用品、文具類などを展示・販売するコンセプトショップも併設されています。
人気のスコーン2種盛りと、自家製ジンジャーシロップを使ったジンジャーエール
瀞ホテル
ドロホテル
日本一の美しさとも言われる「丸山千枚田」
瀞峡があるのは、世界遺産の熊野エリア。熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の熊野三社など、訪れるべき場所が数多くありますが、中でもぜひ足を延ばしたいのは、丸山千枚田です。

田んぼに水が張られた初夏の風景
棚田好きの私はこれまで数多くの棚田に足を運んでいますが、今のところこの丸山千枚田が美観ナンバーワン。千枚田という名ですが、実際の田んぼの枚数は、実に1340枚。展望所から見下ろすと、びっしりと斜面に築かれた大小さまざまな形の棚田は、どこか天に向かっていく階段のようなのです。田んぼの淵は地形に沿って石が丁寧に積み上げられていて、その優美な曲線はまさに芸術的。

秋の稲刈り後の風景もまたのどか
千枚田を囲むように「通り峠道」と呼ばれる古道があり、ちょっぴりハードですが、棚田を見下ろせる展望台までトレッキングでアクセス可能。石畳や地蔵が残されていて、かつて人々が生活道として使っていた気配を感じられます。 国道311号沿いには「ふれあい市場千枚田」という小さな産直所も。地元の名産品に混じって、時期によってはこの丸山千枚田で育てられたお米も入手できます。 瀞峡を含め、熊野エリアは決してアクセスがいい場所ではありません。公共の交通手段も限られているので、行きにくい場所も多々。一方で「便利」とは言えない地だからこそ、その絶景に出会えた時の感動もひとしおなのかもしれません。
丸山千枚田
マルヤマセンマイダ
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松岡絵里 構成:相馬由子
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